表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

243/325

234.ドラゴンタウンへ到着

 属性ダンジョンをクリアしたアルカ達は、龍族の住む街、ドラゴンタウンへと向かう。


 ドラゴンタウンは闇のダンジョンを横切った少し先にある。

 属性ダンジョンでの試練を突破し、宝玉を全て集めなければ見えない壁に遮られ、入る事ができない。


 闇のダンジョンまでは距離があるのだが、一度立ち寄ったダンジョンの近くへは、ケモノタウンのワープホールからワープする事が可能だ。


「おっ! 入れたぞ!」


 全ての宝玉を集めたアルカ達はドラゴンタウンへと足を踏み入れる。

 ドラゴンタウンは全体的に薄暗く、灰色の雲と赤い空が特徴的だ。

 街を歩くNPCは、角が生えており、龍の翼をたずさえていた。


「龍族って言ってもガチなドラゴンじゃないんだな」

「獣人のドラゴン版って感じですね」


「アルカ君。早速ドラゴンキングの居場所を聞き出そうではないか」


 ドラゴンタウンはかなり広い。

 攻略情報を見ないでやるのだとしたら、速めに聞き込みを始めた方が良いだろう。


「この広さだもんな。というか、情報を聞きだしてドラゴンキングを倒すって今日1日じゃ無理じゃないか?」


 皆がメニュー画面を開き、リアルの時間を見る。


「も、もうこんな時間でござるか!?」


 時間が過ぎるのはあっと言う間だったようで、19時になろうとしている所だ。


「という事で、今日はここで解散にしないか? どの道情報収集をしない事には、先へと進めなさそうだ」


 それに、夜ご飯の時間というプレイヤーもいるだろう。


 結果、ここで解散し、プレイ続行ができそうなプレイヤーはここで情報収集を続けるという事となった。

 そして来週の土曜日はアルカも出勤予定がないという事で、来週の土曜日に再度集まって攻略するという事となった。


「なんかごめんな」

「別にいいんですよ。というか、私達も明日は普通に学校ですし」


 キメラは、謝罪するアルカに対し言った。

 聖なる漆黒のメンバーは、中学生と社会人であるアルカで構成されている。

 平日の昼に集まってプレイするのは難しい。


 そして。


「俺だけかよ!」


 皆、夜ご飯を食べにログアウトしてしまった。

 アルカのみがドラゴンタウンに残り、聞き込み調査を行う事となった。


「さて、どこで聞けばいいんだろうな」


 ここまで広いと迷ってしまう。

 ちなみにドラゴンタウンもストーリーをクリアするまでは、他クランとは別エリアとして扱われるようで、他のプレイヤーの姿は見当たらない。


「冒険者ギルドか」


 辺りを見回し、目に入ったのは冒険者ギルドの看板であった。

 看板は半分ほど割れていた。


「ここで情報収集といくか」


 アルカは冒険者ギルドへと入る。

 そして、受付の女性に話しかける。


「はじめまして。ドラゴンキングってどこにいるか分かりますか?」

「へ?」


 目を丸くされた。


「わ、分かりません」

「そうですか。ありがとうございます」


 アルカは考える。

 何か隠していそうだと。


(けど、これ以上この人に聞いてもドラゴンキングに関する情報は得られなさそうだな。けど他の事なら教えてくれるかもしれない)


 アルカは再び質問をする。


「でしたら、この街の情報屋さんを知りませんか?」

「情報屋さんですか、それでしたら……」


 無事に居場所を聞き出す事に成功する。

 場所は冒険者ギルドの近くにあるらしい。


「結構普通の家なんだな」


 一般民家のような感じたが、すぐに右の看板に気が付く。


「こっちか!」


 地下室へと通じる穴が開いており、この先に情報屋がいるようだ。


「お客さんかな?」


 下へ降りると、龍族のNPCが出迎えてくれた。


「貴方が情報屋ですか?」

「そうだよ。私が情報屋」


 本来であれば、【ドラゴン力】を高めなければこの地下室へは入れない。

 ドラゴン力を上げるにはドラゴンタウンで依頼を受けるしかないのだが、アルカの場合は、最初からマックスであった。


「ドラゴンキングを討伐したいのですが、居場所を知りたいです」

「ほぅ……何を言い出すかと思えば……君、死ぬよ?」

「死ぬ?」


 首を捻るアルカに対し、情報屋は聞く。


「もしかして君は、よそ者かな?」

「そうですけど」

「悪い事は言わない。やめといた方がいい」

「……そこまでヤバイ奴なんですか?」

「そうだね。昔はそんな方じゃなかったんだけどね」


 情報屋は語る。


「宝玉のせいだ」

「宝玉?」


 宝玉、それは5年前にこの辺りで初めて発見された物体のようだ。

 その力は凄まじく、龍族にとっては強大な力を得られる代物だったらしい。

 しかし、ドラゴンキングは宝玉を吸収し過ぎ、狂暴になってしまったという。


(麻薬みたいだな……ま、やる事は1つだな!)


 アルカは情報屋に言う。


「任せてください。俺が……いえ、俺達がドラゴンキングを倒し、正気に戻してみせます!」

「本当に命知らずなんだね」

「俺達は殺されても死なないんでね!」


 情報屋は首を傾げた。


「馬鹿だね。けど、そこまで言うなら賭けてみようかな。けど、ドラゴンキングがいる要塞には、ただじゃ入れない。生贄を用意しないとね」

「生贄……?」


 どうやら、獣人を差し出す目的で無ければ、ドラゴンキングのいる要塞とやらには入れないらしい。


「犠牲者は増やしたくないぜ……」

「獣人は生きたまま生で食べた方が美味しいらしいからね。ドラゴンキングのいる所までは殺されない。ただ、もし犠牲者を増やしたくないならば君はその人を守る必要がある。できるかな?」

「やってみますよ」


 そう言うと、アルカはケモノタウンへと戻った。


「いらっしゃいませ! あ! アルカさん! 約束通り、また来てくれたんですね!!」


 そのままケモ耳喫茶へと足を運ぶ。


「ああ! ちょっとお願いがあってな!」


 実際……生贄としては、ケモ耳と尻尾を装備したプレイヤーを用意すれば条件は達成できるのだが、アルカは何を考えているのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