204.散るモブプレイヤー達
布が見えない程に付けられていた宝石が砕け、黒いドレスがあらわになる。
「折角の装備が……許しませんわ!!」
ジュエルアーマーには特殊攻撃を全て無効化する効果が備わっている。
だが、そこまで強い効果だ。弱点はあった。
それは一定以上の物理ダメージを食らうと宝石が砕け、二度と復活しないという点だ。
「ですが……そのおかげでHPは0にならずに済みましたわ!」
宝石が砕け、特殊攻撃無効化が無くなった時、その物理ダメージを無効化する効果もあった。
そのおかげで彼女は今も立っていられる。
「【サンダーボール】!」
サイバーゴーレムがジルコに追撃をしようとしていたので、アルカはスキル攻撃でサイバーゴーレムを攻撃する。
すると、サイバーゴーレムはアルカに向かって両腕でのラッシュ攻撃を放つ。
「ギョロギョロギョロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」
「は、速い!!」
その巨体に似合わず、物凄いスピードでラッシュ攻撃が放たれる。
アルカは間一髪で攻撃を避け、地面へと降りる。
「アルカ殿! あいつ強いでござる!!」
「ああ、本来はもっと大人数で挑む敵だろうからな。仕方がない」
アルカはジルコの元へと駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「ええ。ですが、装備は砕けてしまいましたわ。油断してしまいましたのっ!」
ジルコは魔剣ダークカリバーを握りしめる。
「やはり、ワタクシの武器は機動力ですわ! 【ハイパースラッシュ】!!」
サイバーゴーレムのかかとに、攻撃を仕掛けた。
すると、敵は体勢を崩す。
その隙にモブプレイヤー達も含めた全プレイヤーが攻撃を放つ。
だが、それでもHPが半分削れてないくらいだ。
「こうなったら……あれを使うしかありませんわね!! 本当はここで披露はしたくなかったんですけど、仕方がないですわ!!」
「あれって?」
「おそらく次のアップデート時にでも実装される新システム……のフライング的なものですわ!!」
ジルコは片目をつむり、ドヤ顔で言った。
「おそらく、これは俺のカンだけど……女神モードの事か?」
「んなっ!? なぜバレたんですの!?」
「俺も持ってるからな!」
女神を討伐した後、アルカは女神モードを取得した。
という事はあの時共に戦ったジルコが取得していたとしてもおかしくはない。
「ま、でしたらお話は簡単ですわ! TGを貯める為にあいつに攻撃を仕掛けて仕掛けて仕掛けまくりますわ!!」
「ぐあああああああああああああああああ!!」
アルカとジルコが話している間に、モブプレイヤーが3名やられた。
「しまった! ジルコちゃん! 行くぞ!」
アルカは再び飛翔する。
「【ヴェノムブレイカー】!!」
右手を振り下ろし、スキル攻撃を放つ。
「ギャロオオオオオン!!」
「何っ!?」
サイバーゴーレムの周囲が光ると、ミニサイバーゴーレムが大量に出現した。
「TGを貯める餌にしてやりますわ!」
一見ピンチだが、アルカとジルコにとってはTGを貯めるのに丁度良い餌となる。
アルカも地面へと降り、ミニサイバーゴーレムを次々に倒す。
「貯まりましたわぁ!!」
「こっちもだ!!」
アルカとジルコは背中合わせに立つ。
「「【女神モード】!!」」
アルカの体が純白の光に包まれる。
漆黒のその体に、純白のプロテクターのような物が次々と装着される。
やがて、その体は黒と白の二色となる。
目の色は金色に輝き、翼は悪魔のような翼から、純白の白き翼化した。
対してジルコは黒いドレスが白いドレスとなり、翼が生える。
王道の女神といった感じだ。
アルカとジルコは飛翔する。
「効かん!」
レーザー攻撃が放たれ、ヒットするがノーダメージ。
女神モード中は【メガミオーラα】が常時発動している。
攻撃時以外、ダメージを無効化する効果を持つ。
女神が使用していた【メガミオーラ】と違い弱点属性を食らえば貫通して攻撃を食らうが、サイバーゴーレムはそのような攻撃を放って来ないので安心だ。
「今の内ですわ!! 上空からスキル攻撃連発ですわー!!」
女神モード時はMPを消費せずにスキルを使用できるので、2人はバンバンスキル攻撃を打ち込む。
全ステータスが1.5倍になる効果も合わさり、サイバーゴーレムのHPは残り4分の1くらいとなっていた。
今まで多くのプレイヤーが攻撃してこれなので、敵はかなり堅い。
「ギャロロロロロ……!!」
「!?」
何やらサイバーゴーレムの様子がおかしい。
動きが完全に止まると、両腕を上げる。
すると、かなり遠くの個所に赤いラインが表示される。
「アルカ殿―!! これって全体攻撃って奴じゃないでござるか!? ラインの外に逃げるでござる!!」
「そうか!! 皆逃げろ!!」
アルカとジルコはその場で攻撃を止める。
メミガオーラαの効果で全体攻撃も防げるからだ。
「ま、間に合わない!!」
極は素早さがかなり高い為、赤いラインの外に出られたが、その他のモブプレイヤーは逃げ遅れてしまった。
「ギョロロロロロ!!」
「ああああああああああああああああああああ!!」
赤いラインの内側全てに電撃と爆発が放たれた。
モブプレイヤー達は全員粒子となり消滅する。
「セ、セーフ!!」
女神モードは持続時間は短い。
攻撃を食らった直後に解除された。
サイバーゴーレムの範囲攻撃がもう少し遅かったら、モブプレイヤー達と同じようになっていただろう。
「ギョロロロ……」
強大な攻撃を放った反動だろうか。
サイバーゴーレムの体からは煙が出ており、動きもかなり鈍くなっていた。
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