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292.ユニークスキル解放

 まるで泥団子のような味のオーク肉や、その他料理を堪能したアルカは、ケンヤと共にレストランを出る。


「おっ! ユニークスキルが解放されたぞ」


 アルカは条件を満たすことにより、後3つのユニークスキルを解放できる。

 ブレイドアロー社の社長であるケンヤの助言は正確なもので、メニュー画面を開くとそのスキルが確認できた。


「じゃ、後2つだね。パパッと済ませちゃおうか」

「軽いな。後2つもそんな簡単に取れるのか?」

「まぁね」


 という事で、ケンヤの指示通りのことを行うのであった。


「悪い悪い!」


 アルカは第1層の冒険者ギルドを破壊し始めた。

 迷惑は掛かるが仕方が無い。

 これこそが、次のユニークスキルを解放する条件だったからだ。


「いい破壊っぷりだね」


 ケンヤは拍手でアルカを応援。

 ちなみに破壊したオブジェは5分以内に復活するので、破壊されても安心だ。

 ただ、普通にマナー違反なので、掲示板に晒されるかもしれない。


「ケンヤさん、俺掲示板に晒されるのか?」

「おや? 嫌だったかな?」

「俺、クリーンなイメージでやって来たからな。ちょっと心に来るかも知れねぇ」

「別に見なければいいんじゃないのかな? それに世界を救う為だし、僕は別にいいと思うけどね?」


 だが、他のプレイヤーはそんなこと知らない。

 申し訳無さそうな表情で破壊を続けるアルカを見て、ケンヤは半笑いをしながら、ため息をつく。


「仕方が無いな。僕と君の中だ。ヘッドギアを通じて、君の今行った行為は無かったことにしておくよ」


 ヘッドギアを被っているプレイヤーの記憶を操作してくれるようだ。

 ケンヤにはそれが可能であった。

 それを聞いたアルカは。


「ありがとう! 助かるぜ! 誰も覚えて無ければやってないのと一緒だしなぁ!」


 アルカの顔から迷いが消え、冒険者ギルドを破壊しつくしたのであった。

 そして最後にスキルを連続で使用し、完全に冒険者ギルドを消した。


「そこまでやらなくても良かったんじゃないの?」

「どうせ無かったことになるんだし、関係無いと思ってな!」

「確かにそうかもしれないね」


 その時、ケンヤは思った。


(あっ……そういえば、今の僕に管理者としての力はほとんど残って無いから、記憶操作とか出来ないんだよね)


 という事で本日2つ目のユニークスキルを解放することに成功したのであった。

 残りは後1つ。

 後1つは、どうやって入手するのだろうか。


「残りの1つのユニークスキルの解放方法、それは」

「それは……?」


 アルカがゴクリと唾を飲み込む。


「結婚することだよ」

「結婚!? ちょっと待て、子供ができるだろ? それだけは避けたい! それに今貯めてあるお金は俺のものだ! 誰にも渡さない!」


 焦るアルカに対し、ケンヤは軽く笑いながら言う。


「違う違う。別に現実で結婚する訳じゃないよ。このゲームには結婚システムってのがあってね」


 全プレイヤーが女の子になるが、それでも結婚システムがある。

 実質的な百合である。


「そのシステムを使用すれば、ストレージを共有できるようになる」


 ケンヤのストレージは以前、管理者権限で限界まで拡張されており、全てのアイテムがカンストまで入っている。


「ゴミ共はきっと反則的な手を使ってくるはずだからね。だからこっちもズルさせて貰うよ」


 要するにケンヤはこう言いたい訳だ。


「僕と結婚して欲しいんだ」

「俺もリアルでは男だからな。その言い方はちょっと……」

「結婚のやり方は簡単だ。メニュー画面から操作して、5分くらいで完了する。けど、その前にやっておく事がある」


 ケンヤが言うには、オプション画面で【ガールズラブ】の項目にチェックを入れなくてはいけないとのことであった。


「中には、いくらアバターとはいえ、女の子同士に嫌悪感を感じる人もいるからね。ほら、恋愛は自由だけど、自由だからこそ、そういうのが嫌だって人にも選択の自由が無いと不平等だ」

「意外と考えてるんだな」

「当然だ! 僕を誰だと思っている?」


 ケンヤはドヤ顔で胸を張ったのであった。


「ということで、早速結婚しよう」

「あ、うん」


 オプション画面から【ガールズラブ】にチェックを入れると、メニュー画面から結婚を選択する。


「これで完了だね」

「本当にあっと言う間に終わったな」

「あくまで気分を味わうシステムだからね。ストレージ共有くらいしか恩恵も無いし」


 あくまでゲーム内で恋におちたプレイヤー向けのようだ。

 だが、ストレージ共有は魅力的なので、戦略的に生産職と結婚する戦闘職のプレイヤーもいるという。


「これで最後のユニークスキルが解放されたね」

「そうだな」


 アルカはメニューからスキルを確認すると、確かにそれがあった。


「アルカさん、頼んだよ?」

「ああ、絶対に負けない」

「あくまで目標は時間稼ぎだ。それを忘れないように。とは言っても、いきなり倒されてもしょうがないから、こっちも全力で行った方がいいかもね。それともう1つアドバイス」

「アドバイス?」

「オートモードは使わない方がいい。加減ができなくなる」

「あれ楽で強かったんだけどな」

「今回は我慢した方がいいよ、それと……もし本当にピンチになった時は自分を見つめ直すことだ」

「自分を見つめ直す?」

「多くは語らないよ。ただ、それだけ脳の片隅かたすみにでも置いておいてよ」

ガールズラブのタグを付けるべきか迷いましたが、怖いので保険で付けました。

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