4:誰かが狙っている
ムシャムシャとキノコを食べるアルカ。
「不味いな」
暇になったので横になろうとすると、銀髪の少女、極がアルカの元へと来た。
「極! 只今参上でござる!」
アルカが思ってたより速かった。
どうやらはじまりの街とこの森は、本当に近いようだ。
「侍か……」
ディスプレイで映っていたのは上半身のみだったので、アルカはあまり気にしていなかったが、実際に会ってみると極は侍のような恰好をしている事が分かった。
「その装備買ったの?」
「元からこの装備だったでござるよ?」
ランダム生成のアバターだが、ござる口調の極にはピッタリな格好であった。
「それにしてもそっちこそ凄い迫力でござるな! はじまりの街は美少女ばかりだったから余計にそう感じるでござる」
「はじまりの街は、美少女天国って訳か。どっちにしろずっとここに居る訳にもいかないし、早速はじまりの街に行くか!」
「そうでござるな! 配信者をキルした実力から、拙者よりアルカ殿の方が強いと思われるので、はじまりの街に行くまでに襲われたらその時は任せるでござるよ」
「ああ! 任せとけ!」
「ま、雑魚モンスターなら拙者にも相手は出来るでござるがな」
極は腰にある刀を抜くと近くに居たスライムをすれ違いざまに斬り付け、ドヤ顔で納刀する。
「は、速い!」
パワーのアルカ、スピードの極と言った所であろうか。
「デュッフッフッフ! どうでござる! ま、配信者キラーのアルカ殿には及ばないでござるがな」
「その言い方物騒だからやめろ!」
アルカは笑いながら極に突っ込みを入れた。
「ともかく行くでござるよ!」
「ああ! ワクワクするぜ!」
二人が歩みを始めた次の瞬間、極が転ぶ。
「うわああああああああ!」
「き、極!?」
足を抑えている。
「た、例えるなら、タンスの角に小指をぶつけたくらいの痛みが脚にぃぃぃぃ!」
「な、何が起こっているんだ!?」
極は立ち上がり、周りを見渡す。
アルカも周囲を観察するが気配は無い。
となると……。
「極、確かこのゲームはファンタジー世界がベースだが、銃も登場するんだよな?」
「そうでござるよ……ってまさか!?」
「ああ、誰かが遠くから俺達を狙撃している可能性がある」
二発目の弾がアルカの背中を襲った。
だが、強固な皮膚により、ダメージは少なかった。
「だ、大丈夫でござるか!?」
「ああ! どうやら大丈夫そうだ。今度は反撃と行くか!」
アルカはニヤリとし、弾が飛んできた方向へとスキルを使用する。
最初は気が付かなかったが、初期から持っていたスキルだ。
そのスキル名は、【咆哮】
近くの相手にはダメージを与え、一定時間聴力を奪う。
遠くの相手にはダメージだけだが、飛び道具に対抗するにはこちらも飛び道具を使用する他無い。
金属音に加え、黒板を全力でひっかいたような不快な音が映画館くらいの迫力でアルカの口から放たれた。
「み、耳がぁ! 耳がぁ!」
システム的なダメージや効果は無いが、周囲の味方に精神ダメージを与えてしまうのが難点ではある。