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199.アルカvsユミリン

 アルカは農具と神斬剣を寄せ集め、そこに武器進化薬を垂らした。

 すると、武器達は空中へ浮遊する。


『進化を開始します』


 合成音声が流れると、武器達は光り輝き、次の瞬間には別な武器へと変化していた。


「【白い剣】……?」


 脳内に剣の名前が流れ込む。

 白い剣……それが新しく手にした剣の名前であった。

 見た目は一本の細い鋭い棒のような剣であった。

 色は白一色でそれ以外は何も無い。


 白い剣は空中を飛行すると、アルカの口の中から勢いよく体内へと入る。


「ノッ!?」


 アルカは少しびっくりしたが、あまり苦しくなく体内に収納された。


「びっくりしたな。とりあえず詳細を見てみるか」


 アルカはメニュー画面から武器一覧を見る。

 だが、そこに【白い剣】の名前は無かった。


「えっ? 何消えた!?」


 進化に失敗したのだろうか?

 だが、アルカは楽観的に捉えた。

 普段から特に使用していない剣だったからだ。


「カノンちゃんに対しては心が痛むけどな」


 鍛冶師カノンが作成した武器だったので、その点は心が痛んだようだ。


「さて、明日に備えてログアウトして寝るか」


 スキルの書で新しくスキルも覚えたので、今日はログアウトして寝る事にした。


 そして次の日日曜日。

 Vクライシスのイベントエリアにある大型コロシアム、Vコロシアムへと行く。

 大勢の人が観客席にいる中、アルカはVコロシアムの入場ロードで待機する。


「皆! コラボイベント、Vクライシスは楽しんでいるかな? お知らせした通り、ここでは1日目が終了した時点で1位のコラボVtuberとそのVtuberが指名したファンが戦っちゃうよ! じゃあ、まず今日のバトルの主役! ユミリン選手の登場だ!!」


 審判がテンション高く今回のバトルについてを説明すると、ユミリンがフィールドへ入場してきた。


「みんなー! 突然だけど集まってくれてありがとう! 絶対に勝つからね!」


 ユミリンがウインクを飛ばすと、客席のファンが叫んだ。


「凄い人気! 流石ユミリン選手! 続いてユミリン選手が選んだファンの登場だ!」


 アルカは入場する。


「何と、GWOでは様々な活躍を見せてきたアルカ選手が登場だ! 一体2人の間にはどんなドラマがあったのか!?」


「昨日会って約束しました」


 アルカは素直に答えた。


「何と! 深いドラマは無さそうだ!!」


「これに勝って、Vコインは貰うぜ!」


「その通り! これに勝てば1万Vコインが手に入るよ! アルカ選手、頑張って! 勿論ユミリン選手も頑張って!」


 アルカとユミリンが向き合う。


「ユミリン、楽しいバトルにしよう」


「マイペースだねぇ。ま、いいけど。初心者だからって甘く見ないでね?」

「ああ。自分が有利な状況になると油断するのが俺の悪い癖だからな。相手が初心者だろうと、今日は油断しない」


 リスナーの力でアルカ対策はバッチリな可能性大だ。

 全力でいかなければ負ける。


「では、電光掲示板が0になったらバトルを開始してください」


5


4


3


2


1




 戦闘が開始された。


 王女っぽい衣装に弓を武器としたユミリンは、弓を構える。


(いきなり攻撃か!)


