23.祝勝会
「「「「乾杯!!」」」
美少女コンテストが行われた翌日、アルカ達は、第二層にあるレストランで祝勝会を行っていた。
机の上には、それぞれが注文した料理が乗っている。
アルカは、味噌ラーメン。極は、大盛カレーセットを注文したようだ。
そして、もう1人……。
「な、何かすいません。私だけ場違いっぽくて……」
「折角再会出来たんだ。それに美少女コンテストにはキメラちゃんも参加してたんだろ?」
「え、ええ……。すぐに負けちゃいましたけど……」
第二層へと無事に到達したキメラ。祝勝会を行おうと、極とレストランに行こうとした時、偶然出会い、アルカが誘ったのだ。
ちなみに醤油ラーメンを注文している。
「ほぅ、お主がキメラ殿でござるか……噂では、魔法少女だとか何とか」
「そう何です。極さんは、その格好からして侍ですか?」
「いかにも! ……最も今後実装される職業システムで【侍】が追加されるとは限らないでござるがな」
極は、乾杯した飲み物を飲む。それに釣られ、全員が飲み物を飲んだ。
アルカは、ココア。極は、カプチーノ。キメラは緑茶である。
「で……もし【侍】が職業に無かったらどうするんだ?」
「拙者は死ぬまで侍の身……職業には縛られんよ」
極がドヤ顔でニヤリと笑った。
「職業かぁ……キメラちゃんは、どんな職業にするんだ?」
「魔法っぽいスキルを覚えられる職業にしたいと思っています。魔法使いとかあったら良いですね」
「やっぱりか!」
「アルカさんは?」
「俺か……そうだな……」
アルカは、腕を組み、「う~ん」と考える。
「一応、剣を使う職業があったらそれにするのも良いかと考えてるけど……どうしよう」
「ちなみに、リーク情報によると、最初に選択したら特別なアイテムを使用しないと、職業変更出来ないらしいでござる」
「そうなのか!? じゃあ慎重に決めないとな……っとラーメン伸びる前に食うか。皆、今日は俺のおごりだ! 美少女コンテストで優勝して金が手に入ったからな!」
二人は、アルカに礼を言うと、食べ始める。
「おかわりでござる! ハンバーガーも頼むでござる!」
「程ほどにしておけよ。リアルなら若者でもギリギリ太るぞ」
「ゲームの中だから大丈夫でござるよ」
食事が終わり、3人は、再び会話を始める。
「ふぅ……美味しかった。さて、これからどうするかな」
「次のイベントに向けて修行するでござるか?」
ゲーム好きのキメラが、ある提案をする。
「あの……クランを作りませんか?」
「クランでござるか。そういえばそういう機能もあったでござるが何でまた?」
「実はですね。このゲーム、チームイベントがたまに開催されているみたい何です。必ずしもクラン対抗といったわけでは無いのですが、作りたいなと……」
「お主……何が目的だ?」
「え?」
極がキメラに対し、尋ねた。
「目的ですか……実は……えーと……何と言いますか……もし宜しければ、私を作成したクランに加えて貰えないかと思いまして」
おどおどしながらキメラは答える。別にクランに入れて貰うということだけが目的では無かったのだが、言い出しにくかったのだ。
アルカは、ニコリとし、言う。
「いいぜ! 一緒に頑張ろう!」
「……アルカ殿、ここは拙者がテストしてからでも良いでござる?」
「え……別にそんな事しなくても良いんじゃないか?」
「雰囲気は大切でござるよ。……それに拙者の剣も血に飢えているでござるよ……レストランを出たら決闘場でバトルでござる!!」
極の提案で、近くの決闘場へと3人は足を運ぶ。
決闘場は、個室のような感じになっており、貸し切りで利用できる。
多くのプレイヤーが利用をすると、部屋数が足りなくなりそうであるが、ゲームなのでその辺りは大丈夫なようだ。
「審判は、俺がやろう」
「プレイヤー同士の戦闘何て……き、緊張します……」
アルカが旗を持ち、試合開始の合図をすると、極は腰の刀を抜く。
「ふにゃあああ!!!!」
極は、刀を持ち、突き刺そうと叫びながらキメラの元へと走る。
「【マジカルチェンジ】!!」
キメラは、スキル【マジカルチェンジ】を使用すると、空中へと浮遊する。
「噂のユニークスキルでござるな……ユニークには、ユニークでござる!!」
極は、刀を両手でギュッと握りしめると刀身に白いオーラがまとわりつく。そしてそれをキメラへと振り下ろす。
「【流星群】!!」
刀からいくつもの流星が、キメラの方へと飛んでいく。中々に綺麗だ。
