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229.光のダンジョン攻略【前編】

 ミーナ、極、クローは光のダンジョンに足を踏み入れる。


 そして聴こえる謎の声。


 その声の主は光の精霊ピカリンであった。


「友情パワー……?」

『そう、友情パワー』


 今までこの3人が受けた各属性のダンジョンでの試練はボス討伐であった。

 だが、どうやら光のダンジョンの試練はそうではないようだ。


「友情パワーでござるか?」

「一体何をやらされるんだろうね」


 クローだけではなく、残りの2人も疑問符を浮かべていた。

 攻略情報を見ていない為、何をやらされるか分からない。


『双六さ』

「双六!? 友情パワーとか言ってたから組体操でもやらされるのかと思ったわ!」


 どうやら双六をやらされるそうだ。


『ルールは簡単! 今から君達を【双六空間】へと転送する。そこでサイコロを振って無事にゴールまで辿り着ければ試練達成だよ』

「えーっと、私達3人で争い合うの?」


 双六は本来であれば、順位を決めるものだ。


『違うよ。3人1組でゴールまで辿り着ければいいんだよ。競い合う相手はいないよ。双六中、私はここで昼寝してるし』


 ここと言ってもどこにいるかは不明だ。


「なるほど……だったら簡単そうだね♪ サクッとクリアしちゃおう!」


 ミーナはニコリと余裕そうな笑みを浮かべた。


『じゃあ、早速双六空間へと転送させてもらうよ。ポチッとな!』


 次の瞬間、3人は双六空間へと転送された。

 巨大なボードゲームのマップに、ミーナ達の背丈を同じくらいの大きさのサイコロが置かれていた。


 そして、この空間内では録画ができず、完全に3人の空間だという事が目の前のディスプレイに表示された。


「何でかしら? まぁ、私達には関係ないわよね。今は特に配信とかしてないし……という訳で早速やるわよ! 私が振っていいわよね?」

「どうぞどうぞ~」


 クローがサイコロをぶん投げた。

 出た目は6。


「ついてるわ!」


 3人は6マス先へと歩みを進める。


「あっ! 地面に何か書かれているでござるよ!」

「本当だわ!」


 地面に書かれているので見にくい。

 だが、すぐに3人の目の前にディスプレイでその内容が表示された。

 書かれていた内容はこうだ。


 “貴方達の好きな食べ物を教えてください”


「好きな食べ物……?」

「どうやら、答えなくてはならないようでござるな」


 好物を答えるだけならば非常に簡単だ。


「じゃあ私から行くね! リンゴ!」


 ミーナが手を挙げ、元気に答えた。


「何も起こらないね」

「多分3人が答えないと駄目なのよ。じゃあ次私、イチゴ」


 そして最後に極が答える。


「チョコレート!」


 すると、ピンポン! とクイズ番組で正解を答えたかのような音が鳴り響いた。


「やっぱり3人が答えないと駄目なのね。それはそうと、次もこんな感じの質問が来るのかしら?」

「拙者は別にいいでござるが……」


 極はミーナをチラリと見た。


「拙者とクロー殿はリア友でござるが、ミーナ殿は違うでござるからな。答えたくない質問があったら拒否っていいでござるからな。リア友でもない拙者達に個人情報を晒すのもあれでござろう?」


 説明を見た所、そのマスをクリアできなければ、振り出しに戻ってしまうかなりハード仕様の双六ではあったが、極は楽しくプレイできなければ意味がないと思い言ったのだろう。


「いや、何というか私の情報って正直ネット上にゴロゴロ転がってるから、今更心配しなくても大丈夫だよ! 幸い特定はされてないけどね!」

「そういえばミーナはVtuber? だったわね。配信者は大変ねぇ」

「あはっ、まぁね! でも楽しいから良し! 現実で身バレもしてないからね!」

「話していて友達とかにバレないの?」

「学校に友達いないから大丈夫!」

「は、反応に困るわ……」

「ファンの皆やクランの皆がいるから寂しくないよ! 気にしないで!」


 本当に気にしていないようだ。


「とりあえず先に進もっ! クローちゃんまた6出して!」

「分かったわ! 任せなさい!」


 出た目は3であった。


「うわあああああああああああ! 3よ! 普通だわ!」

「ま、まぁ運ゲーだから気にしない方がいいと思うよ?」


 叫ぶクローに対し、ミーナは言った。

 3人は3マス先に進む。


「お次は何かしら?」


 再び、ディスプレイに表示された内容を確認する。


 “貴方達の年齢を教えてください”


