40.最強パーティ、君も仲間だ
「これが魔王城か」
黒く染まった洋風な城、いかにも魔王が居そうな外観である。
魔王城上空の空は赤く染まっており、不気味である。
「さて、行くでござるか」
「ちょっと待ってください」
ここで引き止めたのは、キメラであった。
緊張感のある表情で皆に言う。
「魔王城を攻略するにあたって役割分担をしませんか?」
「役割分担?」
どういう事であろうか?
アルカは、首を傾げた。
「魔王城の内部にモンスターは居ません」
「そうなのか?」
本来であれば、遺跡攻略で嫌という程モンスターと戦闘をさせられるハメとなる。
しかし、彼女達はブラックゴブリンの群れを突破するという選択をした為、それを行わずに済んだ。
「しかし、安心(?)してください。この魔王城には、四天王といった強力なボス達が居ます」
魔王城で魔王に挑むには、四天王を倒さなくてはならない。
各四天王を倒す事により、魔王と戦闘するフラグを立てる事が出来るのだ。
ただ、四天王と戦闘をする際には、1対1で戦闘をしなくてはならないというルールがある。
その上、魔王城に一度入ると回復系のアイテムが使用不可となってしまう。
キメラは、上記の事を説明した。
「丁度4人居るから1人1体を倒せば丁度って事だな」
「はい。ただ……」
「ただ?」
「問題は魔王戦です。魔王に挑む際には、消耗した状態で挑むしか無くなってしまいます。幸いにも魔王戦は二人まで同時に挑む事が許されていますが……」
「1回わざと負けて、回復してからまたここに来れば良いんじゃないか?」
「一度ここから出ると四天王が復活してしまう上、24時間経たないと、再度魔王城へ入る事は出来なくなってしまいます」
「そうか、だったら四天王戦が終わった時点で体力、MPが多い二人が魔王に挑むしか無いって事だな」
作戦会議を終えた4人は、魔王城へと入る。
すると、扉が勢いよくバタンと閉じる。
「ヒョヒョヒョ!!」
「誰だ!!」
ピエロのような顔面を白く塗った爪の長い男が居た。
「私こそが四天王の1人! 【ヒョヒョマル】!!」
地面に右手を着き、足を大きく広げると、そのままアルカを睨む。
「ヒョヒョ!! 最初は、誰が相手してくれるのかな? レディーをいたぶるのはあまり趣味では無いが……これも魔王様の為ヒョ!!」
「お前の相手は俺だ」
名乗り出たのは、アルカであった。
「君か、面白い。レッツ処刑タイム! 他の人達は邪魔しちゃ駄目ッヒョ!!」
指パッチンをすると、アルカ以外のメンバーが部屋の壁の端まで吹っ飛ばされ、牢獄のようなものに入れられた。
音声も遮断されるようで、ヒョヒョマル以外の声が聴こえなくなった。
「よし、一気に決める! 【爆炎】!!」
アルカの持つスキルで一番殺傷能力の高い攻撃系スキル【爆炎】。
アルカはこのスキルを入手してから、お世話になりっぱなしである。
「ぴょんぴょんっ!!」
「何っ!?」
ヒョヒョマルはジャンプしてかわした。
「かわしただと!?」
「それくらいの攻撃、楽勝ッヒョ。今度はこっちのばんじゃ~」
ヒョヒョマルは物凄いスピードでアルカに急接近すると首に噛みつく。
「ぐあっ!」
「あ~、美味しい血……心が沸騰するッヒョ~」
アルカは、噛みついて来たヒョヒョマルをぶん殴ろうとしたが、距離を取られる。
「ヒョッヒョ~、いただきました!! ステータスを見てみるッヒョ!!」
「こ、これはっ!?」
アルカの攻撃、特殊攻撃のステータスが0になっていた。
「君のステータスの一部を吸わせてもらったッヒョ! 私の自慢のスキル、【吸血】でね。そして吸った分のステータスは私のステータスに上乗せされる!!」
「馬鹿なっ!?」
ヒョヒョマルにダメージを与えられるか倒されるかすれば、ステータスは元に戻る。
しかし、ステータスが0では1ダメージも与える事が出来ない。
詰んだとも言えるこの状況であったが、アルカは腕を組み、ニヤリとしている。
さっきまで慌てていたのに何故であろうか?
「ハハハ!! まさか、あれを使う事になるとはな!!」
「あれ? この状況を打破するスキルかアイテムを持っているッヒョ?」
「まぁな!」
確定では無い、しかし、確率は0では無い。
「【ランダムスキルボックス】、使用!!」
アルカはアイテム欄から【ランダムスキルボックス】を選択する。
そう、美少女コンテストで優勝した時に貰った、ユニークスキルが確定で出て来る特別仕様の【ランダムスキルボックス】である。
「させないッヒョ!!」
ヒョヒョマルがアルカに襲い掛かるが、このアイテムを戦闘中に使用した場合の特殊演出により出現した、赤い稲妻に弾かれる。
ダメージこそ無い物の、大きく吹き飛んだ。
「俺を止める事は出来ない!! そして新たに宿したこのスキル!! このスキルで、お前を倒す!!」
「……どんなスキルか知らないが! 今の君のステータスじゃ私にダメージは与えられないッヒョ!!」
「それはどうかな!! 見せてやる! 新スキルを!!」
アルカは、新たなスキル、【召喚】を発動させる。
「【召喚】……このスキルは、今まで戦闘した事のあるモンスターの中からランダムで1体を召喚する」
「はっ、そんなどっちにも転ぶか分からないスキルで私を倒せるものかぁ!!」
このスキルを使用した場合、初回召喚時に召喚したモンスターで今後も固定されてしまう。
つまり、スライムが召喚されれば、次このスキルを使用した時もスライムが出現する。
テイマーのように育成も出来るが、今はそんな事をしている場合では無い。
だが、アルカは思っていた。
「負ける気がしねぇ!!」
魔法陣が地面から出現する。
「どんなモンスターが来ても、私のスピードと君から奪った攻撃力に敵う者かッヒョ」
「……ふっ!」
アルカは、魔法陣から出現した“奴”を見ると勝利を確信したかのように鼻で笑うのであった。




