31.ドワーフの村で鍛冶道具取得の為にミッションを受ける
アルカとカノンは、自己紹介を終えた後、第1層のドワーフの村へと来ていた。
「へぇ、第一層にこんな所があったのか」
ドワーフの村は、職業システムが実装された後に新しく出来たエリアである。
この村では、【鍛冶師】としてやっていく為の基本道具を手に入れる事が出来る。ただし、ミッションをクリアする必要がある。
「キメラ君から聞いた情報ではここで【鍛冶師】に必須な道具が手に入るらしい」
「そうなのか」
「それが無いとまともな物が作れないらしいからね。だが、ミッションをクリアしなくてはならないんだ」
「あっそういう事か、だから俺も一緒何だな?」
「そういう事さ、【鍛冶師】は器用値以外のステータス補正を受けない。だから【鍛冶師】だけでは攻略が難しいのだよ。おまけに私のステータスは特殊でね。器用値とHP以外の数値は0だ。最も装備で補えはするけどね」
カノンのステータスはかなり特殊であった。
何と、HPと器用値以外が一切成長していないのだ。その分器用値は他のプレイヤーよりかなり高めとなっている。
「まさに! 私にピッタリなステータスだ!」
「それだと一発で倒される可能性があるな」
「そうだとも、だからとも私は早くロボットを作らなくてはならない」
いきなりロボット作成は難しいのでは無いだろうか。
「で、ミッションはどこで受けるんだ?」
「ここだ。この村長からミッションを受けられる」
村長の家に二人は入る。中には毛むくじゃらの人間だと60代くらいの外見のおじいさんドワーフが居た。
「やぁ、私こそが天才メカニック&パイロットのカノンだ。早速ミッションを受けさせて貰うよ」
「【鍛冶師】か……その目……まだ“本物”じゃないな」
「ぬぅあっ!? 何だと!?」
カノンはあらかじめ設定されているであろう、ドワーフ村長の言葉にショックを受けた。
「いや、これ他のプレイヤーにも言ってると思うから、あまり落ち込まなくて大丈夫だと思う」
「はっ!? 確かに……。すまない、取り乱してしまった」
カノンが冷静に戻ると、村長がミッションを授ける。
1枚の紙にそのミッションは記されていた。
☆ミッション☆
カノぴょん、アルっちへ☆
ドワーフの森の奥地に居る【ダークワイバーン】を倒してね☆
強さ的には第二層のフロアボス相当だから頑張ってちょんまげ☆
村長より!
「うわっ」
アルカは、手紙の内容と実際の村長の話し方のギャップに驚いてしまった。
「中々ユニークな方だね」
「うるさい。さっさと行け、小娘風情が」
「ははっ! 任せてくださいよ」
二人は、ドワーフの村の奥の森へと進んだ。この森を進むとワイバーンと出会えるらしい。
「第二層のフロアボス相当か。まっ俺のレベルなら何とかなるか」
「期待してるよ」
アルカは、ネームドボスである、ポチを討伐した事により、第二層のフロアボス討伐の為の適性レベルを超えている。
「残念ながら、私は足手まといだから、そのつもりで頼むよ」
「あ、ああ」
実質的にソロで挑む事となったアルカであった。
森の奥地まで進むと、いかにもボス戦の為に作られたかのような広場があった。
二人は足を踏み入れると、黒いワイバーンが凄い勢いでアルカに突進して来た。
「【メタルウイング】」
「ヒョオオオオオ」
アルカは、スキル【メタルウイング】を発動させ、カウンター攻撃を浴びせた。
「素晴らしい!」
カノンはニヤリとしながら拍手をした。
アルカは、怯んだ所でダークワイバーンの顔面をぶん殴った。
「ヒョロオオオオオオ」
ダークワイバーンは上空に吹っ飛ばされたが、途中で体制を整え、再び空へと飛翔した。
本来ならかなり面倒な相手であろうが、飛翔出来るアルカにとっては、追撃も容易である。
「逃がさない!」
アルカは、飛翔をするとスキルで追撃する。
「新スキルだぜ……【爆炎】!!」
アルカの口内より、炎の球が発射される。ダークワイバーンにヒットすると、炎の球は爆発する。
「よしっ!」
「ヒョッ……ピョッオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「!?」
ダークワイバーンはアルカに背を向ける。
カノンを狙っているようだ。
「しまった! カノンちゃん! 逃げて!」
「何を言っている。私の素早さで逃げられる訳ないだろう」
カノンは、白い銃を取り出す。
どうやら、レーザー銃のようだ。
「ばん!」
ダークワイバーンに向けてレーザー銃を発射すると、ダークワイバーンは軌道をずらした。
「銃系の武器は、基本プレイヤーの能力に左右され無いからね。レベル6まで上げられたのもこの武器のおかげだよ」
「な、なるほど。でも良かった」
ダークワイバーンが怯んでいる間にその背に【爆炎】を叩き込む。MPの限り、それを連射する。
「トドメだ!」
アルカは、地面に倒れているダークワイバーンをその巨体で押し潰した。
ダークワイバーンのHPは0となり、粒子となり消滅した。
「ふぅ……何か今回は普通のボスだったな」
隠しボス、ネームドボス等と戦って来たアルカだったので、今回は割と簡単に感じたようだ。
「凄いパワーだね。成程、飛行能力もこのゲームでは重要な訳だね」
「何メモってるんだ?」
「機体のアイデアをメモっているんだよ」
「なるほど」




