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298.挑発は世界の危機

 その後も暗い雰囲気にはなる事なく、参加者全員がパーティーをエンジョイした。

 本来呼んでいなかったケンヤも結局最後まで一緒にパーティーに参加し、最後に酔った勢いでアルカに言った。


「アルカさん、加速対策はバッチリだからね」


 何やら対策をしていたようだが、詳しくは言わなかった。

 今この瞬間もカイゾウ達に関しされている可能性を考えての事だろうか?


 そして、翌日、漆歴うるしれき2022年2月14日。

 朝10時に普通のプレイヤーは入る事ができない特殊コロシアムへと招待される。


「ワタクシ達も応援に行きたいのですが」


 ジルコ達は世界の命運が掛かっている試合を観戦したいようで、アルカにそれを言った。


「勿論いいぞ! ジルコちゃんは優しいな」

「ここで世界が消えては、貴方を倒す事ができなくなってしまいますからね!」


 結果、昨日パーティーに参加したメンバーに加え、関係者である神ゴッドもやって来た。


「お゛い゛! 失敗すんじゃねぇぞボケが!」


 アルカに対し、熱いエールを送った。


「ボクも来ました! 最後までお供します!」


 高性能人工知能を搭載したキャラクター、ミルもやって来た。


「随分とギャラリーが多いね。けど、私は寛大だからね。許可しよう!」

「貴方が……カイゾウさん」


 ブリリアントサイバーの社長である、カイゾウのアバターがコロシアムの向かい側にいる。

 見た目は黒髪ロングのクリクリした目の美少女だ。

 服装はシンプルなセーラー服といった感じだ。

 リアルのカイゾウはおじいさんだと聞いていたので、アルカは思わず首を傾げる。


「たっくよぉ! あんな化物とやり合うなんてなぁ! 分かってたけど、怖いぜ、ったくよぉ!」


 そして、血の色をした髪の毛をし、血の色の鎧を身にまとった少女が、副社長のエンジョウである。

 こちらも中身はおっさんだと聞いていた。

 アルカは再び首を傾げる。

 だが、誰でも女の子になれるのが、このゲームの売りの1つなので、これでいいのかもしれない。


「ちなみにどうだ? 社長さんと俺のアバターは? 1から作ったんだぜ?」


 どうやらランダム生成ではないらしい。


「何勝手に作ってんだゴミ共が!!」


 ここでケンヤがキレて叫んだ。


「おいおい、見た目かわい子ちゃんなのに、怖いねぇ!」


 エンジョウがヘラヘラ笑う。


「いいじゃないか。それにしても……言葉には気を付けた方がいいよ?」

「どういう事だ!」


 ケンヤが叫んだ。

 あまり挑発しない方がいいだろうが、流石にカイゾウも、自分達がゲーム内にいては手出しは出来ないだろう。


「こういう事だよ?」


 カイゾウがメニュー画面を開き、オプション画面をタップすると、おそらくケンヤでも見た事のないであろう項目が出現した。


「この【オールデリート】ボタンをタップするとね? 【ワールド】全てを全部削除する事が可能なのだよ。勿論、リアルの世界からアクセスしている私達は無事だがね!」

「何だと……? どこまでも僕体をコケにするつもり何だ! いい加減にしろよ!! 脳味噌う〇こ野郎!!!!」


 人の命を簡単に消そうとする。

 そんなカイゾウに対し、ケンヤはキレ気味に叫んだ。


「う~ん。手が滑りそうになっちゃうなぁ」


 カイゾウはニヤニヤしながら答えた。

 アルカは急いでカイゾウの前に行く。


「す、すみません。今日で全部消えちゃうって考えると、どうしてもああやって錯乱しちゃう人もいると思うんですよ。本当すみません」


 アルカはカイゾウに対し、頭を下げた。

 ケンヤはそんなアルカを見て、「君が頭を下げる必要はない! というか、そんな奴ら試合開始前にぶん殴るといい!」とか叫んでいたが、ここで世界を終わらせる訳には行かないので、流石にそういった事はしなかった。


「私からも謝ります」

「おや?」


 極も頭を下げると、極の肩にカイゾウが手を乗せる。


「もしかして、双葉七我流ふたばながれちゃんかな? てっきり、クロアちゃんと組むと思ってたんだけど、そこの彼と組む事にしたようだね」


 おそらく初めから知っていたのだろうが、わざとらしくそう言った。


「え!? ナガレちゃん!? ナガレちゃんなの!? 極がナガレちゃん!?」


 アルカは驚きのあまり、ナガレの名前を連呼した。


「あっ、その……そうだよ!」


 隠せないと思ったのか、極はそう言った。


「私こそが、双葉七我流ふたばながれだったのだ! 約束通り、また会えたね! カケル君!」

「お、おう! というか、言ってくれれば良かったのに……」

「あの時は、極ってバラしちゃうと、カウンセリング能力が弱まると思ってね!」

「何だよそれ」


 こんなに早く再開できるとは思ってもいなかった。

 まさか、極とナガレちゃんが同一人物だとは。

 アルカは予想外だったが、よく思い出して見れば似てるかもしれない。


「ったくよぉ! 嬢ちゃん相手だとゲームとは言えやりづれぇなぁ」


 エンジョウは頭の後ろをかいた。


「ご心配なく! ゲームなので!」


 そんなエンジョウに、極は元気一杯に答えた。


「眩しいねぇ。じゃ、お言葉に甘えさせて貰うぜ!」


 そしてお互いが指定の位置に立つ。

 試合が開始するかと思ったが。


「おい! ゴミ共! ちょっと待ってろ! 最後の作戦会議だ!!」


 ケンヤがカイゾウとエンジョウにそう叫ぶと、アルカを観客席に手招きした。

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