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245.仲のいい友達といると童心に帰れる

 漆歴うるしれき2021年12月。

 今年も冬がやって来た。


「サンタってチートだよな」

「チート?」

「チートでござるか?」


 アルカはマイホームエリアでキワミ、クローと話をしていた。

 マイホームエリアとは、全てのプレイヤーが女の子なゲーム、ガールズワールドオンライン内に存在する、各プレイヤーに与えられる専用エリアである。

 自分&承認した人物しか入れないエリアだ。

 アルカの場合は普段、フレンド全員が勝手に入れるように設定してある。


 で、今何を話しているのかと言うと、サンタがチートだという件についてだ。


「だって考えても見てみろよ、世界中の子供達にプレゼントを届けるんだぞ? 時間停止、瞬間移動は持っている可能性が高い!」

「確かにそうかもしれないでござる!!」


 極は目を輝かせた。


「だとしたら拙者もサンタになりたいでござる!」

「いや、サンタになるのはこの俺だ!」

「別に1人じゃなくてもいいのでは?」

「それもそうだな。じゃあ、俺はサンタ王になる」


 クローはアルカをジト目で見つめる。


「はぁ……ねぇ、アルカ」

「なんだ? 愛の告白か?」

「あんた何歳?」

「この前誕生日来て28歳だ」

「ぶっちゃけ、こうやって話聴いていると、同年代の男子みたいだわ。やばいわ」

「やばいってのは、俺が年齢に対して性格が若すぎるって意味だよな?」

「うん。特に極と話している時は余計にそう感じるわ」

「友達だからな!」

「他のクランメンバーは?」

「仲間だ!」

「私は?」

「仲間だ!」

「なんか壁を感じるわね。別にいいけど。だけど忘れないで? 極のライバルは私よ! それに私の方がずっと極といる時間が長いんだからね!」

「嫉妬か? だったらあまり強い言葉を使うなよ。嫉妬がバレるぞ」

「うっっっざ!!」


 こんな感じで仲良く話していると、メッセージが送られてきた。

 3人同時にだ。

 その送り主は、キメラであった。


「もうすぐクリスマスだし、クランメンバーでオフ会をやらないかだって!?」


 内容はオフ会のお誘いであった。


「オフ会ってネット上の友達とリアルで会うイベントよね? 確かあれって危険じゃなかったかしら?」

「危険?」

「ネットの人とリアルで会うのは危険だって学校でも習ったわ」


 GWOのアバターは全員が女の子だが、現実がそうとも限らない。

 おまけにアルカ以外は学生を自称しているが、本当に学生なのかも不明だ。

 信用はしたいが、嘘をついている可能性もある。


「極も同じ意見か?」

「そうでござるな……もし、キメラ殿が実は男で変態的な人だとしたら……危ないでござるな……」


 仮にキメラがおっさんで、女子中学生に囲まれようと計画している変態だとしたら相当危険だろう。


「でも大丈夫だ!」

「アルカ殿?」


 アルカは極とクローの目の前で仁王立ちする。


「何かあったら、俺が守るぜ!」

「本当でござるか!?」

「ああ! 何かあったらすぐに警察を呼ぶ!」

「そこはプロに任せるのでござるな! 正直リアルのアルカ殿ってあんまり喧嘩強そうなイメージないでござるからな!」

「喧嘩したことないからな!」


 クローは2人のやり取りを聴いて、余計に不安になった。

 というか、そもそも。


「ちょっと待ってよ! そもそも物理的に私達参加できないわよ!?」

「どうしてだ?」

「忘れたの? 私達は西暦2008年で拾ったヘッドギアからここにアクセスしてるのよ?」


 極は「ハッ」となる。


「そういえばそうでござるな!」

「そこは気が付きなさいよ!」


 クローは極にツッコミを入れた。


「じゃあ、残念だけどオフ会は無理だな……」

「あんたは行かないの?」

「いや、だって……男は俺1人しかいないじゃん! 気まずい!!」

「私達も女の子よ」

「極は友達だからセーフ。そもそも、数カ月前までは極のリアルをおっさんだと思ってたからな」

「そうなの!?」

「ああ。だから俺だけだとちょっとな……。せめて、極も来てくれたらな」


 どうにかできないものか。


「あっ! そうだ! スマホだ!」

「スマホ?」

「ああ! スマホでリモートで参加すればいいんだよ!」


 ヘッドギアにはスマートフォンとリンクできる機能がある。

 それを使えばリモートで参加が可能なはずだ。


「スマートフォンって何?」

「え? そっちはスマホないの? ほら、こんな奴」


 アルカはリアルの画像を表示させた。

 スマホ、マイフォーンの最新機種の画像だ。


「あっ! それ知ってるでござる!」

「極知ってるの?」

「クロー殿はその時寝てたから知らないかもでござるが、去年これに似た奴が発売されたのを授業でやってたでござる! 周りで使ってる人は誰もいないでござるが……」

「それじゃ、駄目じゃない! というか、パソコンじゃ駄目なの?」


 アルカは言う。


「その手があったか!」

「できるんかい!」

「ちょっとオフ会とは違うかもしれないけど、これでリアルな姿を見せ合って話すことができるな! よし! 俺も参加だ!」


 3人はオフ会に参加する意のメッセージをキメラへと送った。

 リモートで参加するということも忘れずに伝えた。


「日付はクリスマス当日だと混むから、19日だとさ」

今までリアルの話をほとんどしなかったので、今回の章は新鮮かもしれません。

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