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281.世界滅亡まで後少し?

「では皆様、覚悟はいいですか?」


 GWOの100層にて、女神様が“2つ目”を話そうとする。

 女神様の前にはブレイドアロー社の社長ケンヤ、女神様の可愛い弟子ミーナと、女神様曰く馬鹿弟子である神ゴッドが立っている。


「全く、早くしてよね? 僕暇じゃないんだから」

「ケンヤさん、随分と余裕そうですね」

「どうせ大したことないと思っているからね。女神って言っても、所詮は別世界の住人。この世界の神的存在である僕を驚かせるなんて、できる訳がない」


 ケンヤは馬鹿にしたような笑みを女神様に向ける。


「分かりました。では、お話しましょう。これから、この世界に起こることを……」

「お゛い゛! 早く言えやボケ!」


 神ゴッドが暴言をはいた途端、女神様のチョップを食らうのであった。


「うるさいですよ?」


 女神様は咳払いをすると仕切り直す。


「単調直入に言いますと、もうすぐ世界が滅亡します」


 女神様以外、皆がポカーンとする。


「あれ? 意外と反応薄いですね」


「やれやれ、何を言い出すかと思えば……僕を楽しませるつもりで言ったのなら、不合格だよ」


 ケンヤは勝ち誇った笑みを女神様に向ける。


「とりあえず、続きを聞いてください。なぜ世界が滅亡するのかを」


 女神様は話した。

 この世界……いや、この世界とその平行世界、全てが同一のゲームの世界だということ。

 そして、そのゲームを開発者が終わりにしようとしていること。


 それらを隠さずに話した。


「へぇ、いい設定だね!」


 ケンヤは爆笑しながら拍手をした。


「設定などではありません。事実です」


「何言ってるのこの人! この人馬鹿でーす!」


 ケンヤは女神様を指差し、大爆笑。

 呼吸が困難になる程、爆笑した。


 そんな中、ミーナも困った顔で女神様に言う。


「あの、女神様のことを信用しないという訳じゃないんですけど、いきなり過ぎて現実味がないと言いますかなんと言いますか……」

「残念ですが、嘘ではありません。しかし、確かにいきなり過ぎですね」

「う~ん。あっ! じゃあ、どうやったらその、私達の世界が消されずに済みますか!? 仮に本当に滅亡しないとしても、予防しておくに越したことはないです! なにか、私達にできることはありますか?」


 女神様は気まずそうな表情をすると口を開く。


「先程も言いましたが、ありません」


 漆歴の皆が力を合わせても無理だ。

 どうにもならない。

 それらを正直に告げる。


「いずれ私が神となる世界も、漆歴の世界も……全てがゲームの世界だと……? お゛い゛! 私には今までそんな話、全然しなかっただろうが! 私はいずれ神となる存在だぞ! なに隠しごとしてんだボケが!」


 神ゴッドは相変わらず、師匠である女神様に暴言をはく。

 今回はいつにも増してキレている。

 だが、それ程女神様の言うことを本当だと信じているという証拠でもある。


「それについては本当に申し訳ないです」


「お゛い゛! 申し訳ないで済むかボケ! 消えるんだぞ!? 師匠も、私も!!」


 女神様は何も答えなかった。


 そこで、ミーナが口を開く。


「なんとかならないんですか!?」


「なんとか、ならなくはないです。1つは運ですが……先程、それが悪い方向に転びました」


「悪い方向……ですか」


「はい、2月14日。つまりは9日後に世界が滅ぶことが、ほぼ確定してしまいました」


「え!? なんでそんな急に……なにがあったんですか!?」


「開発者がデータを削除する日を正式に決めたようです」


「そ、そんな……」


 ミーナは膝から崩れ落ちる。

 師匠の本気の目を見て、嘘を言っていないこともなんとなく分かって来た。

 そんなミーナを女神様は悲しそうな目で見つめる。


「ごめんなさい……本当に。ですが、助かる道は、まだあります」


「え!? だってさっきはこの世界の人達が力を合わせても無理だって言いませんでした!?」


「言いました。けれど、開発者に直接干渉できる人達の力を借りれば、助かるかもしれません」


「そんな人いるんですか!?」


「はい。ミーナさんのよく知る方です」


「よく知る……アルさんですか!?」


 女神様は首を横に振る。


「残念ですが、あの方はこの世界の一般人です」


 アルカはアバターこそ特殊だが、漆歴の世界の一般の人間だ。

 残念ながら、開発者に干渉することは、少なくとも現時点では不可能だ。


「じゃあ、誰なんですか? 私のよく知る人って……」


 皆が女神様に注目する。


「極さんと、クローさんです」


「ぷっはははははは! なにを言い出すかと思えば! あの達も、西暦っていう平行世界の住人だ!」


 ケンヤは再び女神様を指差して笑う。


「いいえ、違います。あの世界こそが、その開発者が存在している、いわば1つ上の層の世界なのです」

「面白い冗談だ。証拠は、証拠はあるのかな?」

「証拠、ですか」

「うん。証拠がなければ、嘘と一緒だよ」

「でしたら、今度極さんかクローさんがこちらにログインした際に、こっそり心を読むといいです。ケンヤさんならば、相手の思ったことを読める筈です」


 ケンヤはブレイドアロー社の社長権限で、プレイヤーの考えていることを、リアルタイムで聴き取る他、ログとして読むことができる。


「今まで、彼女達のログは何回か観察したけど、それらしい証拠は何もなかったよ?」


「はい。ですが実は先程、このゲームの開発者と干渉したようです。そして、この世界の秘密も知ったようです」


「ほぅ、なるほどね。ま、いいよ。嘘だと思ってやってみる。少しは期待しておくよ。どうせ嘘だろうけどね」


 ケンヤはヘラヘラと笑う。

 ここにいる中でケンヤのみ、絶対に信じようとはしない。


(ここがゲームの世界? 開発者……僕より上の存在だと? そんなもの認められるか)


 電子生命体となった自分より上の存在がいるなど、認めたくないのだ。


 自分が何者かのこまの1つの訳がない。


 ケンヤはそう確信している。

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