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289.学生と遊ぶ

「今日はいい天気だな」


 カケルは出掛ける準備を済ませた。

 旅に出るとか言っていたが、格好はその辺に出掛けるような格好だ。


「とりあえず、どこか遠くに出掛けるか」


 とりあえず電車に乗り、適当な駅で降りて、適当な事をしよう。

 そう考えていた。


「あの、ちょっといいですか?」


 何やらカケルの隣で制服姿の女の子が何か言っている。


「あ、あれ?」


 女の子は困惑してしまう。

 カケルが無反応だからだ。

 だが、カケルは無視した訳では無い。


「えーと、聴こえてます?」


 今度はカケルの顔を覗き込むように話しかけた。

 カケルはビクッとする。


「え? 俺に話しかけてるの?」

「はい!」


 なぜ、自分に話しかけるのだろうか?

 もしかすると、よくある痴漢冤罪という奴ではないのだろうか?

 しかし、ここは電車内ではなく、ホーム。

 しかも、人がそこまで多いという訳もないので、流石にそれは無いだろう。


(じゃあ何で俺に話しかけているんだ?)


 カケルは疑問であった。


「1つ訊いていいかな?」

「何ですか?」

「俺に何か用かな? もしかして迷子?」

「用といいますか、今日暇だったら一緒に遊びませんか? なんて」

(こ、これは逆ナンという奴では!? フツメン以下の、冴えない自分にまさかこんな機会がやってくるとは! 予想外だぜ!)


 カケルは頷いた。


「いいぜ! 今日は俺と遊ぼう! 宜しく、お嬢さん!」

「お、お嬢さん?」

「嫌かな? 嫌だよな……」

「そう言う訳じゃ無いですよ! でも、ちょっと恥ずかしいかな。私、双葉ふたば七我流ながれって言います!」

「そうか! 俺は究極アルティメットカケルだ!」

「あ、アルティメット!? 異名ですか!?」

「いや、立派な苗字だ」

「あ、そうなんですね。えーと、じゃあ究極アルティメットさん、今日は宜しくお願いしますね!」


 苗字が言いにくそうだったので、カケルは提案する。


「カケルでいいよ、双葉ちゃん」

「分かりました、カケルさん。じゃあ、そっちもナガレでお願いします!」

「ああ、確かに片方だけ名前呼びなのも違和感あるしな。じゃあ、ナガレちゃん、こっちこそ宜しくな! 後折角だ、敬語は無しで、友達みたいに接してくれ」

「え?」

「敬語は使われ慣れているものでね」


 GWO内では敬語を使われることが多かった。

 それに折角遊ぶのだ。

 対等な関係でいたかった。


「それじゃあ、カケル君で!」

「くん……だと……?」


 少々予想外であった。

 カケルは空を見上げニヤリと笑う。


(だが、悪くない!)

「あ、電車が来たよ!」


 2人は電車に乗り込み、席へと座る。


「どこまで行くの?」

「どうしようかな」


 全くのノープランであった。

 相手は学生、学生ならば学生が好みそうな所に行くのがいいのではないのだろうか。

 どうせノープランなのだ。


「あれ? そういえば、ナガレちゃんって中学生で良かったよね?」

「うん。なんで?」

「いや、なんか11歳くらいに見えたから」

「小学生に見えるってはよく言われるね。でも実際は14歳なのだよ!」

「そうなのか!? ってあれか、中学生くらいまでは結構そういう人もいるか。中学生となると、どこがいいんだ? ナガレちゃんに合わせるよ」


 カケルに突然話を振られたナガレは、少々考え込んだ末。


「ゲームセンター!」

「中学生らしい!」


 ということで、デパートへと遊びに行く事にした。

 そこであれば、お昼にはご飯も済ませられる。


「さて、やるか!」

「このゲームは?」

「このゲームはな、100円を入れると、リアルタイムで遊んでいる相手とカードゲームができるんだ。俺はリアルに友達がいないから、たまにこうやって遊んでる」


 カケルはデッキを指定の場所にセットする。

 リアルのデッキを読み込ませ、それを使用して戦えるのだ。


「カケル君はどんなデッキ使ってるの? って言っても、私はやった事ないんだけどね」

「俺のデッキはドラゴンデッキだ。ドラゴンは全体的に火力が高いのが多いからな、俺にも扱える」

「そうなんだ! カードゲームか、私も始めてみようかな?」

「友達と遊ぶ分にはいいかもしれない。ガチでやるのはお勧めしない。お金がかかるからな」


 カケルは対戦相手に負けると、排出されたカードを取る。

 ここから出るのはパックからは排出されないカードもある為、ここでカードだけを買うプレイヤーもいるくらいだ。


「負けちったか。残念だ。このカードは……使えないな」


 カケルは出てきたカードを見ると、スリーブに入れてナガレに渡す。


「友情のカードだ、受け取ってくれ!」

「使えないカードを私に!?」

「使えないってのは、俺のデッキには合わないってことだ」


 ということで、ナガレはそれを受け取る。


「あれ? このカードもドラゴンだよ? いいの?」

「俺のデッキは光属性ドラゴンで固めてるからな。そのドラゴンは残念ながら闇属性だ」


 ナガレが受け取ったのは、【ブラッディ・デス・ドラゴン】なるカードであった。

 字と絵が光っている。


「じゃあ、大切にするね!」

「ああ! 俺だと思って大切にしてくれ! 友情のカードだからな!」


 カケルは満足そうな表情をすると、次に移った。


「さて、次はこれをやるか」


 音ゲーであった。

 流れて来るノーツをタッチするタイプだ。


「よく見ておけよ?」


 カケルはイージーモードを選択。


「よし来た!」


 かっこいい所を見せようと、構える。

 ゲームがスタートをすると、無駄な動作も加え、楽しそうにプレイした。

 結果は。


「おお! クリアだね!」


 ナガレはパチパチと拍手をした。

 イージーモードなので、非常に簡単なのだが、音ゲーをプレイしたことのないナガレにとっては、何やら凄そうに思えたようである。


 その後もゲーセンをエンジョイした。

 すると12時になったので、フードコートで昼食をとることにした。


「カケル君、午後からはどうする?」

「そうだな。ノープランだからな……う~ん」


 悩んでいるカケルに、ナガレは言う。


「じゃあさ、カケル君の家で遊ぶってのはどうかな?」

「え? 俺の家何も無いんだけど……」

「私も普段、友達の家にお話する為に行ったりするから……何も無くてもいいんだよ!」

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