「くっ!」
数が多いので、全てをかわす事は不可能だったようで、キメラはダメージを受ける。
「どうでござる!!」
「確かに強いですね……ですがそこまでの大技です。MPも多く消費する筈です。連発はおそらく出来ない可能性が高いです」
「……!!」
極は、図星だったようで、驚いた表情を見せた。
キメラは、隙を逃さず、攻撃系スキル【光の波動】を発動させる。キメラの手から、光の球体が発射される。
極は、それを余裕そうにかわす。
「残念でござるな! 当たった地面を見る限り、威力は高そうでござるが……【流星群】と同じく、そう安々と使用は出来ない筈でござる」
「すいません。【光の波動】10連射」
「へっ!?」
光の波動が極へと襲い掛かる。
「当たったらやばいでござる! それにしても何て燃費の良い技でござる……」
燃費が良いのでは無く、実際には、【マジカルチェンジ】の効果により、MP消費を無視して使用出来ているのだ。
だが、極は全弾をかわす。
「凄いプレイングスキルを持っていますね」
キメラは地面へ足を付ける。長時間の浮遊は出来ないようだ。
「ありがとうでござる。……一気にいくでござる!【ファイア】!!」
刀を振るうと、小さな炎がキメラの元へと飛んでいく。低ダメージ、低コストのスキルである。
それをMPの限り放つ。一発一発のダメージは低いが、馬鹿には出来ない。
「【ホーリーブレイド】!!」
キメラの手に実体の無い光の剣が握られると、【ファイア】を全て薙ぎ払った。
「なっ!?」
キメラがファイアを防いでいる間に、背後に周り、攻撃をする作戦だったのだが、上手くはいかなかったようだ。
「行きます!!」
キメラは【光の波動】を10発と【ホーリーブレイド】の組み合わせで極を攻撃する。
「ま、まさかこれ程とは……!!」
極は、連続攻撃と、【マジカルチェンジ】の効果により、2倍の被ダメージを受け、敗北した。
「拙者の負けでござる……」
決闘場では、リスポーンはされなかったが、極はションボリとしてしまった。
【マジカルチェンジ】を解除したキメラが話しかける。
「な、何かすいません」
「見事でござる! クランを作成した際には、一緒に頑張ろうでござる!! ……はぁ」
「お、落ち込まないでください! 私じゃなく、私のスキルが強かっただけですから」
「拙者の修行不足でござるよ」
審判としての役割を放棄していたアルカが二人の元へとかけよる。
「二人とも凄かったな! 早速だけどクランを作りに行こうぜ……ってどこに行けば良いんだ?」
「冒険者ギルドで作れますよ」
「おお! キメラちゃんは物知りだな! 早速行こう!」
決闘場から出ると、ギルドへと向かうべく、足を進める。
「ほぅ……」
1人の陰陽師っぽい格好をしたおっさんが極を見る。
「おい! そこの侍!」
「せ、拙者でござるか?」
「そうだ! 何か悩み事があるな?」
このゲームの男は、NPCのみである。
故に、この男もNPCである。
「悩みって程じゃないんでござるが……ちょっと力の差を見せつけられてこれからどう修行したら良いのかを考えていたのでござるよ」
「修行か……ふふっ……気に入った! 私が修行を付けてやろう。陰陽の道を伝授する」
「え、な、何なんこの展開」
あまりの超展開に極ですら一歩後退った。
「おーい! どうしたんだ極? 行こうぜ! というか何独り言言ってるんだ?」
「み、見えないんでござるか? ここにおっさんが居るでござる!」
「?」
アルカは辺りをキョロキョロするが、おっさん等居ない。
キメラにも尋ねたが、同様の反応であった。
「どうした、私の術を会得したくはないのか……?」
極は思った。これは、イベントだと。しかも、自分以外に見えていない。
(このおっさんからユニークスキルが取得出来るでござるか!!)
極はニヤリとすると、アルカ達に言う。
「ちょっとイベントが発生したでござる! 今日の所は失礼するでござる!」
「お、おい!」
極は、おっさんと共にどこかへと姿を消した。
「仕方が無いから俺らだけで行くか。イベントってどんなイベントだろうな」
「私には何とも……。とりあえず極さんが戻って来られるようにクラン作りに行きましょうか」
「そうだな」
この後、二人は冒険者ギルドに向かったが、3人以上居ないとクランは作成出来ないと言われてしまったのであった。
「クラン名も決まって無かったしな」




