36.クリスタルブレードの修理を依頼する
次の日の20時、第三層のレストランの目の前にアルカは来ていた。
「相変わらずボロボロだな」
ボロボロの外観のレストランを見てそう思った。
しかし、中に入ると第二層のレストランと同じくらい綺麗であった。
「中は普通何だな……って皆もう20時なのに来てないな。どうしたんだろう?」
そう思ったその時。
「お待たせでござる! 極! 参上でござる!」
極が来た。
「セーフでござる! 1分しか過ぎてないでござる!!」
「お、おう(セーフなのか?)」
「あれ? アルカ殿しかまだ来てないのでござるか?」
「来てないみたいだな。極と一緒じゃなかったのか?」
「いや、拙者は1人でござる」
何かあったのだろうか?
「お待たせしました……はぁはぁ」
息を切らしたキメラが走って来た。
「ふむ、ここが第三層か……中々面白そうな場所だね」
その後ろから、ゆっくりと歩いて来たのは、生徒会長カノンであった。
「す、すみません。会長をここまで連れて来るのに時間が掛かっちゃいまして……」
「いや、別に良いけど、そんなに息を切らしてどうしたんだ?」
「あの……会長ってこの前スタートしたばかりじゃないですか。だからそれに気が付いて急いで会長をここまで連れて来たんです」
「ははっ! すまないね。私の実力じゃまだ第一層レベルだったから、ほぼソロでフロアボスを討伐してもらったよ」
キメラとカノンは、学校から帰った後、すぐにGWOにログインしたのだ。そこでカノンが第三層まで来れない事に気が付き、キメラがカノンと共にフロアボスを討伐してここまで来たのだ。カノンのレベルは、【14】(本日ログインした際には、【8】)。よって回復アイテム等のサポートに専念し、戦闘はキメラに任せっきりであった。
「いや、会長がまだ第三層へ来れない事を忘れてた私が悪いんですよ……」
「気にすることは無いよ」
カノンは、ニコリと笑い、キメラの肩にポンと手を乗せた。
「ま、まぁ、これで全員揃った訳だし、席に案内して貰うか」
アルカが予約していた席へと案内する。
「ほう、中々良い席を取ったね、アルカ君」
「俺、美少女コンテスト優勝とかネームドボス討伐とかでお金は持ってるから」
「成程、ははっ! 成る程ね」
カノンは、顎に手を当て笑った。
「何か変たった?」
「いやいや、私も稼ぎたいなと思ってね。ロボット開発に使いたい。私は器用値とHP以外0だからね。早く開発したいのだよ」
「器用値が高い……というと、武器とか直せたりする?」
「大抵の武器は直せると思うよ」
「これ、何だけど」
アルカは、クリスタルブレードを装備せず、目の前に出現させる。
「随分大きな武器だね。確かに難しいが……私の力であれば、直す事は可能だ」
「本当か!?」
「ああ、ただ……プレゼントして欲しい物があるのだよ」
「俺に可能な範囲であれば……」
「【小型ロボット作成キット】が欲しい。1から小型ロボット、そうだね2mくらいのロボットが作れるキットで、自由にモデリングが出来るんだ。良いかな?」
アルカは、ここに来るまで、このゲームでロボットを目にしていなかった。
理由は、2つ考えられる。1つは、使いにくい、それか……値段が高いかである。
「俺が買える範囲であれば良いけど、高そうだな」
「それなりの値段はするね。お礼と言っては何だが、いつか君専用の装備を作ってあげるよ」
「あ、ああ」
すっかりカノンのペースに乗せられてしまったアルカであった。流石生徒会長と言った所であろうか。
「会長! アルカさんにあんまり無理言っちゃ駄目ですよ!!」
「ははっ! アルカ君は別に無理だと言ってない。だから私も遠慮しなかった、それだけだよ。全く君は、透き通った心を持った良い子だな」
カノンは、キメラの頭を撫でた。
「も、もう////、会長ったら……アルカさんも無理だったら無理って言ってくださいね」
「分かった」
アルカは、二人のやり取りを「仲が良いんだな」と見守っていた。
「そろそろ何か頼もうぞ。拙者は、これにするでござる!」
極は、紫色のサツマイモソースがかかったオムライスを指差す。
「美味しいのか? それ。ま、いいや、俺はドラゴンの肉ステーキにしよっと」
極とアルカに続き、キメラとカノンが注文する。
キメラは、ハチミツ&メイプルシロップチャーハン。カノンは、ウルトラバナナパフェを注文する。
「皆、奇抜なのを頼むなぁ」
「アルカ殿のドラゴンの肉も奇抜ではござらんか?」
「RPGとかだと良くあるだろ……多分。というかカノンちゃんのウルトラバナナパフェが一番普通だな」
注文をし、少し経つとメニューが運ばれてきた。
「さて、第三層へ来た事だし、目的は魔王退治になるのかな? おそらく今までの層と比べて長い戦いになる可能性が高い。皆の時間ある時に一気に攻略したいと思っているけど、どう?」
アルカが、それぞれに問う。
「確かに、学校や仕事終わりだと時間がバラバラだったりしますからね。日曜日とかに攻略を進めるのが良いかもしれませんね」
キメラがアルカの考えに同意する。
「確かに、私も生徒会長の仕事があるからね。と言っても毎日ログインする事は可能だけど」
「拙者はログイン出来ない日もあるでござるが、日曜日なら可能でござる」
ほぼ同意見であった。
「じゃあ、今週の日曜日の13:00から本格的な攻略をするって事で良いか? それまでは自由に各々レベル上げとかするとかして」
「悪く無いね。私もまだまだレベル不足だ。ロボットさえあれば、ソロでも行けるんだけど今はないからね」
カノンは、アルカをチラリと見る。
「ああ、今度買いに行くか」
「了解したよ。食事が終わったら、すぐに二人で買いに行こうか」




