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第八章エピローグ

 暴露大会が終わると、ホールケーキを注文。

 皆がそれぞれ食す。


 ただ、画面の向こう側の極とクローは食すことができない。


『こっちはこっちで食べてるわよ』


 だが、向こうは向こうでケーキを用意しているようだ。


「何のケーキ食べてるんだ? こっちは苺ショートケーキだが」

『私はチーズケーキね。極は生チョコレートケーキ』

「美味しそうだな」


 残念ながら画面の向こう側にケーキの映像を見せることはできなく、逆に見せてもらうこともできない。

 だが、こうして話していると互いのケーキの美味しさが伝わる。


「チキンもありますよ!」


 キメラはチキンを取っては食べる。

 カリカリの衣をバリバリと食べ、中の肉汁と共に肉を味わう。

 実はコンビニのチキンを再加工して出しているだけなのだが、誰も気が付かない。


「シャンパン最高~☆」


 ミーナはマスカットのシャンパンを飲む。


「ミーナは、まだ未成年だろ」

「中身は成人してますから! 元いた世界ではそんな決まりありませんから! ……まぁ、これはノンアルですけどね。はぁ……」

「一応決まりは守ってるのな」

「アルさんは、お酒飲まないんですか?」

「ふっ! 俺は大人になったという現実から逃げる為に酒は飲まないのさ!」

「なんですかその理由」


 こんな感じで楽しいオフ会は続いた。


「今日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました!」


 長く続いたオフ会は終わりをむかえる。

 キメラが挨拶をすると、続けて各々が挨拶をする。


「会計は俺がするぜ」

「そこは割り勘にしましょう!」

「いや、なんだかいいことをしたい気分なんだ」


 ということで、カケルが全額支払った。

 そして、解散した後、画面越しの極、クローと話す。


「楽しかった……極とクローもそうだろ?」

『そうね。正直、最初あんたがぶっ倒れた時はどうしようと思ったけど、無事にオフ会を終えられて良かったわ』

「俺を心配してくれたのか!」

『いや、するでしょ普通』


 クローは、さぞ当然のことかのように言った。


『クロー殿は心配性でござるからな』


 極はうんうんと頷きながら言った。


『で……なにがあったのでござる?』

「へ?」

『倒れた時、絶対なにかあったでござる!』

「……鋭いな。実はケンヤさんに会ってたんだ」

『ケンヤ殿……でござるか』

「ああ。おまじないをしてくれたんだ。そのおかげで緊張が解けたんだ」

『怪しげでござるな……』


 極は少し心配になった。


『ケンヤ……謎多き人物ね。ブレイドアロー社の社長だかなんだか知らないけど、なんだかムカつくわ! まるで世界を支配したいみたいじゃない!』


 ケンヤは自分以上の生物を生み出したくないと言っていた。

 このことから、自分を神のような存在だと思っていることが分かる。


 そんなケンヤを、勝ち気な性格のクローは良く思わない。


「だが事実、ケンヤさんは俺達より遥か上の存在だ」


 今のケンヤは電子生命体。

 不老不死のようなものだ。

 更にはかなり限定的だが、超技術を会得する方法も持っている。


「というか、クローはケンヤさんのこと、なんか倒すべき敵みたいに話してるけど、敵じゃないからな?」


 カケルはクローに言った。

 ブレイドアロー社は、VR技術を生み出したが、今はそれに収まらない。

 ブレイドアロー社の製品、技術なしでは、人々は生活できない程だ。

 最近は建築や、食品業界にもたたみかけようとしている程だ。


『私はなんか気に食わないわ。けど、これはあんたが住んでいる世界の問題。これ以上口は出さないようにするわ。なるべくね』

『アルカ殿。クロー殿は心配しているのでござるよ。誤解しないであげてでござる』


「ああ。それは分かってるよ。ありがとうな、クロー」


 それに対し、クローは素直に答える。


『どういたしまして』

「素直だ!」

『心配しているのは事実よ! あんた騙されやすそうだからね』

「俺はかなり疑い深いから大丈夫だ」


 カケルは自信満々に言い放った。


『アルカ殿はかなり騙されやすいでござるよ。実はここだけの話……』

「ストップだ! あの話は極のことおっさんだと思ってたから言ったのであってだな!」


 クローが興味津々に目を輝かせる。


『え!? なになに!? めっちゃ気になるわ!』

「いやいや、そこまで気にすることじゃない。ちなみに極に愛の告白をした訳でもない」

『それはそうよね。おっさんだと思ってて愛の告白していたら、あんた中々変態よね』

「ああ。だから忘れてくれ」

『嫌よ!』


 カケルは思った。

 これ、どうせ後で極にこっそり話されるパターンだと。


(それなら俺の口から言うか、もうだいぶ前のことだけど)


 カケルは口を開く。


「中学の時、とあるサイトの掲示板で、俺はとある人物と出会ったんだ。その人物は1人称がボクだったから男だと思っていた。けど、ある時、自分は女だと言って来たんだ。その時、俺はそののことが好きになった……んだけど、実は男だったんだ」


 カケルは冷静に話した。


『やっぱり騙されてるじゃない!』

「ああ。だからこれは極にしか言ってない。好きな人、できたことがある? と訊かれた時もないと答えている。この以外、異性として誰かを好きになったことがないからな」

『でも同性だったんでしょ?』

「まぁな!!」


 カケルは自信満々に言った。


「ま、過去のことなんかどうでもいいぜ!」

『流石アルカ殿! 切り替えが速いでござるな!』

「ありがとう。あ、そうだ! 1つお願いしていいか?」

『なんでござるか?』

「恋愛関係に関わらず、俺が知らない方がいいことは言わないでおいてくれないか? 知らなければ、幸せな思い出になるからな」

『特に隠していることはないでござるが……承知!』


 嘘は言ってない。


 現時点で隠していることは何もない。


『承知しちゃっていいの!?』


『隠していること何もないでござるからな』


 カケルは楽しそうに笑う。


「ああ! 寿命まで、幸せでいようぜ!!」

オフ会編終了です。

今までの章より、かなり短めです。


次回、閑話を少々挟み、第九章へと入ります。

第九章は正月イベントの話を予定しています。


宜しければ、今後ともお付き合いください。

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