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252.異世界人もいるクラン、聖なる漆黒

 キメラが自らの胸に手を当て、目を瞑る。

 そして、そのまま胸をなでおろし、目を開き言う。


「じゃあ、私からの質問です。皆さんが抱えている秘密を教えてください」

「好きな人がいるとかいないとかか?」

「いえ、違います。ケンヤ君が言っていたことです」

「!?」

「私は仲間外れにされてると、ケンヤ君に言われました……でもそれは嫌です! 隠してるんですよね!? 別な世界のこと!!」


 カケル、ミーナ、極、クローはドキッとする。

 だが、それだけだ。


「ねぇ、アルカ。別にいいんじゃないの?」


 クローが言った。


「いいのか!? 言っても!? 危険が及ぶかもしれないんだぞ!?」


 クローが呆れたような声で言う。


「もうそれ答え合わせしてるようなものじゃない……」

「しまった!!」


 カケルは「やっちまった」とでも言いたげな表情を浮かべる。

 そしてカケルは、悩んだ末。


「えーと……これは話してもいいのかな?」


 異世界組の表情を見ると、皆が頷いた。


 そして、暴露大会が始まった。





「ということでござる」

「ということだよ」


 説明が終わると、キメラは叫ぶ。


「ええええええええええ!?」


 パニックになり、漫画であれば目をグルグルさせているであろう表情をキメラは見せた。


「拙者もミーナ殿の秘密は最初聞いた時、驚いたでござる。転生とかマジでござる? って感じでござった」

「マジだよ! あっ! でも、厳密には転生じゃなくて転移だけどね! 師匠が言ってたから!」


 ミーナが実に楽しそうに極と話している。

 クローも間にツッコミを入れる形で会話に参加したり、しなかったりしている。


 ちなみに質問したキメラは。


「にわかに信じがたいですね……いや、訊いておいてなんですけど」

「信じられないよね?」


 ミーナが悲しそうな表情をキメラへと向ける。


「いやいや! そういう訳じゃないよ!?」

「分かってるよ♪」


 ミーナがニコリと笑う。

 少しからかったようだ。


「せめて、この世界でも魔法が使えれば証明できるんだけどなー」


 ミーナは残念そうだった。

 自らの錬金術や魔法を生で見て欲しかったからだ。


「でも……信じます! ミーナちゃんのことも極ちゃんやクローちゃんのことも!!」


 そう言うと、キメラは続けて言う。


「私も……いえ、私とアルカさんも信じがたい秘密を知ってしまいましたからね!!」


 この前、ケンヤと出会い、話した内容を話す。

 すると、当然のことながら皆驚く。


「別世界の自分自身をデータ化したものがGWOのアバターの正体!?」


 クローの驚きの声が聴こえた。


「あー! それは納得だよ、キメラちゃん」

「どういうこと?」


 ミーナはドヤ顔で、人差し指をクルクルと回転させながら目を瞑り、答える。


「正直疑問だったんだよ。私のアバターって別世界の私まんまだったからさ。ランダム生成にしてはなんかおかしいなと思ってたんだよ。でも、私の元いた世界の私自身のデータだとしたら納得納得! ……けど、1つだけ納得できないことが……」


 ミーナはカケルをチラリと見る。


「どうして、アルさんは龍なんですかね?」

「へ? 俺?」

「そうですよ! だっておかしくないですか!?」

「おかしくはないと思う。きっと俺が雌龍だった世界もあったんだろう」

「あーそれなら納得です……?」


 疑問形であったが、そういう可能性もあると考えれば有り得ることかもしれない。

 実際の理由は不明だが。


「ちょっといいかな?」


 しばらく言葉を発しないカノンが言葉を発した。


「撤回しよう」

「何をですか?」


 キメラがキョトンとした表情でカノンを見た。


「そろそろ引退しようと思って、さっきはあんなこと言ったけど、撤回するよ」

「え!? 本当ですか!! 嬉しいです!!」


 キメラは目を輝かせ喜んだ。

 自らの先輩、そして親友でもあるカノンと趣味をこれからも共有できるのが嬉しいのだ。


「1つ訊いていいか? どうして急に考えが変わったんだ?」

「簡単なことだよ。君達の話を聞いていたら、ワクワクが抑えられなくなってね。ガールズワールドオンライン……きっとこのゲームには何かある。というか、アルカ君はなんで教えてくれなかったのかな? キメラ君は自分のこと仲間外れって言ってたけど、私もそうだからね?」

「ご、ごめん」

「いや、別にいいんだよ。個人情報って奴だろうからね。まぁ、それの範疇はんちゅうに収まらないことだろうけどね」


 確かにそうだ。


「それにしても……ブレイドアロー社の社長がキメラ君の愛しのケンヤ君だったとはね」


 カノンはニヤニヤと笑いながらキメラをチラリ。


「いや、もう好きじゃありませんから!」

「本当かな?」

「本当です!」


 キメラは若干不機嫌になった。

 あの時、好きになった男の人格がキャラ作りだったことが腹立たしい。


「ブレイドアロー……剣と矢……ああだからケンヤって名乗ってたのかな。ははっ! つまらないねぇ!」


 カノンは1人で大爆笑した。

 ケンヤは仮の名前だ。

 ということは、カノンの考察もあながちハズレではないのかもしれない。


「なんか俺もスッキリしたぜ。隠し事は俺の性に合わないからな」


 カケルは背伸びをする。


「アルさん……お疲れ様です!」


 ミーナは冗談交じりに頭を下げた。

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