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228.異世界組

 アルカ達は無事に電気のダンジョンをクリアし、トパーズを入手した。

 一方その頃、ミーナ、極、クローは……。


「やったわ! これでアルカ達と別れてから2つ目の宝玉だわ!」


 3人は切り株に座り、手に入れた宝玉を確認していた。

 クローの手にあるのは、赤色と青色の宝玉であった。


「綺麗でござるな」

「そうですね」


 赤色の宝玉が炎のダンジョンで手に入れたルビー。

 青色の宝石が水のダンジョンで手に入れたサファイアであった。

 どちらのダンジョンも単純なボス討伐が試練だった為、あまり苦労せずにクリアすることができたようだ。


「残す所は光のダンジョンだけね! 今度の試練もボス討伐かしら?」

「どうかな? 光属性と闇属性は何か特別な感じがするから、もしかすると違う試練かも!」

「……ねぇ」


 ミーナに向けてカノンがジト目で視線を送る。


「何でミーナは極には敬語で、私にはタメ口なの?」

「そうでござるな。拙者にももっと肩の力を抜いて接しても良いのでござるよ?」


 それに対しミーナは困り眉をしながら答える。


「えーっと、極さんは私より前にアルさんのクランに居たから、先輩かなと。それで自然と敬語になっちゃってるだけです!」

「ふっ! 何言ってるでござるか、拙者達は先輩後輩以前にもう友達でござろう?」

「友達……確かに……!」

「そうでござる! だから拙者にも敬語じゃなくてもいいでござるよ?」

「何か面と向かって友達と言われると照れちゃいますね! じゃあ、お言葉に甘えて極ちゃんって呼ばせて貰うね!」

「おお! 何か一気に距離が縮まった感があるでござるな!」


 しばらく休憩すると、ミーナは立ちあがる。


「さてと、じゃあ、行こうか! 光のダンジョンへ!」

「そうね! サクッと攻略しちゃうわよ!」


 光のダンジョンの場所は分かっている。

 水属性の精霊が場所を教えてくれたからだ。


「目的地へ向けて、走るでござるよ!」

「ちょっ、あんたが一番速いんだから、追いつけないわよ! 待ちなさいよ!」


 極は勢いよく走り出した。


「ぬおっ!?」


 あまりにも勢いよく走り出したものだから、プレイヤーと頭をごっつんこしてしまった。


「ちゃんと前見なさいよ! すみません、うちの極がご迷惑をお掛けしました……って貴方は確か!!」


 何と、ぶつかったプレイヤーは運営の1人である、真ん中分けの男のGWOアバターであった。

 ケモノタウンではケモ耳喫茶をお勧めしてくれた後はどこかへ行ってしまったが、偶然にも再開を果たしてしまう。


「また会ったな……これも運命か」


 クローの手を取り、立ち上がる。


「ご、ごめんなさい。ちょっと飛ばし過ぎました……でござる」


 極は目を回していたが、すぐに謝罪をし、立ち上がった。


「いや、別にいいんだ。自分達の作ったゲームでそこまでテンションを上げてくれるとは……むしろ嬉しいぞ!」

「それはそうと……よくここまで来られましたね」

「ん? どういうことだ?」


 ミーナに対し、運営は疑問符を浮かべる。


「正直運営さんってそこまでレベル高くないですよね? どうやってここまで来たんですか?」


 最近1プレイヤーとして、GWOに参戦する資格を得たばかりなので、レベルも23と低い。


「ああ、そういうことか。確かに運営の権限でここまで来たのかと思われても仕方ないな」

「あ、いや別にそういうことを疑ったわけじゃ……」

「いや、あえて説明させて貰おうか」


 運営の説明によると、どうやら見知らぬプレイヤーに一時的にパーティに入れて貰い、それでここまで来たようだ。


「そうだったんですか! というか運営さん何だからそれこそ権限でここまで来ても誰も文句言わないと思いますよ?」

「そういう訳にはいかない。今俺は1プレイヤーとしてここに来ているんだ」


