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273.山小屋へと案内される

 昼食を済ませた4人は、レストランから出ると、歩きながら話をする。

 会社の基本的なことを社長や副社長が直々に説明してくれているのだ。


 こんな機会、滅多めったにないだろう。


 そして、2時間くらい会社を見学すると、自販機で買ったジュースなどを飲みながら、空き部屋で休憩をする。


「今日は、本当にありがとうございます!」

「ホッホッホ! いいのだよ。それにしても……ふむ、将来ここで働きたいか……」

「は、はいっ! 是非働きたいです!」


 ナガレは元気な声でアピールをする。


「働いて、なにか成し遂げたいことでもあるのかい?」


 ナガレは説明する。

 自分がVRゲームの開発にたずさわりたいということを。


「VRゲームとな」

「えっと、よくアニメとかであるその、ゲームの中に意識をダイブさせて遊ぶゲームです! それを私の手で実現させたいんです!」

「ほほう」


 カイゾウは「うんうん」と、顎に右手を当て、頷いた。


「立派な夢じゃないか。是非、頑張ってくれたまえ」

「ありがとうございます!」


 ナガレはブリリアントサイバーの社長であるカイゾウに認められたように感じ、喜びの感情を声に込め、返事をした。


「だが」


 カイゾウがなにかを言いたそうだ。


「君の夢は……どう頑張っても実現不可能だ」


 若干厳しい言葉を口にしたカイゾウに対し、クロアは言う。


「ちょっと! そんな言い方ないんじゃないんですか!?」

「そうだ! こんな可愛い子達を泣かすようなこと、言うんじゃねぇ!」


 別にナガレは泣いてはいないのだが、少々落ち込んでしまった為、副社長であるエンジョウの心も燃えたのだ。


「ホッホッホ! 別に意地悪で言っている訳じゃないのだよ。エンジョウも落ち着け」

「けどよ……」

「私が否定したのは、“私の手で実現させたい”の部分だ。分かるだろ?」


 カイゾウがエンジョウを見ると、意図が分かったのか、エンジョウの心は落ち着く。


「そういうことかよ! ったく、でも謝れよ? 嬢ちゃんを泣かせたのは事実なんだからよ!」


 別に泣いてはいない。


 ナガレも泣いてないことをアピールするが、カイゾウは心を込めて……かどうかは不明だが、謝罪をする。


「済まぬ」


 そして頭を下げる。


「そ、そんな! 頭を上げてください!」


「うむ!」


 カイゾウはそう言うと、頭を上げる。

 そして、衝撃の言葉を口にする。


「実はね。君達が抽選に選ばれたのは、偶然じゃなかったのだよ。必然って奴だよ」

「えっ!? それってどういう……」


 ナガレが言葉を言い終える前に、カイゾウは言う。


「君達を呼んだのには深い深い理由がある。深い深い理由がね」


 お茶目な社長だが、この時は真剣な表情になった。


「理由って……もしかしてスカウト!?」


 クロアはそう思ったようだが、違うようで、カイゾウは首を横に振る。


「ここじゃだめだね。エンジョウ、あの部屋に行こう」

「おいおい、いきなりだな、社長さんよぉ!」


 あの部屋とは?

 カイゾウ達は分かっているようだが、ナガレ達は分かっていないようで、頭上に?マークを浮かべているような表情をしている。

 カイゾウはナガレとクロアに「着いて来なさい」と言うと、空き部屋を出る。


「あ、あの私達一体どこに?」

「ぬふふ♪ 私達しか入れない秘密の部屋だよ」


 本当に秘密らしく、教えはしなかった。


(変なことされないわよね)


 クロアは少し不安になった。

 そんな不安そうなクロアを見て、エンジョウは言う。


「安心するといいぜ! 嬢ちゃん達に社長さんが危害を加えるってなったらよぉ! この俺の心の炎が黙っちゃいねぇからよ!」


 確かに心強いのだが、肝心のエンジョウがなにかしてきた場合はどうしようもない。


「エンジョウ! 変なことを言うでないぞ?」

「済まねぇ」


 4人は会社を出て、タクシーに乗る。


 そして、山へと降ろされた。


「お釣りは取っておきな」


 カイゾウがそう言うと、タクシーの運転手は機嫌がよくなり、去っていった。


 しばらく歩くと、山小屋を発見した。


「ささっ、どうぞ」


 カイゾウがドアノブを触ると、鍵が開く音がした。

 そして、4人が入りドアを閉めると、鍵が閉まる音がした。

 思わず、ナガレとクロアはドアノブの方を見た。

 そして、ドアノブを触るが、動かない。


 おかしい、鍵穴もついていない筈なのに。


「ホッホッホ! 大丈夫だよ」


 カイゾウは楽しそうに笑い、危険じゃないアピールをした。


「こ、ここの山小屋に、なにがあるんですか?」


 クロアはカイゾウに訊ねる。


「ここはね。秘密の部屋へと繋がる山小屋なんだよ」


 カイゾウは床に右手をつく。


『認証しました』


 すると、床が開く。

 中には階段が下へと続いている。


 ナガレとクロアは緊張し、思わず唾をゴクリと飲み込んだ。


「着いてきてね」


 カイゾウはそう言うと、階段を降りていく。


「怖がらなくていいぜ、嬢ちゃん達」


 エンジョウが続く。

 怖いが、ナガレ達もその後ろに付いて行く。


「ここが秘密の部屋だ」


 扉があった。


 そのドアのノブに手を触れると、鍵が開く音がした。


「なっ!?」


 目を見開いて、思わずかたまってしまう。


 ナガレとクロアはその部屋の中を見て驚いた。

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