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32.第二層フロアボス、それは前座である

 カノンは開いていたメモ帳を閉じる。


「では、戻ろうか」

「そうだな。もうここに用は無いしな」


 どうやらこの広場が行き止まりのようだ。

 アルカとカノンは、ドワーフの村の村長の元へと戻る。


「村長、貴方のミッションクリアさせて貰ったよ」


 カノンがニコリと笑いながら、村長に語り掛ける。


「少しはマシな顔つきになったな。これをやろう。精々精進する事だな」


 村長は、カノンに鍛冶師入門セットを渡した。


「大事に使わせてもらうよ」

「良かったな!」

「これで私はまた、一歩前進した。さて、私は今日の所は失礼させてもらうよ」

「そうか。俺も今日は遅いしログアウトするかな」


 二人は、セカンドタウンへと帰還すると、ログアウトした。




「もうこんな時間か」


 ログアウトしたカケルは、時計をふと見る。

 大分時間が経ってしまったようだ。


「ゲームやってると、時間があっと言う間だな」


 そうである、あっと言う間なのである。


「それにしてもまさか、生徒会長さんがパーティメンバーとして参加する事になるとは思わなかったな。となると、現時点で決まっているメンバーは、俺、キメラちゃん、カノンちゃん……後二人か……」


 後二人をどうするのか、悩み所である。

 そんな中、メンバー候補である、極の姿が脳裏に浮かぶ。


「そういえば、極はどうしてるのかな。あの後連絡付かないしなぁ。ユニークスキルを取得出来ているといいな」


 極と最後に会ったのは、祝勝会後の戦いが最後である。


「負けてショック受けて無ければ良いけど。そもそもMP使用せずにスキルを使用出来るって強すぎだろ」


 ユニークスキル【マジカルチェンジ】のチートさに、1人突っ込みを入れるカケルであった。


「俺もそろそろユニークスキル【第三の瞳】を開眼させたい所だな」


 アルカの右翼にある瞳は4つ。左翼にある瞳も4つ。合計で8つの瞳が存在する。

 【第一の瞳】は、プレイヤーの装備。【第二の瞳】は、スキルの吸収。


「【第三の瞳】は、どんなスキルになるんだろうか」


 今まで、アルカが取得したユニークスキルは、対戦相手に大きく依存した能力だという共通点がある。


「とにかくレベルを上げないとな。それには……」


 ユニークスキルの取得は、レベルの上昇だけが条件では無さそうだが……。


 カケルは、ベッドに寝転ぶ。


「第三層へ行く必要があるな。第二層のフロアボスは、20レベルが適性レベルらしいから今の俺なら大丈夫だな。そもそもダークワイバーンが第二層のフロアボスくらいの強さらしいからな。大丈夫だろ……何も無ければ」


