2:人気配信者とバトルする
「でも確かに感じる……強化された感半端ないぞ」
第一の瞳によりプレイヤーを装備したアルカ。
力がみなぎるのを感じていた。
そんなアルカの目の前には今度は赤髪ポニーテールの女の子が現れた。
「おい! よくも私の妹をやってくれたな!」
「へ? 妹?」
先程の青髪のプレイヤーとは双子キャラという設定で配信を行っている、ネットのアイドル的な人気配信者であったが、アルカはそれを知らなかった。
「君も配信者か?」
「そうだ。それにしても喋るとは珍しいモンスターだな!食らえ!炎属性攻撃スキル!【爆炎】!」
赤髪が右手をアルカに向けると火球が飛び出す。
アルカはそれに対し、怯まず歩みを続ける。
「何っ!?」
アルカにヒットした火球は爆発を起こしたがアルカの体には傷1つ無かった。
「慌てるな! 勝負はここからだぜ」
「くっ! 【爆炎】!!」
連続で【爆炎】を放つがアルカにダメージは無い。
「ふぅ……じゃあ今度はこっちのターンだ。水属性攻撃スキル! 【ハイドロレーザー】!!」
アルカの口から勢いよく水が飛び出す。
「妹のスキルだと……?」
第一の瞳の効果でダメージは全て装備したプレイヤーが受ける。
それだけでは無い。装備したスキルも使用できる。
だが、赤髪のプレイヤーはそれをかわす。
「外したか……!」
「今だ! 【爆炎】!!」
隙を見て赤髪のプレイヤーは再びスキルを使用する。
「うおおおおおおおおおおお!!」
アルカは赤髪のプレイヤーに向かってドシドシと走る。
【爆炎】はダメージ量が高い攻撃系スキルだが、装備したプレイヤーがダメージを受けてくれるので問題無しだ。
「そんなもの効かない!!」
【爆炎】を食らい続け、装備していた青髪のプレイヤーのHPが無くなるとアルカの腹部から青髪のプレイヤーが引き離された。
「お、お姉ちゃん……」
青髪のプレイヤーは消滅した……リスポーン地点に戻っただけであるが。
「くっ! もうMPが!」
VRゲームは初めてだがゲームをそれなりに知っているアルカは察した。赤髪のプレイヤーはMP切れなのだと。
「今だ!」
至近距離で翼を勢いよく羽ばたかせると赤髪のプレイヤーは空中へと舞った。
そしてアルカはそれより高く飛び、空中で身動きが取れない彼女にプレス攻撃を仕掛け、そのまま地面へと両足で踏み付けるように、その巨体でめり込ませた。
「くっ……覚えてろ……」
「よっしゃ! 俺の勝ちだ! 君も中々やるな!」
赤髪のプレイヤーはHPが切れたようで消滅し、リスポーン地点へと向かった。
「それにしてもいきなり二人に襲われる何て……まだ始めたばかりなのに……こりゃ早いとこ極と合流しないとな……。ドラゴンなのは格好良くて良いけど、モンスターだと誤解されたらHPがいくつあっても足りない」
ちなみにアルカはただゲームを楽しんでいただけなのだが、掲示板や彼女達のLIVEチャンネルのコメント覧は、アルカの話題で盛り上がっていた。ファン達は彼女達姉妹をとても大切に想っているのだ。
アルカはまだそれを知らないが。
「ゲームしながらSNSが使えれば良いんだけどな……とりあえずフレンドコードを後で極に伝えるとするか。今はチュートリアルも受けてない状態だ。とにかく街にって……待てよ?」
街に行ったとしても襲われないだろうか?
アルカは心配だった。
「う~ん。やっぱり今回はここでログアウトして極に連絡するか」
このままでは埒が明かないと感じたアルカはしぶしぶとログアウトボタンに手を伸ばすのであった。