表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

202/325

195.アルカvsセイ

何気にこの小説が誕生してから1周年が経過しました。

これからも宜しくお願い致します。

 アルカとセイは、互いにメニュー画面からバトルモードを選択する。


「悪いけど、こっちもミーナを優勝させる気でいるからな。レベル1だろうと容赦はしないぜ!」

「怖いねぇ……。確かに私はレベル1だし、元のアバターも平凡なステータスだよ。きっとワンパンで終わるだろうね。けど、私はあれから複数のスキルを入手し、更には先生によってかなりの主人公力を手にしたんだよ」

「いくら強力なスキルを入手しようと、レベル1じゃどうにもならないだろ!」


 アルカは突っ込みを入れた。

 戦闘のカウントダウンが始まり、それが0になると戦闘が始まる。


「一気に行くぜ!」


 アルカは翼を広げ、低空飛行でセイに向かっていく。


「ワンパン!」


 アルカは叫びながら、セイの体に向け右拳を振るう。


「何っ!?」


 セイは回避した。


「上手くかわしたか! だが、次で終わりだ!!」


 続けてセイを殴ろうとする。


「なぜ……なぜ攻撃が当たらないっ!?」

「何でだろうね?」


 セイは意地悪そうな笑みをアルカに向けた。


「くっ……前戦った時はここまで身軽じゃなかった」


 アルカは考える。


(もしや……レベル1戦術か!?)


 アルカがよくプレイしている非VRゲーム、モンスターガールズではあえてレベル1にしておく戦術が存在する。


(GWOにもそういった戦術があってもおかしくはないな……。おまけにレベルが上がっていない。不自然過ぎる……)


「どうしたの?」


「油断した俺が悪かったようだな!」


「?」


「セイはあえてレベル1にしてるんだろ?」


「見れば大体分かるでしょ?」


 セイが装備しているアクセサリー、【ロストリング】

 ユニーク装備だが装備をすると、レベルが1固定となってしまう。

 正直、それだけでは何の意味も無い装備だ。


 だが、ここにとある装備を組み合わせる事により、この装備は強力なものとなる。


「【ビギナーシャツ】、【ビギナースカート】、今の私の装備なんだけど、レベルが5になるまで強力な効果を持つんだよ」

「そうなのか!?」


 白の半袖Tシャツに白のミニスカート。

 わざわざこれを使用する初心者はほとんどいない。

 理由は、レベル5になった瞬間効力は切れてしまうのと、初心者にとってはそこそこ高い買い物だからだ。

 だが、その効果が非常に強力なのだ。


 【ビギナーシャツ】:相手の攻撃を回避する際、0.5秒間の無敵時間が発生する。

 【ビギナースカート】:相手の攻撃を回避する際、素早さを相手の攻撃を回避可能ギリギリな数値まで一時的に引き上げる。※現在の素早さがその数値以上の場合はそのまま。


「一体どんな効果を持ってるんだ?」

「秘密だよ♪」

「くっ……! だったらネットで調べるまでだ!」


 アルカはメニュー画面を開き、そこから検索エンジンを起動させようとした。


「させないよ!」


 セイは物凄いスピードでアルカに接近し、メニュー画面をぶん殴った。

 すると、ガラスが割れたような音と共にメニュー画面は砕け散る。


「妨害か!」

「相手の勝利への退路を断つのも立派な戦術だよ」

「だが、なぜだ? なぜ、そこまでの素早さが?」

「スキル【コピー】! 相手のステータス値を1つ選び、最高1時間までそれと同じステータスになる! そしてそれ以外のステータスの値はHPとMP以外0となる!」

「ネタバラシか!」

「せめてもの情けだよ」


 ちなみに発動条件は対象を視界に入れる事だ。


「くっ! だが、1つのステータス値しか参照できないのなら、俺にダメージを与える事もできない筈だ! 素の素早さじゃ俺に追い付けないぜ!」

「攻撃だけがダメージを与える手段じゃないよ! 【ポイズンフィールド】!」

「ポイズンフィールドだと!? 毒か!?」


 セイがスキルを発動させると、辺りに薄紫の煙が発生する。


「何かやばそうだな」


 アルカは煙の無い所まで飛翔する。


「俺には空がある! そして! ここからスキルを放ち、この戦いを終わらせる!」


 アルカはスキルを連続で発動させる。


「【爆炎】!!」


 複数の火球が地面へと降り注ぐ。

 逃げられないようにセイのいる所だけでなく、その周囲にも放つ。

 だが、それらの火球全てはセイの居る場所へと吸い寄せられる。

 当然セイはかわす。


「不遇職舐めないでよね」


 セイの現在の職業は不遇&不人気職業【タンク】だ。

 不遇な理由はいくつかあるが、一番の理由として、タンクが取得できるスキルと似たようなスキルが【魔法使い】や【ヒーラー】で取得可能だと言う点だ。

 そして、何と言ってもこの職業、圧倒的に不人気だ。

 どのくらい不人気かと言うと、1000人に1人選ぶか選ばないかの不人気さだ。

 仕方ない。

 だってこの職業攻撃系スキルを一切覚えないのだから。

 おまけに職業選択でタンクを選択すると、それを事前に告知される。

 運営はタンクに何か恨みでもあるのだろうか?


 ちなみに今セイが発動したスキルはタンクの基本スキル【挑発】。

 攻撃系スキルを自らの所に吸い寄せる効果がある。


「何かのスキルか!? こうなったら毒を恐れず直接攻撃するしかないな」


 レベル1のセイのHPでも耐えられているという事は、大したことないダメージなのだろう。

 そう考えていたが違った。


「結構減るな。何でセイは大丈夫なんだ!?」

「毒対策もバッチリだよ……そして!」


 セイは拳を振るう。


「【コピー】で君の攻撃力をコピーさせて貰ったよ」


 アルカにダメージが入る。

 毒のダメージもあり、ゴリゴリとHPが削られていく。


(こうなったら一か八かだ!)


 次の拳が来る。

 アルカの攻撃力が乗った拳が放たれる。


「避けないの?」

「ああ」


 拳が目の前に迫った瞬間、アルカは……。


「開け! メニュー画面!!」


 アルカの目の前にメニュー画面が出現した。


「え?」


 メニュー画面に一撃が入り砕けてしまうが、その隙を突き、今度はアルカがセイを殴る。


「うおおおおおおおおおおおおおお!」

「どええええええええええええええ!?」


 セイのHPでは耐えられる筈も無い。

 HPバーは一瞬で0となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