220.無のダンジョン
更新頻度低くなってすみません。
「そうだな。そろそろ行くか」
アルカ達はケモノタウンで準備を済ませると、フィールドへ出る。
とは言っても、錬金術師であるミーナが調合したものがあるので、アイテムに関しては買わずに済んだ。
「綺麗ですね~!」
「使い回しだね」
「そ、それは言わないでくださいよ」
キメラは第2層の草原に感動していたが、実際は第1層の使い回しである。
「少し進んでみませんか? メインストーリーにもそう書かれています」
「メインストーリー?」
アルカ達はメニュー画面を開くと、【メインストーリー】の欄に進行状況が書かれていた。
「この“メンバー”の欄はクランメンバーの名前が載ってるな」
「はい。デフォルトではクランメンバー全員でストーリーを進めるようになっています。設定次第でソロや決められたメンバーでのプレイも可能みたいです」
「初心者にも優しいって訳だな。生産職のプレイヤーや、ただモンスターと戯れたいプレイヤーだっているからな」
「そうですね。良い配慮だと思います」
「俺達のパーティは割と戦闘要員多いけど、折角だからこのままクランで受けようぜ?」
皆は賛成のようだ。
そもそも、その為に今日は集まったのだ。
「草原を抜けたな」
しばらく歩くと、無のダンジョンと書かれた看板を発見した。
「これ何だ?」
「ダンジョンの入り口みたいですね。現段階ですと、他の場所には進めないようです」
キメラの言う通り、ここで行き止まりになっていた。
他にも道があったが、露骨に大きな岩が置かれたり、見えない壁に遮られ、進めないようになっていた。
「あ! 今あのプレイヤーあそこ通っていったぞ!」
「本当だわ! ちょっとあんた!!」
クローは見えない壁を通り抜けたプレイヤーを呼んだ。
「何でそこ通れるのよ!!」
「えっ……えっと……そこのダンジョンをクリアしたからですが……」
「ここ?」
「あ、はい。無のダンジョンを進めるとストーリーが進むので……」
「ふ~ん。ありがと」
呼び止められたプレイヤーは再び見えない壁の向こうへと、逃げるように走っていった。
(このヤンキー……怖いな)
別にヤンキーでは無いが、気の強いクローを見てアルカはそう思ったのであった。
「じゃあ、今からこの無のダンジョンを攻略するぜ」
アルカ達は無のダンジョンへと足を踏み入れた。
「廃墟か?」
アルカは辺りを見渡す。
ファンタジー世界の王都が崩壊したかのようなダンジョンであった。
「それに他のプレイヤーがいないような……」
「おそらくですが、メインストーリーをクリアするまでは他のプレイヤーと一緒にならないように配慮されているのではないでしょうか? ネタバレ防止の意味合いとかもあると思います」
「ダンジョンの種類が同じでも、プレイヤーやクランごとの個別ルーム扱いって訳か」
「そんな感じだと思います。多分ですけどね」
と話しているとモンスターが現れた。
シルバーウルフx20体。
全てレベル73である。
「いきなりレベル高いでござるな!」
アップデート前のカンストが70レベルだ。
だが、いきなりそれより上のレベルの敵が出現した。
「皆、やろうぜ! 経験値を頂く!」
「行くでござるよー!!」
物理アタッカーである、極とクローは前に出て構える。
特殊アタッカーである、キメラは【マジカルチェンジ】を使用し変身すると、距離を取る。
アルカは遠距離も行けたが、前に出て暴れたい気分であったので極やクローと共に前に出た。
「私達はアイテムによる援護をします!」
生産職であるミーナとカノンはキメラより後ろに下がる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
アルカはシルバーウルフを殴り、投げ飛ばす。
続けて極、クローがスキルでの攻撃を仕掛ける。
「【流星群】!!」
「【ブラックスピア】!!」
高火力アバターのであるアルカとその仲間達によって、シルバーウルフは次々と倒されていく。
レベルは高いがそれ程強いモンスターという訳ではないようだ。
「グルルゥ!!」
ガブッ!!
「いたっ!」
クローの右腕にシルバーウルフが噛みついた。
続けて、残っている10匹のシルバーウルフがクローに群がり肉を貪ろうとする。
「くっ! 腕がっ……! 誰か!!」
「マズイっ!」
アルカはスキルを発動させる。
「【メタルウイング】!!」
鋼の翼でクローの肉を食おうとしているシルバーウルフをまとめて斬り付けた。
そのまま消滅した者も居たが、残ったシルバーウルフもクローから離れる。
「回復アイテムです!!」
ミーナから物凄い勢いでアイテムが飛んできた。
クローの体に当たると回復する。
「あれ? 回復してる!?」
クローは驚いた。
どうやってあんな遠くからアイテムを飛ばしているのだろうか。
「ふっふっふ! この杖に内臓されているスキルの効果ですよ!」
ミーナは得意げにドヤ顔をする。
「気になるわね……とにかく! ありがと! 一気に片付けるわ!! 【ブラックスピア】!!」
こうして、アルカ達により、シルバーウルフの群れは全滅したのであった。
「あんまり強くなかったな」
「私に対する嫌味?」
「い、いやそうじゃない! あれだけの数のモンスターに襲われたら誰だってそうなる。それにクローの体って小さいじゃないか。無理もない」
「何ですって!!」
「え? クローのアバターって小さいだろ?」
「アバターの事ね。確かにそれは言えてるかもだわ……っとそうだ! ミーナのさっきのスキルって何なのよ! 気になるわ!」
ミーナは「良くぞ聞いてくださいました!」とでも言いたげな表情で口を開く。
「このスキルはですね……」




