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256.あの時のメンバー

 そして次の日。

 アルカは砂漠の喫茶へと向かった。

 今回の【スペシャルおみくじ争奪戦】のパーティメンバーの集合場所として、そこを指定したのだ。

 お客が誰も来ないので、作戦会議も可能だ。


 砂漠の喫茶の店内へ入ると、椅子へと座り待つ。


「少し早く来すぎたな。ミルちゃん、チョコラテ1つお願いしてもいいか?」

「はい! 少々お待ちください!」


 アルカはチョコラテを作っているミルに言う。


「ミルちゃんは相変わらず元気だな」


 ミルは他のNPCとは違う。

 高性能AIが搭載されており、この世界をゲームの世界だと分かった上でこの世界のキャラを演じている。

 それなのに、この狭い世界に不満をいだかない。


「アルカさん達が救ってくれましたから! それに、こうやってここのお店で働けるだけで嬉しいです!」

「でも、客が……」

「大丈夫です! たまに来ますので!」


 本当にたまにしか来ないのだろう。

 だが、彼女は笑顔だ。

 笑顔でアルカにチョコラテを渡す。


「どうですか?」

「相変わらず美味しいな」


 アルカがチョコラテを味わっていると、ドアからプレイヤーが入って来る。


「アルカ殿、お待たせでござる!」


 銀髪ポニーテールのアルカの友達、キワミであった。


「いや、こっちこそ無理言ってごめんな」

「いやいや、今日は特に予定もなかったでござるから! それにこうやってゲーム内でお正月を過ごすってのも新鮮でなんか楽しそうでござる!」


 そう、アルカは昨日極に連絡し、今回の戦いに参加してくれないかと頼んでおいたのだ。


「極さんもチョコラテどうぞ!」

「済まぬ」


 極はアルカの隣の席に座り、チョコラテを味わう。


「アルカ殿」

「なんだ?」

「あけまして……おめでとうございます!」


 極はニコリと笑う。


「そういえば言ってなかったな。こっちこそ宜しく頼むぞ!」


 と、話しているとまた別なプレイヤーが来た。

 2人組だ。


「アルカさぁん! 早いですねぇ!!」


 ミサキと。


「お姉ちゃん! 出番ですっ!」

「今のミサキは事務所を退所して、エレシスじゃないんだ、もうその設定はないだろう? けど、嬉しいよ」


 赤髪のプレイヤー、フレイムだ。


「フレイムちゃん!?」


 ミサキは現在でこそフリーVtuberだが、以前はフレイムと同じ事務所に所属し、【エレメンタル☆シスターズ】として活動していた。


「そうです! 昨日私が連絡を取っていた相手はフレイムさんだったのです! どうです!? ビックリしましたか!?」

「ああ! ビックリした! 凄い大物じゃないか!」


 2人にもミルはチョコラテを配る。


「後はジルコちゃんだけか」

「ジルコさん、遅いですねぇ」


 どうしてしまったのだろうか?


「失礼するよ」


 ドアから入って来たのは別なプレイヤー。


「エクレア!?」


 ジルコのクランメンバーのエクレアであった。


「どうしてエクレアがここに!?」

「どうもこうもないよ。無茶ぶりだよ」

「無茶ぶり……?」

「うん。どうやらあの人、熱を出してしまったみたいでね。急遽僕が代理で来ることになったんだよ」

「そうなのか!?」


 熱が出てしまっては仕方が無い。


「分かった! 急で悪いけど、今日は頼むぜ!」

「結構野蛮なイベントみたいだけど、楽しそうだし頑張るよ」


 これで5人が揃った。


「じゃあ、皆。軽く自己紹介を頼む! 俺はアルカ! この通りドラゴンだ。宜しく頼む!」


「極でござる! アルカ殿のクラン【聖なる漆黒】に所属! 武器は刀!」


「フレイムだ。私の武器はこの通り剣だ。近接戦闘が得意だ」


「ミサキです! 今日はお姉ちゃんのフレイムさんがいますからね! 絶対に勝ちますよぉ! 武器は鎌です!」


「エクレアだよ。武器はレーザー銃やレーザー剣。ところで、僕にチョコラテはないのかな?」


 ミルは慌ててエクレアにチョコラテを差し出す。


「アルカの奢りでいいかな?」

「ああ、いいぞ!」


 こうして、軽い自己紹介が終了した。


「まさか、フレイムちゃんと同じチームで戦う時が来るとはな!」

「私も最初頼まれた時はビックリしたよ。でも、元妹の頼みだからね。私も今回のイベント参加を事務所に頼み込んだのさ」

「なるほどな! ……ってちょっと待て!!」


 アルカが皆を見る。


「アルカ殿!?」


「ふっ! これもえんか!」


えん……?」


「ああ、そうだ。ここにいるメンバーは偶然にも、俺がこのゲームをはじめた日に出会ったプレイヤー達だ!」


 ゲームをはじめた日。

 アルカはミサキを吸収し、フレイムと戦闘を行った。

 そして、ゲーム内で極と顔を合わせ、その後に対エクレア戦が繰り広げられた。


「そういえば……あの時はいきなり吸収されてびっくりしましたよぉ!」

「先にミサキちゃんに襲われたからな」


「私も君には痛い目を見せられた」

「先にフレイムちゃんに襲われたからな」


「僕も同じだね」

「そうだな。あの時は極がやられちゃったんだよなぁ」


 アルカは数カ月前を懐かしむ。


「なんだか、皆とは既に何年も過ごしているように感じるでござるよ」

「確かに、GWOをはじめて、色々あったからな。そういえば極は最初の頃なんか変な喋り方してたよな」

「あれはカムフラージュって奴でござるよ! バレを防ぐみたいな? けど、大事な秘密はもうバラしちゃったでござるから」

「ははっ! そうか」


 ミサキがジト目でアルカと極を見る。


「秘密……怪しいですねぇ」


「おっと! 愛の告白のたぐいじゃないぜ?」


「気になりますねぇ」


 フレイムがミサキの肩にポンと手を置く。


「プレイベートなことを突っ込むのは良くないと思うぞ。誰にだって秘密はある」

「うっ……そうですね」


 そして、皆がチョコラテを飲み干すと、エクレア以外は立ち上がる。


「皆、行こう!」


「ちょっと待って、チョコラテおかわり」

「おかわりですね♪ 喜んでもらえて、嬉しいです♪」


 アルカは「ふっ」と笑った。

重大なお知らせです!


1年以上連載してきたこの小説ですが……この章を含め、2~3章ほどで完結予定となりました。

おそらく、100万字は行かないと思いますが、90万字くらいは行くかもしれません。


当初の予定より大分長くなりました。

ここまで来ると私自身別れがつらいですが、最後の展開は確定していますので、キッチリ終わらせようと思います。


とは言っても、まだ結構続きますので、これからもお付き合い頂ければと思います!


感想もお待ちしております!

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