表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

214/325

207.届け!俺の恋心!!

『ミーナちゃん! ユミリンだよ~☆ えへっ♪ 何だか照れちゃうねっ! えへへ☆』


 次の日の日曜日。

 ミーナの元へユミリンから動画が送り付けられて来た。


『あ、あのね!! 私……ミーナちゃんと会いたいな……って思っちゃって……今日暇かな? 会えない……? 出来れば2人きりで……ね? だ、だって私ミーナちゃんの事、す、好きだから/// っていや~ん☆ 私ったら告ちゃった~!? 恥ずかしい/// って事で今からここに来てね!! 約束だよ~☆』


「何だこの動画」

「私が聞きたいですよ!」


 クランホームのミーナの部屋で、送られてきた動画をアルカと見ていた。

 1人で見るのが怖かった為だ。


「ジュウヤがこれ言ってるの想像すると鳥肌が立ちますね……」

「まぁ、どんな言葉づかいでも自由だけど……いきなりどうした、ユミリンよ」


 いつも以上のハイテンションさに少し驚く。


「で、行くのか?」

「……はい」

「そうか。厳しい戦いになりそうだな。俺も付いてくか?」

「これは男と女の戦いです。サシで堂々と決着をつけます」

「男と男の戦いみたいに言うんだな」

「性別何て関係ありません!! って事で!! 行ってきます!!」


 ミーナは1人きりで指定の場所に向かった。


(ここにジュウヤが)


 プレイヤーが誰もいない廃墟のようなエリアだ。

 イベントエリアではない。


「やぁ! ミーナちゃん☆ 来てくれたんだね☆」

「ユミリン……さん」


 ユミリンが姿を現した。

 人違いだと仕方が無いので、念の為さん付けをした。


「もぅ! さん付け何かしなくていいのに☆」


 ユミリンがニコニコと、普段リスナーに見せているかのような笑みを見せる。


「……ユミリンちゃん」

「それもいいけど……もっとあるでしょ? ね?」


 次第に悪そうな笑みへと変わっていく。


「ジュウヤ……」

「また会えて嬉しいぜ!! ミーナ!!」


 ユミリンは挨拶代わりに弓矢を飛ばす。


「おお! やるな!!」


 ミーナは矢を右手で受け止める。


「はあああああああああ!!」


 ミーナが右手に持った矢でユミリンを突き刺そうとするが、それを弓本体を使い防ぐ。

 火花がバチバチと散る。


「元気で可愛いな!」

「何でジュウヤがここにいるのっ!!」

「ここってGWOの事かぁ!?」

「違うっ!! この世界の事!!」

「この世界……? そういう事か!! 答えるのは簡単!! 俺は元々こっちの世界の人間何だよ!! お前とは違ってなぁ!!」


 互いに大きく後ろにジャンプして離れる。


「なぁ、俺ここまですげぇVtuberになったんだぜ? どうだ? 俺に惚れる気になったか? 今の俺は大量のウルトラチャットでかなりの金を持っている。お前を養う事くらい簡単だ。どうだ?」


 ユミリンは得意げな表情で言った。


「……ジュウヤが元々こっちの世界に住んでいても、お金をどれだけ持っていても構わない。けど……私が今言えるのはただ1つ。今のジュウヤには絶対に惚れない! 昔の方がまだ良かった!」

「それは王子だったからってか? クソッタレが!!」

「違う……そうじゃない。まぁ、どっちにしろもう惚れない」

「もう? まるで前は惚れてたみたいな言い方だな」

「……そうかもね」

「コンチクショウ!! 嘘言いやがって!! いい加減にしやがれ!!」


 ユミリンは軽くキレかけた。


「どっちでもいいけど、私は決着をつけに来たの。Vコインを全部賭けて私と勝負して」

「はぁ!? お前が惚れてくれるならこんなコインくれてやる!! けど、お前がそこまで本気な目で言うんだったら……お前はVコイン以外の物を賭けろ!!」

「どういう事?」

「俺はVコインを全て賭ける。代わりにお前はお前自身を賭けろ!!」

「ど、どういう事?」

「俺が勝ったらお前は俺に惚れろ!! 要するに……俺の彼女になれって事だ!!」

「嫌に決まってるよ! 大体そんなので付き合えて嬉しいの!?」

「ああ! 俺は手段は選ばない!! 一緒に幸せな家庭を築こう!! さぁ! マイエンジェル、提案を飲むんだ!! さぁ!!」


 ユミリンは目を輝かせ手を差し出す。


「はぁ……」


 ミーナはため息をつく。


「くだらない」

「は?」

「くだらないって言ってんの!」


 ミーナはユミリンの手をパチンとぶっ叩く。


「このっ!!」

「けど、その賭けは乗った。別に負ける事考えて無いし、私が負けた場合の条件何てどうでもいいよ」

「乗ったか……そうか乗ったか!! やっと……やっと夢が叶う!! そういえばミーナもVtuberだったね! しかも人気だよな! 2人の貯金を合わせれば色々買えるな! 家はまだ早いけど……あっ! けど、婚姻届は書きかけだからとりあえず結婚が先かぁ!? ってこっちの世界でのミーナの本名知らないな! 俺とした事がしくった……。あっ、でも俺はログアウトした後もミーナって呼ぶからな! 特別な関係っぽくていいだろ!! いいか? いいよな!?」


 ユミリンは涎を垂らし、目をキラキラとさせながら上を向く。

 両手を合わせ、妄想も止まらない。


「えーと、それってジュウヤが勝った場合だよね?」

「え? だって、錬金術師って生産職だろ? 俺の勝ち確定じゃん!!」

「それは大きな誤りだよ。そういえばあっちの世界でも錬金術の事を甘く見てたよね」

「だって生産職だろ? 回復薬何て店売りので十分だ」

「そう……残念だよ」


 ミーナはニヤリとすると、いつもの元気な笑顔に戻る。


「何だよその顔は!! 何だよ!! 俺と付き合えた事でも妄想してるのか!?」

「違うよ! 安心したんだ。これならやっぱり私が勝つってね!!」


 実は少し不安だった。

 けど、それも無くなった。


「何だと?」


「死にかけの私を置いて逃げた元王子が付き合えと言ってくる。錬金術師を甘く見たばかりに勝てる勝負も勝てませんでした。条件を変えてくれって言っても今更遅いよ?」


 ミーナは意地悪そうな笑みをユミリンに向けた。


「今更遅いのはそっちだ!! 覚悟しやがれ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