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208.ミーナvsユミリン

 互いにメニュー画面を操作し、バトルモードへと移行する。


「踊れええええええええええええ!!」


 ユミリンは戦闘開始をするとすぐに矢を連射する。

 弓を装填し、それを発射する。

 その動作が物凄い速度だ。


 だが、ミーナは全て回避する。


「何年ジュウヤと一緒に居たと思ってるの? それくらい避けられるよ!」

「ふっ! そう来なくちゃな!! そうじゃなきゃ面白くねぇからなぁ!!」


 ジュウヤは真っ黒な矢をストレージから取り出した。


「散れ!!」


 真っ黒な矢がミーナを襲う。

 先程とは違い、ガチで狙いに来てる。


「くっ……!」


 だが、飛んで来る矢は1本だけだ。

 かすった程度で大したダメージにはならなかった。


「何の矢か知らないけど、私にかすり傷を付けるのが精一杯って訳?」

「何を言っている、かすれば十分だ!」

「? ……ぐあっ!? か、体が……!!」

「その矢は対象外の奴に対してはダメージを与える事すらできない欠陥品だ。けどな、一部の人間には効果が絶大だ……そう! その矢は生産職を狩る為の矢だ!!」

「生産職を狩る為の矢?」


 ミーナは地面に倒れたまま弱弱しく答えた。


「生産職相手にかすりでもした場合、5分間動けなくなる。そして! ぶっ刺されば一発で倒す事も可能だ!!」

「そ、そんな……」

「倒れているミーナも可愛いな。さぁ……俺の勝ちだあああああああああ!!」


 ユミリンは、もう1本の黒い矢を取り出す。


 そして、それが発射された。




「何っ!?」


 黒い矢は地面に突き刺さっていた。

 ミーナはグルリと回避し、そのまま立ち上がる。


「どういう事だ!!」

「難しい事は何もしてないよ! ただ行動不能を解除するアイテムを使っただけ!」

「お前はアイテムにしか頼れないのか! もう怒ったぞ!!」


 黒い矢を連続で放つ。

 10発以上だ。


「なっ!?」


 ミーナはダイナマイトを取り出し、矢を撃ち落とす。


「へぇ! やるねぇ!」


 ミーナが使用したのは追尾機能を持ったダイナマイトだ。

 矢を追尾対象とし、撃ち落としたのだ。

 追尾対象に当たるまで追尾してくれる訳では無いが、矢は一直線なので撃ち落とす事は容易であった。


「何でそんなにその矢を持ってるの!?」

「俺のユニークスキルで、この矢は無限に生成できる!」

「は、反則だ!!」


 本来生産職は戦闘を行わない。

 要するにスキルとしては完全にハズレの部類だ。

 使用できる機会が少なすぎる。

 だが、今、そのハズレスキルがミーナを苦しめている。


「けど、その爆弾は予想外だったな。俺の矢が撃ち落とされるとはな」

「これも錬金術の力だよ!」

「結局はアイテム頼りじゃねぇか!!」


 ユミリンは再び黒い矢を装填する。


「結局よ! こいつを一発当てさえすれば、お前は終わりなんだよ!!」

「当てさえすればね! というか、そっちだってアイテムに頼ってるじゃん!!」

「ぬぅぁに~!!!!! コンチクショウが!!」


 ユミリンは連続で矢を放つ。

 スキルは使わない。

 下手にスキルを使用するよりも、この矢を一発当てる方が確実だからだ。


「くっ……」


 ダイナマイトで撃ち落とせないものはかわすのがギリギリで何度かカスってしまうが、その度に行動不能状態をアイテムで解除し追撃を避ける。


「しつこい女だ!」

「そっちこそしつこい男だ!」


 ユミリンが矢を放ち、それをミーナがダイナマイトで撃ち落とす。

 それが繰り返された。


(このままじゃ……勝負がつかない……それ所か、集中力が途切れて私が負ける……)


 ミーナは少々苦しいような表情を浮かべた。


「どうした!? 俺と結婚した後の出産のイメトレか!?」


 ユミリンはヘラヘラと笑う。


(こ、こうなったら……!!)


 ユミリンは自身の背中にダイナマイトを設置する。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 そして、その勢いでミーナがユミリンに向けて吹き飛ぶ。


「なっ!?」


 ユミリンも完全に予想外だったようで、衝撃で吹き飛んで来たミーナと共にゴロゴロと地面を転がる。


「くっ! 武器がっ!!」


 衝撃でユミリンの弓と矢は手が届かない所まで飛ばされていた。


「ちっ!」


 舌打ちをしながらユミリンは立ち上がる。

 ミーナも同じくヨロリと立ち上がる。


「このっ!」


 ミーナがユミリンの顔をぶん殴る。


「ぐあっ!」


 続けてもう一発、顔をぶん殴る。


「へへっ……やってくれるなああああああああああ!!」

「がはっ……!?」


 今度はユミリンの反撃だ。

 ミーナは腹を殴られ、一瞬怯む。


「このおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 右拳に力を込め、腰を入れてユミリンをぶん殴る。


「コンチクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 負けじとミーナの顔を殴り返す。


「はぁはぁ……何がコンチクショウだ……それを言いたいのはこっち何だよ!! ジュウヤ何て大っ嫌いだああああああああああああああああああっ!!」


 ユミリンの顔の中央を殴る。

 ユミリンはよろける。


「へっ! いいねぇ!! 尚更……俺に惚れろおおおおおおおおおお!!」


 2人は助走を付け、走り出す。


 そして。


 互いの頬に重たい一撃を互いにかわす。


「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「がああああああああああああ!!」


 2人は衝撃で吹っ飛ばされ、またもや地面を転がる。


「勝つのは……俺だ!!」

「それはこっちのセリフ……!!」


 ミーナ、ユミリン。

 互いにHPは風前の灯火だ。

 次の一撃で勝負が決まる。





「……ふふ」


 ミーナは思わず笑ってしまった。



 吹っ飛ばされた先には、ユミリンの矢が転がっていたからだ。






 そして彼女はそれを……手に取らなかった。


「私の勝ちだ」


 ミーナは追尾機能付きのダイナマイトをユミリンに向け投げた。


「何だと!?」


 ユミリンは油断していた。


 そして勝手に思い込んでいた。


 ミーナが殴り合いの勝負を正々堂々と仕掛けてきたものだと。


 だが違った。


 ミーナの目的は武器を弾く事と、ユミリンを油断させる事。


 ダイナマイトは倒れているユミリンへと飛んでいき、爆発。


「クソッタレがあああああああああああああああああ!!」


 ユミリンのHPは0となった。

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