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25.新たなる目標

 ミサキのスキル、【ハイドロレーザー】でダメージを受けてしまったアルカは、第二層の拠点の街へと戻ってきた。ちなみに第二層の拠点の街の名前は、【セカンドタウン】と言うそうだ。


「それにしても凄い目にあったなぁ……別に勝ち逃げしたつもりは無いんだけどなぁ……」


 レストランに入り、ココアを注文しながら、考えていた。

 数分後、注文したココアが到着する。

 到着までに少々の時間がかかるのは、リアリティ追及の為とか何とか。


「これは……?」

「無料のチラシです。良かったらどうぞ」


 ココアと一緒に1枚のチラシが配れらた。

 このチラシは、レストランで注文をすると、低確率で貰える。そこには先行情報や限定情報が書かれている。

 最もこれらの情報は、すぐにネットに出回ってしまうので、知っているプレイヤーも多い。


「パーティ対抗トーナメント?」


 【パーティ対抗トーナメント】が開催されるという情報が記載されていた。

 内容は、5人パーティを組み、それらで優勝を目指す大会であるという事が書かれていた。開催は、2か月後となる。


「チーム戦か……」


 ちなみに……この情報は、美少女コンテスト後、数時間でネットに出回っていた情報であり、希少度は低かった。アルカは知らなかったが……。

 アルカはチラシを机に置くとココアをすすりながら、考える。


「トーナメントっていうくらいだから、美少女コンテストよりも皆ガチで挑んでくるんだろうな。俺の今のレベルで大丈夫だろうか?」


 今のアルカのレベルは、【15】である。GWOの現在の上限レベルは【50】である。ガチで優勝を狙いたいのならば、せめて【40】くらいは欲しい所だ。


「一気に40レベルくらいになる裏技ってないかな。いや、そんな裏技あるなら皆それやってるか」


 だが、アルカのステータスであれば、トッププレイヤーと渡り合う事も可能だ。【美少女コンテスト】でそれは証明された。それに足りないステータスは装備で補う事も可能だろう。

 最も、美少女コンテストでアルカの戦いを見て対策を練られている可能性は高いので、レベルは勿論の事、その他の強化も必須であると言えるであろうが。


「それに……パーティか、しかも5人」


 5人となると今からメンバー集めを頑張らなくてはならなくなる。

 アルカとパーティを組みたいと思うプレイヤーは居るであろうが、気が合うとは限らない。


「まっ、時間はまだあるんだし、ゆっくり考えるか。とにかくレベル上げを頑張らないとな」


 通知音が鳴る。


「ん? メッセージだ。誰からだろう?」


 アルカは、メッセージを開くと、キメラからのメッセージが届いていた。


「相談したい事があります。今からセカンドタウンの冒険者ギルドで会えませんか?」


 との要件が書かれていた。


「どうしたんだろう?」


 ココアを飲み干すと、冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドの広場の椅子に座り、キメラを待つ。


「お待たせしました……」


 どこか浮かない顔をしたキメラが来た。


「な、何か元気が無いな」


 キメラは大人しい性格だ。だが、今は大人しいというより、暗い。


「廃部になってしまうんです……」

「は、廃部……?」


 廃部とは何の事だろうか? 


「GWOで部活機能は、まだ無いぜ?」

「違うんです……マナー違反かもしれないですが、リアルの事何です」

「成程……」


 何と言っていいのか分からないアルカであった。


「残念だけど、俺に協力出来る事は何も……」


 アルカが言い終える前に、キメラが言う。


「出来ます。むしろアルカさんが適任です」

「俺が?」


 どういう事であろうか?


「はい。実は……」


 キメラは、事情をアルカに説明した。

 キメラはゲーム部の部長を勤めている。ゲーム部の歴史はかなり長く、代々続くゲーム部だとの事だ。

 所がある日、廃部宣言をされた。

 しかし、チャンスは与えられた。

 そのチャンスとは……【パーティ対抗トーナメント】で部長である、キメラが入ったパーティで、優勝する事であった。


「滅茶苦茶じゃないか! しかも、トーナメントの情報を得たのは、ついさっきだぜ? 公式からのメッセージも配信されてない!」

「数日前に、ネットで早々に情報が出回っていたんです」

「そ、そうなの!?」


 自身を最新情報をゲットした幸運プレイヤーだと思っていたので、少しガッカリした。


「でも何で優勝する事が廃部撤回に繋がるんだ?」

「実は……昔はゲームが上手いプレイヤーが沢山集まっていた部活で、数々の大会で優勝を納めていたんですが、今はそんな事も無く、かなりゆるい感じでやっています。もしかして、廃部宣言の理由はそこにあるのかと考え、実績を残せば、廃部しなくても良いじゃないかと提案をしたんです」

「成程」

「まぁ……提案したのは私じゃないんですけどね」

「ま、とりあえず、勝てば良いって事だろ?」


 アルカは立ち上がり、腕を組んだ。


「おもしれぇ! 面白くなってきた!!」


 アルカはニヤリとし、テンションが上がったのか、思いきり翼を広げた。近くに居たプレイヤーが数名吹っ飛ばされ、壁に激突する。


「え、えーと……じゃあ、強力してくれるんですか?」

「ああ! 最高にワクワクして来た!」


 幼いころから、様々な作品を読破、視聴してきたアルカにとっては、非常に燃える展開であった。廃部を逃れる為に優勝を目指す。これぞスポコン物の王道中の王道である。


「な、何か楽しそうですね……」

「いやいや、廃部の危機だ! 俺は真剣に大会に挑むつもりだ!」

「何かテンション上がってません?」

「そうかなぁ!?」

「……で、申し上げにくいんですが負けた際のペナルティもあります。それは……」


 言い終える前に、アルカが右手をキメラに向ける。


「のんのん! 言う必要は無いぞ。俺達は優勝するんだからな」

「わ、分かりました」

「さて、開催は2か月後。学生のキメラちゃんにとっては長く感じるかもしれないが、実はとても短い期間だ。その短い期間で行う事がいくつかある。聴いてくれ」

「はい!」


 アルカは、大きく分けて3つの目標を提示した。

・レベル上げ

・強力装備、武器の作成

・パーティを組んでくれるメンバーを探す


「と、この3つだ。特に強力な武器、装備を作るには、今解放されている最大の層……えーと」

「第五層です」

「そう! 第五層には辿り着きたい所だ」

「む、難しい事を平然と……」

「何てったって優勝を狙う必要があるからな」

「確かにそうですね。分かりました! やってみせます!」


 こうして、誘われたから何となくやっていたゲームに明確な目標が出来たアルカであった。

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