 アルカがそう思うと同時に矢が飛んで来た。

 あまりにも素早く、正確な矢だ。


「やったー! 命中!」


 思った以上にダメージを食らった。


「何でこんなに食らうんだ!?」


 どうやら防御力を貫通する矢を使用したようだ。


「とりあえず、これ以上食らったらやばいな」


 アルカは飛翔する。


「上空から攻撃を放ってやる! 新スキル、サンダーボール!」


 アルカの口から電気の球体が発射される。


「あれ? そんなに弱いスキルでいいのかな?」


 ユミリンは別な矢を使用する。

 その矢でサンダーボールに狙いを定める。

 命中すると、サンダーボールは消滅した。


「ある程度のスキルを打ち消すの矢だよ☆ それにしても随分とズルいねぇ、上からだ何て」


 ユミリンはまた別な矢を発射させる。

 アルカはかわそうとしたが、読まれていたのか命中してしまった。

 ほとんどダメージはないが、その矢の効果だろうか。

 地面へと落下していく。


「なぬっ!?」


 アルカは受け身を取る。

 落下ダメージは少量で済んだ。


「ごめんね。私はファンからレアな矢とか色々貰ってるんだ☆ ちなみに今のは飛翔行動を封じる矢だね」


「そんなのあるのか!!」


 事実だろう。

 アルカは翼を羽ばたかせようとするが動かない。


「はあああああああああ!」


 アルカは連続でサンダーボールを使用する。


「【クイーンシールド】!」


 豪華で派手な盾がユミリンの目の前に出現する。

 全てのサンバーボールを弾くと、盾は消える。


「さ、今度は私の番だよ!」


 ユミリンはニヤリと笑う。


「スキル発動【飛翔】!!」

「何っ!?」


 ユミリンは飛翔する。

 ちなみにこのスキルは他のスキルと併用が可能なスキルだ。

 上からアルカを見下ろす。

 先程とは逆である。


「いい眺めだよ」


 ユミリンは弓矢を放つ。


「くっ!」


 アルカは回避するが、完全には回避できない。


「楽しかったよ……スキル発動!!」


 ウインクをすると、ユミリンはスキル【ワンハンドレッドアロー】を発動させる。

 矢を放ち、刺さった個所目掛けて異空間から100の矢が次々と降り注ぐスキルだ。

 青白い光をまとった矢がアルカに放たれる。


(スキル発動!! 【スキルイーター】!!)


 かなり久々にスキルイーターを発動させる。

 自らのHPを現段階から見て半分にし、攻撃系スキルを無効化できる。

 矢はアルカに吸収されるかのように消滅した。


「うわっ! 何それっ!」


 普段アルカがゴリ押しばかりしていた為、あまり警戒されていなかったスキルの1つだったようだ。


「もう一発はきついかぁ……あの技かなりMP使うんだよなぁ……くそがっ!!」


 ユミリンは少しキレそうになるも抑える。


「もういいや、ここで見物させてもらうよ」


 ユミリンはスキルを発動させた。

 【ポイズンアロー】。

 それを地面に放つと、薄紫の煙が発生する。

 続けてそれらを放ち、コロシアムの地上を毒ガスで充満させる。


「そこにいると体力がじわじわ減ってくよ。ふぅ、ではでは! 君が倒れるまでここで見物させてもらうよ~☆」

「それは無理だな」

「え?」

「今から俺もそっちに行く」

「ま、まさか翼があるのに加えて【飛翔】スキルも持っているっていうの!?」

「違う。現時点では誰にでも真似できる。けど、ここで披露したら修正されて誰にも真似できなくなる。今からやるのはそんな行為だ」

「一体何を……!?」


 アルカはメニュー画面を開く。


「アイテムでも使う気? 飛翔できるアイテムは今の所存在しないはず……!!」

「誰にでも真似できるって言っただろ!」


 アルカはジャンプでメニュー画面の上部へと昇る。

 そして、それを足場とし再びジャンプする。

 そしてまたメニュー画面を開き同じことをする。


「なっ!?」


 ユミリンは急いで弓を発射するが、時にメニュー画面を盾にし、矢を防ぐ。

 そしてそのまま、メニュー画面を足場とし、ユミリンの元へと辿り着く。

 ここまで大勢が見ている中でこれをやったのであれば、おそらく修正は確実なものとなるであろう。


「ずるいぞ!! 俺を舐めるな!! 俺は王子だぞ!!」


 会場がざわつく。


「出た! ユミリンのキレ芸だ!!」


 どうやらキレ芸として親しまれているようだ。


(王子? 王女設定はどこに……?)


 アルカは疑問に思ったが、考えている場合ではない。


「一撃で仕留める!!」


 アルカの右手が紫色に染まり、それをユミリンに勢いよく振り下ろす。


「【ヴェノムブレイカー】!!」


 10秒間毒煙の中にいるかのように、当たった相手の体力をジワジワと削る効果がある。

 だが、それはアルカにとってはおまけ効果だ。

 この技には相手より上から放つと威力が増す効果があったので、それ狙いで使用したのだ。

 ユミリンは地面へと勢いよく落下した。

 そしてトドメとし、アルカがユミリンの上へと落下し、その巨体で押し潰した。

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