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257.チョコラテで時間ギリギリ

 その後、チョコラテを7杯飲んだエクレアを連れ、イベントエリアへと行く。


「結構参加者がいるんだな」


 皆、暇しているのだろう。

 おみくじの結果を書き換えられるだけだというのに。


「ま、お正月くらいにしかゲームを長時間プレイする気にならないってのは、分かる気もするけどな」


 社会人ならではの考えだ。

 アルカもソロだったらゲームをせずに、寝正月を過ごしていたことだろう。


「アルカさん寝正月って、それはないですよぉ!」

「いやいや、普段の仕事の疲れを癒すには寝るのが一番だ」

「だったら、なんで協力しようと思ったんですか? いや、私から頼んでおいてこういうこと訊くのもなんですけど」

「寝るのと同じくらい、このゲームを皆で遊ぶのが好きだからだ」

「そうですか。だったら……今日は宜しく頼みますよぉ!」

「ああ。やるからには勝とうぜ!」


 話をしていると、イベントエリアの受付へと到着した。

 このイベントエリアではもうすぐ【スペシャルおみくじ争奪戦】が始まる。

 参加するには、ここで受付を登録しなくてはならない。

 とは言っても、別に受付の人と話す必要はない。

 受付から、一定の範囲内でメニューを開くと、参加申請ができるようになっている。


「サインください!」

「ん?」


 フレイムの周囲に人が集まっていた。

 有名Vtuberなので、サインをねだられているようだ。

 フレイムはファンから差し出された色紙にサインを書いて、それを渡す。


「サインあげます!」

「ありがとうございます!」


 ミサキの場合、なぜかあまりサインをねだられないので、逆にプレゼントしてまわっていた。


「Vtuberって人気なのでござるな」

「極の世界はそういうのないんだっけか?」

「ネット生放送ならあるでござるが、ああやってアバターを作って二次元のキャラクターかのように配信するっていうのは、ないでござるな」

「いつか似たようなのが流行るかもしれないぜ。いっそのこと、極が流行らせるってのはどうだ?」

「拙者はそういうのはあまり得意じゃないでござる」


 極はスマイル動画でMAD動画やネタ動画などを見るだけなので、生放送系は全然詳しくないのだ。


「それにネット生放送をするには親フラとか、課金するのに親の同意が必要だとか色々あるでござる」

「極って真面目なんだな。拾ったヘッドギア使うくらいだから、もっとやばいと思ってた」

「そ、それは好奇心が……」


 そんな時、エクレアが大きく咳ばらいをする。


「サインやお喋りをしている場合じゃないよ。時間は迫って来ている。早く受付を済まそう」


 エクレアの言うことはもっともだ。

 喫茶店でのんびりし過ぎたせいか、後20分しか時間がない。


「いや、貴方のせいですよね?」


 ミサキがエクレアをチラリと見る。

 だが、エクレアはポケットに手を突っ込み、タバコ型のチョコレートを取り出し、口にくわえる。


「ふぅ~。火が欲しいね」


 とにかく、受付を済まさなくてはならないので、アルカはメニュー画面を開く。


 まず、リーダーを決め、メンバーを当てはめる感じだ。

 とりあえず、ミサキの為の戦いということもあり、ミサキをリーダーにしておいた。


「後は俺達を同じパーティーにしてっと」


 後はパーティーの名前を決めるだけだ。


「パーティー名どうする?」


 アルカは皆にたずねる。


「そうですねぇ。私決めていいですか?」

「というか、これはミサキのおみくじの結果を変えるための戦いだからな。むしろ決めてくれると助かる」

「分かりました! では、発表します!」


 ミサキはドヤ顔でサイン用のアイテム、【色紙】にチーム名を書いて、見せる。


「【漆黒の世界】! かっこいいでしょう!?」


「うん。いいと思う」


「反応薄いですねぇ!」


 正直、チーム名はあまり重要ではない。


「正直、センス無いね」

「じゃあ、貴方が考えてくださいよ!」


 仲が良いのか悪いのか。

 ミサキはエクレアに対し、威嚇いかくしていた。


「よし、受付完了! 後は待つだけだな。改めて、今回のイベントのルールを確認するぞ」


 今回のイベントが開始されると、サバイバルエリアへと転送される。

 そこで最後の2チームになるまで戦いが繰り広げられる。

 そして、勝った2チームが1人ずつ選出し、戦闘を行い、勝利数の多いチームが優勝となる。


「サバイバルはチーム全員がやられないと、ゲームオーバーにならないみたいだ」

「例えやられても、他の人が勝てば、優勝は狙えるのでござるな」

「そうだな。勿論、やられないことに越したことはないけどな」


 そういえば、闇のダンジョンの試練も似た感じだったな。

 アルカはふと思ったのだった。


「とりあえず、大事な元妹の為だ。私も全力で行かせて貰う」

「全力っていうと……あのスキル使っちゃうの!?」

「普段は封印しているが、仕方あるまい」


 あのスキルとは、アルカのチームと、パーティー対抗トーナメントで戦闘した際に使用したスキルのことである。

 運営から貰った超強力なスキルだ。

 アルカとその仲間達を苦しめた過去がある。


「というか、そのスキル没収されてなかったんだな」

「普段から使ってる訳じゃなかったからな。それに、このスキルを使っても君達には勝てなかった。要するに完全無欠のスキルじゃなかったという点もあるのかもしれない」

「なるほどな」


 それでも超強力なことには変わりがない。


「私にはその超強力なスキルはありませんが、更に磨いた戦闘テクをお見せしますよぉ!」


 ミサキは当時、運営からのスキルの受け取りを拒否っていた。


「だったら、俺も新しい力を見せるとするか!」

「ほぅ!」


 果たして、アルカの新たな力とは……?

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