34.ライバル宣言
「はぁ!! アルカさんは確かに強い! しかしですねぇ! 私の方がレベルは圧倒的に”上”何ですよ! うえぇ!!」
「くっ! 確かに一撃一撃が重い……! でも前戦った時はここまで重い攻撃じゃ無かった筈だ」
ユニーク武器である、大鎌のおかげもあるが、育成の方針を変えたという事も理由の1つであった。
アルカは、クリスタルブレードで弾くが、それにもヒビが入っていってしまう。
そして、遂には破壊されてしまうのであった。
「俺のクリスタルブレードが!!」
武器は破壊されてしまうと、修復しなくてはならない。よって、この勝負に使用する事は叶わなくなる。
「壊れてしまいましたね……壊れましたねぇぇぇ!!!! ぶっ壊れたなぁ!!」
ミサキは勝利を確信したかのように笑う。
「おまけにその武器を修復するには、かなりの器用値を要する筈です。残念でしたね」
アルカは、危険を察知し、後ろに大きく下がる。そして、クリスタルブレードの装備を解除する。
そして……。
『ユニークスキル【第三の瞳】を取得しました』
(このタイミングでユニークスキル!? 奇跡が起きたって奴だな)
【第三の瞳】の解放条件は、武器が破壊される事である。最も、ユニークスキルなのもあり、アルカ以外取得出来ないが。
「まだまだ勝負はこれから! スキル発動! 【第三の瞳】!!」
「!?」
スキルを発動すると、アルカの翼の三番目の瞳大きく見開く。
【第三の瞳】:
レベルが自分より上か、下のプレイヤー相手にのみ、発動する事が出来る。
相手プレイヤーのコントロールを10秒間得る。
その際、このスキルを発動したプレイヤーは、行動不能となる。
「か、体が動きません」
「それがこのスキルの効果だ! 最も、燃費が悪いから連続使用は出来ないけどな」
アルカは、ミサキの身体を操り、大鎌でミサキの身体にダメージを与え続けた。
「な、何なんですか!」
ミサキのHPが減っていく、そしてHPが4分の1となった所で、スキルが解除される。
「よし! 大分削った」
「ここからが本番ですよ?」
ミサキの大鎌から、【デス・サイズ】を使用した時とは違う、赤黒いオーラが発生している。
「この武器は、私のHPが残り少なくなると、私の攻撃力と特殊攻撃力が増加する特殊な武器です。さぁ! そろそろ終わりにしますよ!」
ピンチかと思われたその時、極が駆けつける。
極は、ミサキを刀で攻撃する。
「キメラさん!! 何で負けてるんですか!! まぁ良いです。残念ながら貴方が来た所で変わりありませんよ」
「それはどうかな? ……アルカ殿! 合体でござる!! スキル攻撃で一気に決めるでござる!!」
合体とは、何なのだろうか?
「おう! 来い!」
「「合体!!」」
二人はそう叫ぶと、極がアルカの背中に乗る。
「合体だか何だか知りませんが、ただ上に乗っただけで何が変わるんですか? それに、まとまってくれたおかげで一気にキル出来ます。【グロリアス・ダークロード】!!!!」
ミサキの両手にドス黒い球体が生成される。それを鎌で弾くと、極太の光線のように、二人に向けて発射された。
「決めるぞ……!!」
「ああ……!!」
二人は特に作戦を決めていなかったが、何となく互いの考える事は分かっていた。
「【エンチャントレインボー】!、【流星群】!」
極は、2枚の札を使用する。
初めて使用する【エンチャントレインボー】は、次のスキル攻撃に全属性を付与するスキルだ。
「スキル発動……!! 【爆炎】!!」
アルカは、爆炎を使用する。
二人の攻撃がミサキに襲い掛かる。
「スキル同士で激突させる気ですか! 負けませんよ!」
七色に輝いた流星群と爆炎は、グロリアス・ダークロードとぶつかり合う。
「根性だけでは勝てませんよ?」
「確かにそうでござるな。しかし、拙者の【エンチャントレインボー】で、【流星群】は全属性が付与されているでござる」
「くっ……ですが! レベルは私の方が上です! スキルのぶつかり合いでは勝てません」
アルカが言う。
「最初からそのつもりは無い」
アルカは、極をミサキに向け、技を回避するように上手くぶん投げた。
「ふにゃあああ!!」
極は、そのまま、ミサキに突きを入れる。しかし、HPは削りきれていない。
だが、咄嗟の出来事でグロリアス・ダークロードの方向がズレる。
「今でござる!! 拙者ごとやるでござる!!」
「すまない! 超至近距離! 【爆炎】!!」
アルカは、ミサキに接近すると、【爆炎】を使用した。
「ぐあああああああああああああああ!!」
ミサキの残りわずかのHPは削れ、極と同時に0となった。
「……ふぅ」
アルカは、ホッとし、床に座り込んだ。
「またしても……負けてしまいました……。しかし、これは予行演習です」
ミサキが言った。
「予行演習……だと?」
「【パーティ対抗トーナメント】。私はそこに出場します。アルカさんも出ますよね?」
「まぁな!」
「それなら良かったです。次こそが本番です。必ず勝って見せます。ですから……私と当たるまで負けないでくださいよ?」
ミサキは、流し目でアルカに宣言するのであった。
「ああ、決勝で会おうぜ!」
(決勝で会える確率って相当低いですよね)
キメラは、口には出さず、心の中で突っ込みを入れるのであった。
「それとキメラさん、貴方の名前も覚えました。アルカさんと同じパーティで出ると予想していますが……もしそうなら一緒にボコボコにします!!!! 絶対に!!!!」
「えっ」
ミサキは、タッグパートナーであるキメラが倒された事に、勝手にキレていた。
「はは、ライバル登場だな!」
「そ、そうですね」
アルカは笑いながら言ったが、キメラは苦笑いをするのであった。
「そういう訳だ。絶対に勝とう!」
「は、はい。最初からそのつもりでしたよね……?」
「? ……ああ!!」
少し間を置いた後に、アルカは腕を組みながら返事をした。




