247.サンタとレイドバトル
『サンタさん……今までありがとう』
小学6年生のクリスマス当日の朝、プレゼントと共に手紙が置いてあった。
手紙の内容は、プレゼントは今年で最後になるといった内容の手紙であった。
「ってことがあったのでござるよ」
「泣ける話だな」
「泣ける話ね」
極の話を聞き、感情輸入してしまう2人。
「俺は中1で最後だったな」
「私は極と同じで小6の時が最後だったわ……手紙はなかったけど。っといけないわ! きっとサンタは無言で私の背中を押してくれたのよ! ここで止まっちゃ失礼だわ!」
「そうだな!」
3人は意を決し、【伝説の靴下】を設置ポイントへ設置する。
すると、そこへサンタが降って来た。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
確かに帽子は被っている。
プレゼント袋も持っている。
だが、どう見てもサンタではない。
その姿は巨大な黒い龍。
また龍か。
アルカは、ついそんなことを思ってしまいそうになる。
「見た目がおじいさんじゃなくて良かったわ! これで思いきりやれるわ!」
クローは勝ち気な笑みを見せた。
「あれは刀でござるな? 燃えるでござるな!」
その龍の腰には刀がおさめられていた。
それを見た極は対抗心を燃やした。
「さあ! やろうぜ!」
アルカが叫ぶと、敵の頭上にHPバーが表示された。
「先手必勝! 【ブラックスピア】!!」
真っ先にクローが突っ込んだ。
だが、飛翔され、その攻撃は当たらなかった。
「ちょっと! 降りて来なさいよ!」
クローは叫ぶが降りてこない。
それ所か。
火球が降って来た。
「もうっ! 降りて来なさいって言ってるでしょ!」
「クロー、ここは俺が行く。この中で飛べるのは俺だけだからな」
アルカがそう言うと、極が言う。
「ここは拙者に任せてくれでござる」
「飛ぶスキルでも手に入れたのか?」
「似た感じでござる」
極は大ジャンプをする。
だが、届かない。
「昔の話でござる」
極は何もない空中を蹴る。
まるで空を駆けているかのようだ。
「何段ジャンプだ!?」
アルカは驚く。
ゲームではよく2段ジャンプなどがあるが、あれは2段所ではない。
なぜこのようなことができるのか。
その理由はダイヤ刀に内臓されているスキル、【スカイハイ】によるものであった。
効果はMPを1消費し、空中を蹴ることができるというものだ。
極は回転しながら、敵の肉を抉るように攻撃をする。
「グギャアアアアアアアアアアア」
「まだでござるよ!」
その後、両翼をダイヤ刀で切断した。
敵が地面に落下する。
「アルカ殿! クロー殿! 一気に倒すでござるよ!」
「ああ!」
「一気に片付けるわよ!」
3人が一気に攻撃を仕掛ける体制を取る。
「【ブラックグングニル】!!」
クローの槍全体に黒い稲妻のようなオーラがまとわりつく。
「【削除】!!」
極は落下しながら左手で刀を持ち、右手で刀身をなぞるとそれは黒く染まった。
「【ドラゴンバースト】!!」
アルカは口から漆黒の光線を発射すると、それが龍の形となり、敵に襲い掛かる。
クローは槍を投げ、極はアルカの攻撃の巻き添えにならないように敵を斬り付ける。
3人の攻撃により、HPは一気に0となる。
コラボモンスターということもあり、それ程強くはなかった。
というよりも、ボスとしては明らかに弱い部類であろう。
「よし! やったな!」
「やったでござる! イエーイ!」
「所詮はコラボモンスター、大したことなかったわね!」
3人は笑顔でハイタッチをかわす。
すると、シャッター音が鳴り響いた。
『ビビビ』
気が付くと、近くにドローンのようなものがやって来ていた。
敵であろうか?
『アマリニモタノシソウデシタノデ、シャシンヲトラセテイタダキマシタ。コレカラモゲームヲオタノシミクダサイ』
すると、3人の手に写真が現れた。
先程ハイタッチしていた写真である。
ドローンはどこかへと去っていった。
「運営が操作するドローンか?」
「かもしれないでござるな。それはそうと、中々よく撮れてるでござるな!」
クローは写真を微妙な表情で見つめる。
「撮るなら撮るっていいなさいよね」
どうやら、もっとクールにキメたかったようだ。
「それにしても、2人共新スキルを手に入れたんだな」
「アルカ殿もでござるな」
先程のトドメの一撃、3人共に新スキルを放っていた。
「私はレベルアップで手に入れたわ」
「俺も」
アルカとクローはレベルアップで手に入れた。
「拙者は宝箱から入手したでござる!」
「そうなのか! で、今のスキルってなんか特殊な効果があるのか? 大分物騒なスキル名だったけど」
極の放ったスキル【削除】、一体どんな効果を持っているのであろうか?
「このスキルで攻撃した敵は1時間後に必ずHPが0になるのでござるよ」
「じゃあさっき使った意味ないじゃん!」
「見せびらかしたかったのでござるよ」
ネタっぽいスキルだが、ソロで挑戦する際は、1時間粘れば勝てるようになるスキルだ。
実用性はある……かのように見えてやはりネタスキルだ。
1時間、戦闘フィールド内で逃げ切るのも中々大変だろう。
「まぁ、刀が黒く染まるのは格好良かったな」
アルカはそう言いながら、サンタを倒した際に何をドロップしたのかを確認する。
「ほぅほぅ、ぶどうジュースか」
ワインのようなぶどうジュースだ。
ワイングラスも付属している。
アルカだけではなく、極とクローも入手している。
「他にもあるでござるよ!」
チキンやその他ご馳走が大量にストレージに入っていた。
「よし! 宴だ!!」




