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274.仲間達の楽しいゲームプレイの物語

 部屋には見たことのないような機械や、パソコンが複数並んでいた。

 まるで研究所のようであった。


「驚いてくれて嬉しいよ。ここが秘密の部屋だ」


「ほ、本当に驚いたわ! なんなんですか!? この部屋は!?」


「秘密の部屋だよ」


「アニメの世界みたいだわ!!」


 クロアはテンション高く目を輝かせ、機械を見て回っているが、ナガレは不安になった。


(私達、秘密を知って消されないかな……)


 ナガレはついつい不安になってしまう。

 わざわざ山小屋の地下に、ここまでの設備を備えているのだ。


 そう、正真正銘の秘密の部屋だ。


 アニメの世界じゃない。


 なにをされてもおかしくない。


「1つ訊いていいですか?」

「なにかな?」

「私達をどうするつもりですか?」

「ホッホッホ! そこまで警戒せんでも宜しいよ! 今から、外部に漏らせない話をするからね。ここに来てもらったのだよ」

「外部に漏らせない話……ですか」

「うむ! とにかく、皆座りたまえ」


 4人は椅子に座る。

 会議室にあるような机があり、椅子はパイプ椅子だ。


「さて、まずさっきの件だけど」


 さっきの件とは、ナガレが将来自分の手でVRゲームを作りたいと言っていたことだ。


「あれに関して、なぜ私がああも厳しいことを言ったのか。その答えは……もう既に私が作っているからだよ」

「え?」


 この言葉がハッタリでないとするのならば、ここでヘッドギアの開発者が早くも判明した、ということになる。


「信じてないね? 確かに、私が君達の立場なら信じないよ。ということで、証拠をお見せしようかな、とは言っても、もう証拠は君達の手にあると思うのだがね」


「もしかして……!! ヘッドギアね!!」


 クロアが元気よく答えた。


「その通りだよ。どうだったかな? 極秘に開発していたVRゲームの味は? 楽しいゲームプレイはできたかな?」


 社長がニコニコしながら問う。


「ったく、大変だったんだぜ? ま、そのぶんかなりいいものができたと思ってるけどな! ちなみに、俺も開発に携わったんだぜ? どうだい、嬢ちゃん達。感想が聞きたいぜ」


 エンジョウも照れくさそうに、頭の後ろをかきながら言った。


 その問いに、ナガレが答える。


「とても……とても楽しいゲームです!! 開発してくださり、ありがとうございます!!」


 先程まで、不審に思っていたナガレであったが、ヘッドギアの開発者と分かり、感謝の気持ちを込めて大きな声で言った。


「ホッホッホ! その反応、まさに私が求めていたものだよ!」


 カイゾウは嬉しそうに笑う。


「くぅーっ! 嬢ちゃんのその表情、最高だぜ!」


 エンジョウは涙目になり、感動していた。


「私も、とても楽しんでいるわ! もう、本当に凄いわ!」


 テンションが上がり、クロアは思わずタメ口をきいてしまった。


「ホッホッホ! 君達を選んで正解だったよ! 素直な感想は嬉しいものだよ! うむ! ダンボールに詰めている時は、どうなるか正直不安だったけど、本当に良かった……!」


 カイゾウはタイミングを見計らい、あらかじめ決めていたターゲットに流すと決めていた。


「ちなみに、嬢ちゃん達を選んだのは俺だぜ? 理由? 可愛いからだよ! 言わせんな!」


 ターゲットを決めたのはエンジョウであった。

 彼はどうやら、年下好きのようだ。


「あれ……でも……?」


 ナガレはなにかを疑問に感じたようで、冷静になり考え込んでしまう。

 そんなナガレを見たクロアは頭上にハテナマークを浮かべたような表情で、顔をじっと見る。


「なによ? そんなに考えこんじゃって」


「いや……クロアちゃん、ちょっと考えてみてよ。確かにヘッドギアを開発したのはカイゾウさんかもしれない」


「かもってなによ! カイゾウさんに失礼よ!」


 カイゾウは「よいよい!」と笑っていた。

 ナガレは話しを続ける。


 本当はヒソヒソ話をしようと思ったが、クロアが大きな声で話すので、無駄だと思い普通の声で話す。


「でも……ガールズワールドオンラインを開発したのって、誰だっけ……?」


「はぁ? そんなの決まってるじゃない! えーと……向こうの世界の人じゃないの? あれ? じゃあ、ブリリアントサイバーの人は、ゲームソフトは開発してないってこと?」


 クロアは頭の中がこんがらがってしまったようで、天井を見ながら考え込んでしまう。

 それに対し、カイゾウは答える。


「ホッホッホ! ゲームソフトも勿論、私達が開発したのだよ! あれをゲームソフトと言っていいのかは、う~む……まぁ、疑問だが、よいよい!」


「じゃあ、もう1つ、訊いていいですか?」

「うむ!」


 ナガレの表情が緊張しているそれに変わる。


 もし、ナガレの考えの通りであれば。


 ブリリアントサイバーの技術力は、ナガレの想像を遥かに超えているということになる。


 だが、それ以上に、信じたくはなかった。


 これから先、ずっと一緒にゲームプレイをしたいと思える仲間と出会えたのだから。


 そんな仲間達とずっと、くだらない話をしたり、ゲームをしたり、大人になったら仕事のグチを聞いてもらったりしたかった。





「別な世界のゲームにアクセスする機能は……ヘッドギアについていますか?」


 勇気を出して言葉を口にする。


 その問いに、カイゾウは答える。




「別な世界……異世界か! プッ、ハッハッハッハ!」


 カイゾウは爆笑する。


 数秒後、それは収まる。


「済まぬ。別に馬鹿にしている訳ではないのだ。誰にでもそういう存在を考える年齢ってものがあるのだ」


 カイゾウは顎に手を当てる。


「質問に答えるのならば」


 カイゾウはウインクをし、答える。





「私達が開発したヘッドギアは、ただVRゲームにアクセスするだけの機能しかついとらんよ」

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