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230.光のダンジョン攻略【後編】

143.GWO運営支部の男2人は業務後に飲む【閑話】

で出た内容について少し触れます。

数カ月前の話なので、念の為報告です。

 私は中学2年生、双葉ふたば七我流ながれ


 下校中に発見した怪しげなダンボール箱から、ヘルメット型の機械を入手する。


 その機械はVRヘッドギアと呼ばれるゲーム機であった。

 好奇心に負け使用してしまい、気が付いた時には西暦2008年から、2021年のオンラインへとアクセスしてしまっていた。

 後に分かった事だけど、西暦2021年ではなく、漆歴うるしれき2021年らしい。


 VRゲームはとても楽しそうで、プレイはしたい。

 けど、別世界から来た事をペラペラ話したら、危険な目に合うかもしれない。

 

 私は素性を明かさずに侍キャラで通し、2021年のネット世界で出会ったアルカさんと共にGWOの世界へと乗り込んだのであった。






































「大丈夫?」


 クローが極の顔を覗き込んだ。

 1人でブツブツ言っている極を心配したらしい。


「大丈夫でござる! ちょっと頭がパンクしそうだったから整理してたでござるよ!」

「それならいいけど、あんまり心配かけんじゃないわよ! で? どうするの?」

「へ?」

「私もミーナもサイコロ振ったから、次は極がいいかなって思ってたんだけど、疲れてるなら無理すんじゃないわよ」

「おお! それはありがたいでござる! やりたいでござる!」


 極はサイコロをぶん投げた。


「6でござるよ!」

「やるじゃない!」


 6マス先へと進む。

 ディスプレイに表示された指令は。


 “現実世界で与えられた【サイ】をお友達に紹介してください”

 ※これに関しては誰か1人でOKです。


「は? 何これ」


「結構踏み込んでくるね、このゲーム。私は別に聞かれても構わないけどね! どっちみち、私元別世界のよそ者だし」


「いや、そういう事じゃないって! サイって何?」


「えっ!? ふぅむ……なるほどね」


 ミーナは人差し指を頬に当て、空を見上げる。


「2人の世界には無いんだね?」

「無いわよ! ミーナの世界にはあったの?」

「無かったね! だからさっきの反応で何となく察せたんだよ?」

「そう、気をつかわせたわね。で? 【才】って何よ?」


 才とは。


 生後一カ月以内に授かる才能の事を指す。


 生後一カ月経過後、医者により、“才の授かり”と呼ばれる儀式が行われる。


 “才の儀式”は生後一カ月後から72時間以内に行わなくてはならない。


 期間が過ぎると、どのような才を与えられたかが判断不可能となってしまう。


 この授かった才により、進路を決めると言っても過言では無いので、担当医には重大な責任が伴う。


「って感じ何だけど、分かったかな?」


「そんな感じなのね。でもそれだったら私達の世界でもあるわよ? 例えばそうね……絵が上手かったり、字が丁寧だったり、足が速かったり。才の授かり? とかいう儀式は無いけど。そもそも本当に一カ月以内に授かるかが疑問だわ」


「正直、私もそこは疑問に思ったかな? でもこの世界では“才の授かり”によって得られた才によって人生が左右されるらしいの。自分で何をやりたいかで決めた方が絶対に良いって私も思うんだけど、多くの……いや、ほとんどの人は判明した【才】によって生き方を選ぶのが当たり前のように思っているみたいなの」


 極が口を開く。


「じゃあ、例えばでござるよ? こう言っては失礼でござるが……仕事にどうやっても活かせない才だった人はどうなるのでござるか?」


「色々だけど、基本的には夢を持たずに、自分ができる仕事をする事になるみたい。履歴書にも才を書かなくちゃならない場合もあるから、あまり仕事は選べないみたいだけど」


 でも……とミーナは話を続ける。


「そういう人全員が不幸って訳じゃないみたいだよ。初めから将来の諦めがついていれば、学生時代に努力をせずにひたすら遊ぶに専念できるみたいだし。その代わり、いつまでも学生時代の良い思い出のみを武器に生きていく事になる人が多いみたい」


「そう、でござるか……。拙者もよそ者故、口出しはしないでござる。ただちょっとビックリしたでござる。それで……そんなものを公開してもいいのでござるか? ミーナ殿」


「私は別に構わないよ? 極ちゃんとクローちゃんはいい子だし」


 ミーナはドヤ顔で才を発表する。


「私の才は、【リンゴむき名人】だよ! リンゴをむくのが凄く早くてね! もしリアルで会えるのなら披露したいくらいだよ!」


 反応に困る2人であった。

 そんな2人を安心させるかのように、ミーナが言う。


「心配しなくていいよ? 私は【才】には流されないから! 私には向こうの世界での記憶と経験があるのだよ! ドヤ!!」


「たくましいわね。でも私も負けて無いわよ! テストで2点を取った事があるけど凹まなかったわ!」


「それは少し凹んだ方がいいような……」


 指令をクリアしたので、サイコロが振れるようになった。


「運気が回復したかもしれないわ! 私が投げるわ!」


 こうして、マス目を次々と進んでいった。


 先程までの内容が嘘かのように、簡単に答えられる質問が出された。


 例えば、そば派かうどん派か。

 甘いのと辛いのはどっちが好きか。


 等といったものだ。


 そして……。


「ゴールよ!!」


 無事にゴールインを果たした。


「色々あったけど、楽しかったね!」

「そうでござるな! こうしてミーナ殿とももっと仲良くなれた事でござるし!」


 あまり2人との接点が無かったミーナであったが、今回の出来事を通じ、親友かはたまた肉体は同年代のお姉ちゃんのような存在となっていた。


『ふわ~、よく寝た! クリアおめでとう! クリアできたって事は君達の友情ランクはかなりのものだって事だね! これは報酬だよ』


 次の瞬間、3人の目の前には光の精霊、ピカリンが居た。


「うわっ!? びっくりした!!」


「驚かせてごめん。ただこれは直接渡さないとと思ってね。これが宝玉【ムーンストーン】だよ」


 これでミーナ、極、クローが担当するダンジョンは全てクリアした事になる。


「ありがとうでござる!」

「これからも頑張ってね。じゃあ」


 3人の視界は真っ白になり、気が付いたらダンジョンの入り口に居た。


「これでミッションコンプリートだね!」

「そうね! アルカ達も上手くやってるかしら?」


「きっと大丈夫でござるよ! アルカ殿のパワーとキメラ殿のプレイングとカノン殿の頭脳があれば、クリアできるでござるよ!」


 それもそうだ。と、3人は顔を見合わせて笑った。


「何だか大冒険だったね!」

「そうね! 一生の思い出になるわ!」

「私達、ズッ友だよね!」


 とても楽しそうに話をしながら、クランホームへと歩いて帰る3人であった。

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