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236.【閑話】執筆の秋

「読書の秋! 執筆の秋ですわー!」


 黒髪ツーサイドアップのアバターがGWOのマイホームエリアでパソコンを操作している。

 プレイヤー名、ジルコ。

 アルカのライバルを自称しているプレイヤーの1人である。

 大型アップデート後、他のクランメンバーと新生第2層を攻略しようとしていたのだが、時間が合わず1人で攻略していたのだ。

 だが、それだとやはり大変だったようで、マイホームエリアへと戻って来たようだ。


「現実世界と違って肩がこらなくて助かりますわ」


 ジルコはネット小説を執筆している。

 評価はあまり宜しくなく、アルカに交換条件で無理矢理読ませる程であった。

 とは言っても、アルカは字を読むのが苦手な為、極に読み聞かせをしてもらっていたのだが……。


「さて、今日は新作を書きますわよ!」


 前作の連載が終了した為、新作を書くようだ。


「今回はずばり! 書籍化を狙いますわよ!」


 前作は評判が悪かったが、今回はガチで書籍化を狙うつもりらしい。


「今回も、大好きな悪役令嬢ものですわ!」


 ジルコがこの口調なのも、悪役令嬢に憧れてのことだ。

 そんなジルコだからこそ、悪役令嬢ものを自ら書き、書籍化を狙いたいようだ。


「前回の反省を活かし、今回はコメディ全開で行きますわよ」


 前作の悪役令嬢ものは、最初はコメディ路線だったのだが、物語の折り返し地点でシリアス展開を繰り広げてしまい、元々低い評価が更に落ちてしまったようだ。


「そして、今回は完璧な作戦がありますの! 題して【書籍化決定作戦】ですわ!」


 書籍化決定作戦とは!


 タイトルの最初に、【書籍化決定!】の文字を付け加えるだけの作戦である。

 人気作品は書籍化決定の文字がタイトルに付いている事が多いので、プレビュー数が増えるだろうという、ジルコの考えから生まれた作戦である。

 書籍化作品を探しに来ているユーザーが、【書籍化】のワードで検索した場合に引っかかる点も見逃していなかった。


「か、完璧な作戦ですわ!!」

※真似してはいけません


 ジルコはドヤ顔をしながらパソコンのキーを打ち続ける。


 と、その時。


「やあ」


 同クランメンバーのガンナー、エクレアが遊びに来た。

 栗色のロングヘアに青色を基調とした装備をしている。


「エクレアさん!? 今日は時間が無いと言っていませんでした!?」

「言ったよ。けど、早めに用事が終わってね。一応僕もクランメンバーだから来たんだ」

「た、頼もしいですわーっ!!」


 ジルコはエクレアに抱き着こうとする。


「あれっ!?」


 だが、エクレアはそれをかわした。


「さ、行こうか」

「つ、冷たいですの……」


 ジルコはゆっくりと起き上がった。

 すると、エクレアは先程までジルコが操作していたパソコンに視線を合わせる。


「というか、何してたの? 攻略でも見てたの?」

「今やっていたのは小説の執筆ですわ!」

「まだ書いてたんだ」

「そうですの! 今度こそ書籍化を目指しますわ!!」


 ジルコは得意げに【書籍化決定作戦】をエクレアに話した。


「僕はネット小説にあんまり詳しくないけど、1つ言っていいかな?」

「なんですの?」

「うん。えーとね、それって詐欺だよね」


 エクレアは相変わらず、感情をあまり込めずにそう言うのであった。


「さ、詐欺!!??」

「うん。それに普通に炎上すると思う」


 ジルコはハッとなる。


「炎上……?」

「うん。そういう事だから。普通に考えて分かるよね? まぁ、炎上って言えるほど人が見に来るようになるとも思えないけど」


 ジルコは咳払いをし、両手を腰に当てる。


「一理ある!! 分かりましたわ!! ワタクシ、正々堂々内容で勝負しますわ!」

「切り替え速いね。ま、そんなことより行こうか、攻略の続きに」

「乗り気ですわね!」

「うん。新しい武器を手に入れたからね」


 エクレアはメニュー画面を操作し、剣の柄を持ち出し、ボタンを押す。

 すると、青色のレーザーが上に伸び、それが刃代わりとなった。


「初めて見ますわね。ビームなサーベルですの?」

「そんな感じだよ。ガチャで手に入れたんだ」


 エクレアはレーザー銃を主に使用している。

 その為、SFチックなこの武器は似合っていた。


「でも、剣って大丈夫なんですの? エクレアさんのステータスだと火力出ないんじゃないんですの?」

「それがそうでもないんだよ。このゲームのレーザー銃での火力は特殊攻撃力に依存するってのは知ってるよね?」

「そ、そうなんですの?」

「うん。で、この剣も似たような仕様みたいでね。剣でありながら特殊攻撃力を参照するらしいんだ」

「ほへぇー、そんな武器がありますのね!」

「最も、大型アップデートで実装されたばかりで、おまけにかなりのレア物だから持ってる人は少ないと思う」


 普段あまり感情を顔に出さないエクレアであったが、この時は口角を上げていた。


「じゃあ、バトルモード……だと長くなりそうだから。先に攻撃が当たった方の勝ちで勝負してみない?」

「望むところですの!」


 ジルコは魔剣ダークカリバーを構えた。

 そして、走り出し、斬り付ける。

 が。


「野蛮だね」


 エクレアは姿勢を低くし、ジルコの攻撃を避け自らの剣を首目掛けて振る。


「なぬっ!?」


 ジルコは慌ててダークカリバーでエクレアの剣を受け止めようとする。

 しかし、エクレアの剣はダークカリバーをすり抜け、ジルコの首にヒットする。


「僕の勝ちだね」


 エクレアは地面に倒れ、空を向いていた。


「何ですの!? 物体をすり抜けましたわ!!」

「この武器はレーザーだからね。今みたいなこともできる」

「くぅ……はっ! さてはそれを見せたかったのですの!?」

「うん」


 ジルコは目を丸くした。


「ズルいですの!!」


 ジルコは叫んだ。

※真似してはいけません(重要)


本日中か日付またいだ夜中にでも本編を投稿しようかと考えています。

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