267.第九章エピローグ
アルカのオート戦闘機能に、特別な何かがあったわけではない。
ただ、これこそが【アルカ】というアバターとマッチしている戦闘方法の1つだったのだ。
アルカは、相手の攻撃を避けようとする。
そして、反撃のタイミングをうかがう。
だが、そんなことをしているよりも、相手の攻撃の中怯まず突っ込んでいき、相手に反撃の隙を与えないようにスキルを浴びせまくる方がよっぽど強力だったようだ。
「なんですか……その戦法」
「俺が驚いてる。俺ってこんなに強かったんだな」
ミサキは起き上がり、立つ。
「究極のゴリ押し、ですねぇ」
「なんだそれ」
「今の戦法ですよ。私が名前を付けてあげました」
ただのオート戦闘だが、ミサキには究極に感じる何かがあったようだ。
「それにしても……まるでボスキャラみたいですねぇ」
「ボスキャラ?」
「能力値が強くてひたすら高威力の攻撃を飛ばして来るタイプのボスキャラです。ま、次は勝ちますけどねぇ。さっきの戦法には弱点があります」
「弱点って?」
「教えたら駄目じゃないですか! 次のお楽しみです!」
「そっか!」
アルカは、頭をかきながら笑う。
「きっとこれから、私達は何戦も何戦もしていくのでしょうねぇ」
「ああ。俺達の戦いに終わりはない! って俺を一生のライバルって認めてくれたのか!?」
「どうでしょうねぇ」
ミサキはニヤニヤとした表情をする。
そして数秒が経ち。
2人はすっきりとした表情で口角を上げる。
「どちらにしろ1つ確定しているのは、いずれ私は貴方を超えるということですよぉ!」
「そうか……だったら、俺は俺を超えたミサキちゃんを超える!」
「えっ!? 私に超えられるの前提ですか!?」
「ああ、そっか! 今の言い方だとそうなるか!」
こうして、今回の対決もアルカの勝利で終わった。
だが、油断していてはいけない。
これから先、きっと何回も戦うのだから。