 そう、イレギュラーが起きなければ、苦労せずに第二層のフロアボスを倒せるだけの実力は持っている。

 そんなカケルの頭に、エクシードゴブリンの不気味な姿が思い浮かぶ。


「うん……多分大丈夫」


 予定であれば、第三層のフロアボスは、【スペシャルユニコーン】である。

 遠距離系のスキルを多用してくる強力なボスだ。カケルは、ネットで検索をかけ、その情報を自らの脳にインプットしていた。




 そして、次の日。

 仕事から帰宅したカケルは、いつでも寝られる準備を整えると、GWOへとログインする。


「第二層のフロアボスは、セカンドタウンのすぐ近くにあるんだったよな」


 第二層のフロアボスは、セカンドタウンのすぐそばにある。

 それもあり、多くのプレイヤー達がパーティを組んでボスへと挑んでいく。

 運営の考えとしては、第二層で仲間を作って、気軽にフロアボスに挑んで欲しいとの思いがあるのだろう。

 それ故に、レベルを適正レベルに上げずともすぐにクリアされがちで、第二層に留まるプレイヤーは少ないと言われている。

 アルカがボス部屋へと足を踏み入れようとした……その時である。


「待ったー!!」

「誰だ!」


 上空から聴き覚えのある声が聴こえてきた。

 アルカが上を見上げると、巨大なカラスが飛んでいた。


「誰か乗っているのか?」


 巨大なカラスはものすごい勢いで、アルカの元へと接近し、再び大空へと飛翔する。

 そして、空高くから、銀髪の少女が地面へと降ってきた。


「とうっ! ……フッ!」


 地面へと着地をすると、銀髪の少女……きわみのHPは大きく削れる。

 そして、極はアルカに向け、ドヤ顔で言う。


「待たせたな!」

「極……!?」

「第二層のフロアボス……拙者もお供するでござる!」

「良いけど……大丈夫なのか?」

「今の拙者は一味も二味も違うでござるよ?」

「あ、いや、HP大丈夫かなって……」


 高くから飛び降りた事により、HPを大きく削ってしまった極を、アルカは心配した。


「回復薬持ってるから大丈夫でござるよ!」

「そ、そうか」


 ボス部屋へと、二人で足を踏み入れる。

 ボス部屋は、洞窟の中のような、広場のフィールドで、戦いやすいようになっている。


「あれが【スペシャルユニコーン】……!!」


 一角獣である、ユニコーンをモチーフとした紫色のモンスター、【スペシャルユニコーン】が現れた。

 現われたのだが……。


「【デス・サイズ】!!」


 もう1人、聞き覚えのある声が背後から聴こえてきた。

 大鎌をたずさえた少女のスキル攻撃が【スペシャルユニコーン】に襲い掛かる。


「マジカルチェンジ! ……光の波動、10連射!!」


 そして、もう1人……。


「ミサキちゃんに、キメラちゃん!?」

「すみません。私もビックリしたんですけど、ヴァーチャル配信者のミサキちゃんがどうしてもアルカさんに会いたいって言うから、フレンド探索機能で案内しました。有名配信者と偶然出会える何て驚きです」


 ボス部屋へと、アルカ達と同時に足を踏み入れていた二人であった。

 これで合計4人がボス部屋に入った事になる。


「キメラちゃーん、手っ取り早くあの雑魚倒しちゃいましょうよ」


 ミサキがキメラに目で合図をする。


(何か、配信の時よりも口悪いですね。それとアバターも大分イメチェンしてるし……)


 キメラは心の中で、思ったが口には出さず、連続スキル攻撃で【スペシャルユニコーン】を攻撃し続ける。


「ちょっと!! 拙者に活躍させろでござる!!」


 極が二人に叫んだ。


「待っててください。……【グロリアス・ダークロード】!!」


 ミサキの両手にドス黒い球体が生成される。それを鎌で弾くと、それは、極太の光線のように相手に襲い掛かった。

 ミサキはレベルが高いのもあり、【スペシャルユニコーン】は今の一撃で倒れ、粒子となった。


「終わりましたー。私にかかれば楽勝ですね」

「いや、何か凄いな」

「アルカさん程じゃないですよ。何で私がアルカさんに会いたいかったか……分かりますよね? やりましょうよ、バトル。こっちはやりたくてウズウズしてるんですよ。分かります? この気持ち」

「いや、確かにバトルは楽しいけど……というかミサキちゃん、そこまでレベル高いなら他のプレイヤーと戦ったら? 俺より強い人は、沢山居る筈だぜ?」

「違います!! 私は!! 大舞台で!! 私をボコボコにした!! 貴方と戦いたいんです!!」

「う、うん?」


 別にボコボコにしたつもりは無いアルカは首をかしげる。


「あのー……それを言うなら拙者もキメラ殿と再戦したいでござる。この前、全く歯が立たなかったでござるからな。というか!! 拙者戦う気満々だったのに全然戦ってないでござる!!」


 ミサキが大鎌を地面に叩き付け、ニヤリと笑い、言う。


「なら、やりますか? タッグバトル」

「タッグバトル……?」


 こうして、真なるフロアボス戦とでも呼べる戦闘がスタートしようとしていた。

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