「年齢!? えっ、何これ合コンなの!?」


 クローがよく分からないツッコミを入れた。


「拙者達お互いの年齢は前から特に隠さず言いまくってたでござるから、言った所で今更別にって感じでござるな」


 3人は一斉に年齢を答えた。


「そういえば、クローちゃんだけ1歳年下何だね」


 ここにいる3人は全員中学2年生であるが、クローだけは誕生日が来ていないので13歳なのだ。


「そうよ。誕生日が遅いのよ、悪い?」

「悪くないよ! 誕生日の時は言ってね! お祝いするから!」


 そして再び駒を進める。


「次私が振ってみようかな? いい?」

「別にいいわよ。私の運気は燃え尽きたわ」


 今度はミーナがサイコロをぶん投げる。


「やった! 5だ!」

「段々とゴールが見えてきたでござるな!」


 次のお題は何だろうか?


 “秘密を1つ以上公開してください”


「何でこういう質問ばかりなのよ! この双六、ソロだと絶対つまらないわ!」

「秘密って一杯あるでござるな。でも、折角だからミーナ殿が驚くような秘密を……」


 ミーナが口を挟む。


「え、いや、別にちょっとした秘密でいいと思うよ? 何が苦手とか50m走何秒とか」

「ちなみにミーナ殿はどんな秘密でござるか?」

「私はね……実はここの世界の出身じゃないんだよね! 配信の時に公開しまくってるから秘密にカウントされるか分からないけど!」


 電波発言集としてまとめられるくらいで、誰一人としてミーナの異世界人発言を信じているファンはいない。


「「そうなの!?」」


 だが、極とクローは驚いた。


「まさかまさかの!」

「同じ境遇の人!!」


 極とクローはジャンプしてハイタッチした後、ミーナを見る。


「同じって……? もしかして、極ちゃんとクローちゃんも私と同じ世界出身って事?」

「? 拙者達は別な世界からこのゲームにアクセスしているのでござるよ?」

「ど、どういう事?」


 話が噛み合わなかったので、一旦落ち着いて話をし直した。


「なるほどでござる。拙者達勘違いしていたでござる!」


 どうやら極とクローはミーナが自分達と同じく、西暦2008年の世界からこのゲームにアクセスしているものだと思い込んでいたようだ。


「それにしても不思議ね。そんな剣と魔法のゲームみたいな世界で死んで転生しました! だなんて」

「完全には死んでないから、正確には転生じゃないって師匠が……!」

「赤ん坊としてこっちの世界に生まれたんでしょ? 転生でしょ?」


 と2人が話している中、極が思う。


(ミーナ殿って中身の年齢結構いってそうでござるな)


 正解。

 異世界で過ごした18年+こちらでやり直した14年がミーナの精神的な年齢である。


「それにしても、極ちゃんとクローちゃんは、こっちの世界とそんなに変わらなそうな所から来てるんだね」


「そうでござるな。とは言っても、このゲームにアクセスしているだけでこっちの世界に直接来ている訳ではないから、何とも言えないでござる。ただ、こんな感じで実際に入り込めるゲームは無いでござる」


「あっ! 無いんだ! 他にも色々気になるな~! リアルで会ってパフェでも食べながらお話したい!!」


「実際に会えないのがもどかしいでござるな」




「ちょっとあんた達」


 盛り上がっている所、クローがジト目で視線を送る。


「サイコロ振れるみたいだけど」

「あっ」


 どうやらさっきの会話がトリガーとなったようだ。


「気が付かなかったでござる」

「とにかくこれで先に進めるね! 今は時間が無いから、今度女子会でもしよう!」

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