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264.似た者同士

74.ボードゲームの内容に触れます。

最終章に向けて読み直しをお勧めさせていただこうかと思ったのですが、文字数が多すぎてキツイので、このように書かせていただきました。

「昔はドジっキャラだったのか」

「そうですよ。ですが、アルカさんに負けそうになり、私は覚醒したのです!」

「でも、話聞く限りでは相手が俺じゃなくても別に良かったんじゃないか?」


 最初のきっかけは、ファーストステージで勝利の味を味わったことだ。

 つまり、その後戦う相手が誰であっても、関係はない。

 アルカはそう言っている。


「確かにそうですね」

「だろ?」

「でも、実際にあそこで私が戦っていたのはアルカさんなんです。他の人じゃないんです」

「励ますのが上手だ。流石一流Vtuberだな」

「そこは素直に受け取っておきましょうよぉ!?」

「ああ、ありがとう。昔のことも話してくれてありがとう」

「いやいや、これ結構広まってる情報ですからね!? アルカさんはVtuberを知らなさすぎなんですよぉ!」

「いや、Vtuberって若い人に人気なんだろ? 俺おっさんだからよく知らないんだ」

「おっさんって……何歳ですか?」

「28歳」

「驚きました。もうちょっと若いと思ってましたよ。というか、別にVtuberは若い人以外にも人気だと思いますけどぉ?」

「そうなのか!? ごめん俺、詳しくなくてさ」

「謝らなくていいですけどぉ……というか、そろそろしませんか?」


 そろそろ闘技場で戦闘をしたいと言っている。

 アルカは頷く。


「そうだな。やるか!」


 アルカとミサキは立ち上がり、闘技場へと移動する。

 勿論、集中できるように貸し切りだ。


 2人は、闘技場に立ち、距離を取り向き合う。


「何回目の再戦だろうな」

「何回目でしょうか? 分かりませんねぇ」


 2人の間に強い風が吹いた。

 ミサキの髪が風になびく。


「ミサキちゃん……勝負の前に1つ確認したいことがある」

「なんですか?」

「もし、この戦いにミサキちゃんが勝ったら、もう俺とは戦わないのか?」


 ミサキは半笑いで、「やれやれ」とでも言いたげな表情とポーズを取る。


「なに言ってるんですかぁ。負けた分勝つまで辞めませんよ」

「負けた分勝ったら辞めるのか?」

「辞めて欲しいんですか?」

「いや、逆だ。さっきの話を聞いて思った。ミサキちゃんとは一生ライバルでいたいってな。それに、オセロの決着もついてない」

「そうでしたねぇ。じゃあ、一生ライバルでいてあげますかぁ」


 少し間を置いて、アルカは言う。


「いや、やっぱり撤回する」

「えぇ!? なんなんですか!?」

「一生ってのは、なしだ。ミサキちゃんにはミサキちゃんの人生がある。俺の我儘わがままにつき合わせるのは良くない」

「そうですか」


 深呼吸をした後、ミサキは叫ぶ。


「アルカさぁん!!……言いたいことはしっかり言いましょうよぉ!!」

「!?」



 アルカは思い出していた。

 パーティ対抗トーナメントでのことだ。


 そこでアルカはキメラの学校のボードゲーム部部長である、グレイというプレイヤーとオセロで対決をした。


 その際、負けた時に似たようなことを言われた。


『成る程、貴方の弱点が分かりましたよ』

『弱点……? 今のオセロで分かったのか!?』

『はい。ボードゲームとは人の心を映します。故に、そこから相手の思考パターンを分析することも可能です』


 おそらく、グレイにしかできないのだが、さも当然のことかのように言った。


『余計なお世話かと思いますが言わせてもらいます。貴方……もうちょっと自分に正直になった方がいいですよ』

『正直に……?』

『はい。貴方はきっと、なにをするにしても、相手のことを考えて、妥協をしているのではないですか?』

『どういうことだ?』

『例えば、貴方は友達にパフェをおごってもらえるとします。選ぶのはバナナパフェかチョコバナナパフェの二択だとします。その際、チョコバナナパフェを食べたい! でも、奢ってもらうんだったらバナナパフェの方が安いからバナナパフェにしよう! そう考えるのではないですか?』

『弱点なのか? 相手のことを考えるのはいいことだろ?』

『時と場合ですね。例えば、先輩や上司でしたら、貴方の考えも悪くないのかもしれません。しかし、貴方はどんな状況だろうと、どんな相手だろうと、妥協をし続けていることでしょう。それも無意識にです。いいですか? 最後に決めるのは相手なんです。とりあえず、妥協せずに自分の意見を言ってみませんか?』

『そ、そうなのか!? というか、オセロでそこまで分かるのか!? 精神攻撃か!?』


 アルカはグレイに殴りかかる。

 普通に試合中なので、仕方がない。


 グレイは避け、空間にヒビが入る。

 その後は知っての通り、空間の外で勝負を繰り広げるのであった。



「わがままでもいいじゃないですかぁ! 大体、楽しんでゲームをやっているのに、なに格好付けて我慢してるんですかぁ!? まるで私がバカみたいじゃないですかぁ!」

「いやだって、ミサキちゃんの人生が……」

「先のことなんて分からないんですぅ! 大体、アルカさんはオセロ弱いんですから一生かかるに決まってるんですぅ! 例えばですよ? アルカさんが私に一生かけて幸せにする告白したとして嘘をついたのでしたら大問題です。ですが、そこまで深刻なことじゃありません! だったらノリと勢いで言いたいことハッキリ言えばいいじゃないですかぁ! 楽しむためにゲームやっているんでしょう!?」


 アルカは考える。


「今も深刻に考えているのでしょう? 悩まなくていいんですよ!」


「悩まなくてもいいのか……?」


「はい! ワガママ言っちゃってください! 私が自分の勝ちたいという気持ちに気が付いた時のように!!」


 10秒程の沈黙の後、アルカは答える。


「ああ……分かったぜ! ミサキちゃん、俺と一生ライバルでいてくれるか?」


「どうしましょうかねぇ?」


「えっ!?」


 ミサキは意地悪そうにニヤニヤと笑う。


「今ので、アルカさんの弱い所見えちゃいましたからねぇ。一生のライバルにはなれないかもしれませんねぇ」


 アルカは、ミサキのニヤニヤに、強気な笑みで返す。


「だったら、証明してやる! 俺が強いってことをな!」


「それでこそアルカさんですよぉ! さぁ、楽しい戦いにしましょうかぁ!!」


 アルカとミサキは互いに地面を蹴る。

 金属同士がぶつかる音が響く。

 【メタルウイング】で鋼化した翼と、ミサキの大鎌がぶつかっているのだ。


 2人は互いに弾くと、バックステップで距離を取る。


「いいご挨拶ですねぇ!! これは楽しめそうです!!」

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