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262.強制ログアウト

「それ言ったらおしまいっしょ!」


 確かにそうだ。

 今、アルカとストロベリーは敵同士。

 手の内を晒すのは得策ではない。


「確かにそうだな」


 アルカは頷く。


「じゃ……試合スタートっしょ!」


 ストロベリーは、アルカがいる方へ向け、剣を振るう。


「【真空斬しんくうざん】!!」


 相手に斬撃を飛ばすスキルのようだ。

 アルカはその攻撃を体で受ける。


「タフじゃん」

「まぁな。というか、そのスキルが特別な能力なのか?」

「まっさかぁ! このスキルはただの汎用スキルっしょ!」

牽制けんせいってわけか)


 だが、いくら牽制にしても、あまりダメージも入らない。


 このまま、アルカが反撃し、すぐに勝負が終わってしまうのだろうか。


「一気に終わらせる」


 アルカはスキル【爆炎】を発動。

 口から火球を発射する。


 一気に終わらせる為に連続でそれを発射する。


 だが、ストロベリーはそれらを刀で全て撃ち落とした。


「は、速い!」


「これくらい楽勝っしょ!」


「一体どんなスキルを使ったんだ!?」


「目で追って斬っただけじゃん?」


「マジか! やばいな!」


「別に簡単っしょ?」


「1つ訊きたいんだが、いつからこのゲームを?」


「2週間前くらいじゃん」


「す、すげぇ!」


 たった2週間でここまでのプレイングをモノにしたというのだ。

 流石という他なかった。


(ここまで実力も高いのに、とっておきの能力もまだ隠してるってのか……)


 そう考えていると、ストロベリーがアルカの視界から消えた。


「なっ!?」


 気が付くと、背後に居た。


「隙だらけじゃん?」


 ストロベリーの刀がピンク色に輝き、アルカを斬る。


「くっ!」


 そして、それを食らった瞬間。


「え?」


 アルカ、否、カケルはベッドに横たわっていた。


「なんでログアウトしてるんだ!? 確か、俺はストロベリーと戦っていたはず……」


 すると、被っていたヘッドギアから音声が流れる。


『10秒後に再度ログインします』


「!?」


 カケルは驚く。


「バグったのか!?」


 そう考えていると、あっと言う間に10秒が過ぎた。


 そして、次の瞬間、ゲームの世界へと再度自動ログインされた。


 だが、なぜか壁にめり込んでいる。

 おまけにHPも半分以下にまでなっている。


「驚いたっしょ? これがあーしの刀に内臓されている、ユニークスキルの力っしょ!」

「ユニークスキル……だと!?」

「そっ! 斬った相手を10秒間強制ログアウトさせるスキルじゃん」

「ハードに干渉するスキルだと!?」


 ブレイドアロー社はヘッドギアの開発会社でもある。

 技術的には、できてもおかしくはない。


「ログアウトしてる間にここまでHPを減らしたんだな……!」

「そういうことじゃん。ちなみに、もうこのスキルは使えないから安心するじゃん」

「使えないの!?」

「回数制限があって、今の一撃が最後の一撃じゃん」

「俺なんかに使って良かったのか?」

「あーしら別にこのゲームにこだわってる訳じゃないからね。別に飽きたら辞めるし、いーかなって」

「スキル関係無しに、そこまで強いのに勿体ないぜ」

「あーしリア充だから、忙しいのよ。将来は弁護士になる予定だから勉強も大変なんよ」


 そう言いながら、ストロベリーは襲い掛かって来た。


「さっきあんたがログアウトしてる間に大技使ったから、MPほとんど残ってないんよ」


 あまり削れないが、それでもストロベリーは攻撃を続ける。


「タフすぎっしょ!」


「相変わらず凄い速さだな……だが!」


 アルカは白い剣を思いきり振る。


 剣がデカいので、ストロベリーはかわしきれずに、食らってしまう。


「くっ! やっぱあーし、耐久が紙っしょ!」

「これで最後だ!」


 アルカは地面に転がっているストロベリーに向け、スキルを使用する。

 口から光線を発射するスキル【破壊道(デストロイロード)】だ。


「あららららーっ!」


 ストロベリーのHPは消し飛んだ。

 自分で紙耐久と言うだけある。


「ふぅ……勝ったぜ!」


 アルカはチームメンバーに視線を送った。


「あーしの……っていうか、あーしのチームの負けじゃん」


 ストロベリーは苦笑した。

 そんな彼女のそばに、かき氷以外のチームメンバーが集まる。


 だが、誰も負けた彼女を責めない。

 負けても楽しかったので、良しということのようだ。


「アルカさん!」


 アルカのチームメンバーもアルカの元へと駆け寄って来た。


「私の出番、やっぱりなかったですねぇ。けど、約束は守ってもらいますよぉ?」


 ミサキがアルカに確認する。


「ああ。約束は守る」

「よしっ!」


 ミサキはドヤ顔で軽くガッツポーズ。

 再戦できるのが嬉しいらしい。

 今まで何度も再戦しているはずなのだが、それでも嬉しいらしい。


「今度こそ勝ちますよ!」


 アルカに勝ったことのないミサキは燃えていた。


『【スペシャルおみくじ争奪戦】優勝、おめでとうございます! では、メンバーの中から1人、今あるおみくじを無かったことにし、このスペシャルおみくじを取得し、自由に内容を記述できる権利が与えられます!』


 運営からの祝福の言葉と説明が音声で流れる。


 ミサキは嬉しそうに今のおみくじを握りつぶし、新たに受け取ったスペシャルおみくじに内容を書く。


「【ライバル達に勝てますように】っと!」

「そ、そんなのでいいのか? というか、それっておみくじっていうより七夕の短冊っぽいぞ」

「いいんですよ!」


 ミサキは嬉しそうにスペシャルおみくじをストレージへと収納した。

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