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268.動き始めた

「ゲーム会社に見学に行く?」

「そうでござる!」


 全てのプレイヤーが女の子になれるゲーム、ガールズワールドオンライン。

 通称【GWO】と呼ばれている。


 このゲームの最大の特徴はプレイヤーが全て女性アバターであること。

 そして、アバターが強制でランダム生成されるという点だ。

 実はこのランダム生成機能にも秘密があるのだが、それはアルカを含め、極一部の人間しか知らない。


 現在、3名のプレイヤーが、アルカのマイホームエリアに集まり、雑談をしている。


「そういえば、極は将来、VRゲームの開発に携わりたいんだったな」


 この全身が漆黒の龍こそが、アルカである。

 全プレイヤーが女の子になるのでは?

 と思うかもしれないが、実はメスの龍だ。

 だが、全然メスらしさはなく、なかなかに迫力のある外見をしている。


「拙者の世界でVRゲームを実現させる為にも、こういう機会は是非活かしていかねばならないでござる!」


 この銀髪ポニーテールで、小学生のようなアバターの彼女は、キワミと言う。

 アルカをこのゲームに誘った人物であり、仲の良い友達同士の関係である。

 西暦2008年、(現在は年が明けたので2009年)と呼ばれる世界から、ひょんなことから入手したヘッドギアでGWOにアクセスしているようだ。

 現実世界の彼女は中学2年生であり、VRゲームを西暦の世界でも実現させるという夢を持っている。


「それにしても何度聞いても意外よね。てっきり、将来はスマイル動画の運営にでもなるのかと思ってたわ」


 この黒髪の同じく小学生くらいのアバターの彼女は、クローだ。

 極とは幼馴染&ライバルでもあり、事あるごとに勝負を挑む。

 極と同じ世界からヘッドギアでGWOにアクセスしている。


「いやぁ、それも魅力的でござるが、拙者はMAD動画ばっかり見てるでござるからな。どちらかというと、運営とは正反対の位置にいる存在でござるよ」


 スマイル動画とは、極の世界で、主に学生の間で流行している動画サイトらしい。

 極の見ている動画は権利者削除されているものが多いので、そのことを言っているようだ。


「とにかく、カジュアルな職場見学みたいなものなんだろ? 楽しんで学んでくればいいと思うぞ!」


 何の話をしているのか?


「そうよ! ゲーム会社に乗り込むわよ!」


 極とクローの学校で、有名なゲーム会社に見学に行くチャンスがあった。

 だが、有名なゲーム会社ということもあり、大勢で行くことはできないらしく、希望者の中から2名だけということになった。

 そして、運よく選ばれたのが、極とクローだったようだ。


「あまり迷惑かけないようにな? それにしても、本当に運がいいよな。ここにいる2人が当たるってやばすぎだろ!」

「本当にラッキーでござる!」

「極のゲーム好きが通じたのかもしれないな! そう、当選したのはきっと必然だったんだぜ!」


 クローが覚めた目でアルカを見る。


「なにその台詞セリフ。恥ずかしくないの?」

「だって考えても見ろよ、ここにいる2人が揃って当選だぜ? こうも言いたくなるだろ!」


 極達の学校の生徒のゲーム好きほぼ全員が立候補した結果の2人だ。

 アルカの反応も無理はないかもしれない。


「ま、確かに幸運よね! 流石私だわ! けど、極も当選したってことは今回の勝負は引き分けってことよね?」


 クローはドヤ顔で腰に両手を当てる。


「クロー殿は相変わらず勝ち気でござるな」

「誉めてくれてるの? 褒めてくれてるのね!?」


 極は頷いた。

 ここで頷かないと、勝負が始まってしまいそうだからだ。


「ふっふーん! 褒めてくれたってことは、私の勝ちね!」


 なんだかよく分からないが、勝ち誇った表情で、上機嫌となったようだ。


「そういえば、極達が行くゲーム会社ってどんな会社なんだ?」

「拙者達が行く会社でござるか」


 極達が行くのは、【ブリリアントサイバー】というゲーム会社だ。

 近年、急成長し、かなり有名になった会社だ。

 ブリリアントサイバーの凄い点は、ゲームソフトの開発の他、独自でゲームハードを開発しているという点だ。

 現在この会社から販売されているゲームハードは、価格が高いが、スペックも高いのが売りだ。

 主に社会人に売れている。

 一番安いモデルでも30万円代なので、気軽には買えない。


「へぇ、なんだか、ブレイドアロー社に似てるな!」


 ブレイドアロー社。

 VRヘッドギアを開発した会社でもあり、漆歴の世界を支配していると言っても過言ではない程の大きな力を持っている。

 ちなみに極とクローは知らないが社長であるケンヤ、とアルカは友達の関係だ。

 無理矢理友達にされたとも言えるのだが。


「流石に、ブレイドアロー社には負けるでござるよ」

「そうかもな。最近は食料品や建築にも手を出そうとしているらしいからな!」

「す、凄い会社でござるな」


 極は驚く。

 極の世界にはこんな会社ない。


「とにかく、精一杯楽しんで来いよな!」

「勿論でござる!」


 その後、GWOについての話をすると、極とクローはログアウトしていった。


「さて、俺もそろそろログアウトするか」


 アルカもログアウトしようとしたのだが……。


「この空間は……」


 気が付けば、真っ白な空間にいた。

 見覚えはあるようだ。


「やぁ!」

「ケンヤさん!?」


 ケンヤがデカい椅子に偉そうに座っていた。

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