 仕事は仕事だが、あくまで一般プレイヤーとしてのアクセスだ。

 プレイヤーの視点に立ち、新たなるアイデアを生み出すことが目的だ。


「そうなんですね! だったらプレイヤーネームで呼んでもいいですか?」

「ああ、むしろそうして貰えると助かる」


 運営のプレイヤーネームを3人は見る。


「マナカさんって言うのね! 宜しくお願いするわ!」

「元気だな。こちらこそ宜しく」


 その後クローに続き、極、ミーナは自己紹介を行った。


「ちなみにマナカ殿の職業は何でござるか?」

「【ガンナー】だ」


 マナカはリボルバー式の拳銃を抜くと、クルクルと回転させ見せ付けた。


「近接ガンナーって奴を目指している」

「近接ガンナーでござるか?」

「ああ、遠距離では無く、近距離で戦うガンナーのことだ」

「何か難しそうでござるな」

「実際に何度か倒れてパーティに迷惑をかけたからな」

「拙者も最初はVRに慣れてなくて突っ込んでばかりだったでござるよ」

「ふっ、俺達は似た者同士なのかもしれない」


 極とマナカは握手を交わした。


「何友情芽生えさせてるのよ! こっちは急いでいるのよ!」

「そ、そうだったでござる!」


 マナカは軽くお辞儀をする。


「すまない。折角の休日に運営何かに呼び止められてさぞ迷惑だったことだろう」

「そこまでは言ってないわよ!」

「いや、いいんだ。ゲーム内では可愛い女の子でもリアルではただのおっさんに過ぎない」

「何か悪いことしてる気分になるわね……」


 ただ思ったことを口にしただけで、気をつかって貰いたかった訳でもない。

 マナカは不器用なのだ。


「さて、そんな訳で俺はここで去らせて貰うよ。あっ、別に君達のせいでは無いよ。行きたいダンジョンがあってね」

「どこでござるか?」

「闇のダンジョンだ」

(闇のダンジョンって確かアルカ殿達が攻略することになっていたでござるな)


 右手の指二本を額にビシッと付けると、マナカは去っていった。


「運営さんと知り合いになれるだ何て、私達ついてるね!」

「そうね。中々無いわよね、こんな機会」


 マナカと別れた後、ミーナ達は光のダンジョンへと向けて走るのであった。


「やっと着いたわね!」

「そうでござるな! ここから先が光のダンジョンでござるか!」


 目の前に広がるのは眩しいくらいの光のダンジョンであった。


「2人共元気だね……」


 ミーナは息切れしているようであった。


「ミーナ殿大丈夫でござるか!?」

「だ、大丈夫……」


 クローは腰に手を当て、言う。


「だらしが無いわね! そもそもゲームなのに何でそこまで息切れする訳? スタミナ値とかこのゲーム無いわよね?」

「いや……あれだけ連続で走っていたらほとんどのプレイヤーが息切れすると思うよ……むしろ2人のスタミナがおかしいような……」

「ふふん! 私達のスタミナは強すぎておかしいのよ!」


 少し休憩を挟み、ミーナが復活すると、光のダンジョンへと足を運ぶ。


「ふぅ……これで大丈夫!」

「ミーナ殿も復活した所で、早速光のダンジョンの試練をクリアするでござるよ!」


 3人は光のダンジョンへと足を踏み入れた。

 ダンジョン内は神々しく、天国のような場所であった。


『ようこそ! 光のダンジョンへ! 私の名前は光の精霊ピカリン!』


 ダンジョン内にピカリンの声が響く。


「ど、どこから話しかけてるのよ!?」


 クローは辺りを見渡すが、ピカリンの姿は見えない。


『早速だけど、試練を始めさせて貰うよ!』

「いきなりね! 一体今度はどんな化物と戦わせる気?」

『? 何で争い合うんだい?』

「ボス戦じゃないの?」


 クローはまたボスと戦うのかと身構えていたのだが、どうやら違うようだ。


『ここ、光のダンジョンの試練はね、とっても簡単! 君達の友情パワーがあれば楽々クリアできる筈だよ』

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