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272.ブラックジョーク……ジョークだよね?

 お昼休憩の時間となったので、ナガレとクロアは社内レストランへと案内される。

 まだ働いている者もいるが、気にしないことにした。


「事前にご馳走になれるとは聞いていたけど、オフィスにこんな豪華なレストランがあるのね! 流石だわ!」


 クロアは社内レストランの入り口で目を輝かせる。


「そうだね! 私も将来ここで働きたいな!」


 ナガレ達はここである人物を待っている。

 それが誰なのかは秘密らしい。

 案内役の社員もどこかへと行ってしまった。


「それにしても私達と会って話したいっていうのは一体誰なのかしら?」

「誰なんだろうね? そんなことより、早く食べたいな」

「同感ね。普段しないことをすると、疲れてお腹ペコペコよ」


 そんな感じで話していると、2人の男性がやって来た。


「やぁ、こんにちは!」


 その内のサンタクロースのようなヒゲをしたおじいさん……要するにサンタクロースのような人がナガレ達に話しかけた。


「こんにちは! えーと……」

「ホホホ! 自己紹介が遅れてすまないね。私の名前は究極アルティメットカイゾウというものだ。宜しくね」


「「え!?」」


 2人はポカーンとする。


(変な苗字ね!?)

(そんな苗字あるの!?)


「おいおい、社長さん。2人共ポカーンとしてるぜ? 冗談は程々にしておきな」


 隣にいる、40代後半くらいの無精ひげを生やした赤髪の男が言った。

 タバコを吸っているようで、煙を吐き出した。


「冗談? ……っていうか、社長!!??」


「ホッホッホ! すまないすまない。ついからかってしまって申し訳ない。本名は合ってるが、苗字は違うのだよ。私の真の名前は、田中たなかカイゾウ。この会社の社長だ! こっちが相棒のエンジョウ!」

「よっ! 嬢ちゃん達、宜しくな! 俺は一応副社長をやってる。気軽にエンジョウと呼んでくれ」

「相変わらず馴れ馴れしいのう」

「そっちも似た感じじゃねぇか」


 エンジョウは再び煙を吐き出す。


(なんで社長にタメ口使ってるの?)


 そんなナガレの心を読むかのように、カイゾウは答える。


「あ、副社長が私に馴れ馴れしくても驚かないでね。だってこいつ、私の息子だから」

「そういうこった。それより、ここで立ち話もなんだ。早速レストランへ入ろうぜ、嬢ちゃん達」


 4人はレストランへと入る。


「個室がいいね」

「勿論、喫煙席で頼むぜ」


 カイゾウとエンジョウが2人を個室へと案内する。

 個室といっても、かなり広く、窮屈きゅうくつな感じはしない。


「むむっ!」


 社長が顔のしわを増やしながら、床をにらむ。


「髪の毛が落ちてるね」


 カイゾウがそう言ったタイミングで、1人のウェイトレスが入って来た。

 ちなみに、このウェイトレスの男も社員だ。


「君かね? 君じゃろ?」

「はっ! 申し訳ございません! 申し訳ございません!」


 ここで否定するとどうなるか分からないので、必死に頭を下げる。

 そんなウェイトレスに対し、カイゾウは。


「もうよい! 君は……クビッ☆ クビッ☆ クビよ♪」


 お茶目にそう言い放った。

 すると、ウェイトレスは真顔になり、目をウルウルとさせる。


「じ、自分に……挽回のチャンスを……」

「もうよい、と言っただろう?」

「は、はい……」


 この世の終わりかのような表情でウェイトレスは去っていった。


「なーんちゃって♪ どう? 社長っぽかったじゃろ?」

「え?」


 ナガレとクロアは思わずドン引きしてしまう。


「そこまで引きつらなくても、よいよい。なーに、今のは冗談じゃ」

「あ、冗談ですか!」


 本当に冗談なのだろうか。

 ウェイトレスの表情は死にそうな表情であったが、ナガレ達はあえて突っ込まなかった。


「くっくっく! 社長さんよう、嬢ちゃん達の心を掴むのに失敗したようだな。とりあえず、何か頼もうぜ。2人共、腹減ってるだろ」


 エンジョウが指パッチンをすると、次から次へと料理が運び込まれてくる。


「こ、これは、漫画肉という奴なのでは!?」


 ナガレは骨が両脇から飛び出た肉を見て、つい興奮する。

 ゲーム会社ということもあり、そのようなメニューも存在するようだ。


「かぶりつくといいぜ。俺もそのメニューはお気に入りでね。是非食べてくれ」


 ナガレは漫画肉にかぶりつく。

 そんなナガレに対し、一言。


「う~ん。やっぱりいいね」


 エンジョウはナガレを見る。


「可愛い……それも幼い感じの女子中学生がこう、目の前にいてくれるだけでこう、俺の心の炎が燃え上がるな」


「か、かわいいって……ありがとうございます」


 ナガレは照れながら言った。

 男性に言われたことのない一言だったからだ。


「ホッホッホ! エンジョウ、あまりからかうでないぞ?」

「わーってるっつーの! わりぃな!」


 クロアは少し不機嫌そうな表情になる。


「ちょっと! 私はかわいくないんですか!?」

「かわいいに決まってんだろ! 言わせんな!」

「どっちがかわいいですか!?」

「同じくらいだ」


 エンジョウは口から煙を吐き出す。


「引き分けね!」


 クロアはナガレにドヤ顔を向けた。


「えっ?」

「どっちが可愛いかの勝負よ!」

(う~ん。今の私とクロアちゃんに言ったのは、社交辞令的な奴じゃないのかな? 私も急に言われてビックリはしちゃったけど)


 だが、クロアにとっては立派な勝負だったようだ。


 こんな感じで賑やかに昼飯を済ました。

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