191.モンスター級のVtuberファン現る
久しぶり過ぎて去年振りかと思いましたが、違いました。
「あれ?」
アルカと極は椅子が爆破された次の瞬間には、Vクイズの受付へと戻っていた。
アルカの【小型化】も解除され、龍の姿へと戻っている。
『4問正解おめでとうございます! Vコイン4枚獲得おめでとうございます!』
アルカと極はそれぞれVコインを4枚手に入れた。
「くそっ!」
「アルカ殿、流石にカンニングはまずかったでござるよ」
「いやだって、分からなかったから」
「分からないとカンニングするでござるか!?」
「俺はカンニングをした事が無い」
「さっきのが初犯という事でござるな!」
「未遂だけどな」
2人が受付から少し離れた場所で話していると、とあるプレイヤーが現れる。
ツヤのある紺色のポニーテールに、キリッとした目つきをしたプレイヤーだった。
「4問しか正解できなかったとは……無様だな!」
「き、君は!!」
誰だろうか?
「モノ殿でござるか!?」
「そうだそうだ! モノちゃんだ! 何か凄い久しぶりだな」
「ちゃん付けはやめろ。私の事は呼び捨てでいい」
モノのリアルは人間では無い。
ブレイドアロー社が開発したロボットである。
女の子型であるが、実際の性別は特に決められていない。
感情を学習させる為にGWOをプレイさせ、一定期間を過ぎたらデータを削除される予定だったのだが、色々あって消されずに済んだ。
※詳しくは第二章をチェックだ!!
「わ、分かった。あれ? そういえば俺達話した事無かったな」
「拙者もでござる」
主に絡みがあったのは、ミーナとカノンだ。
特にカノンの事は憎たらしく、ムカつくらしい。
「そういえばそうだな。……それにしても、駄目だな。全然駄目だ」
「な、何がだよ」
「4問しかクイズに正解できないとは何事だ! 本当にVtuberが好きなのか疑わしくなるな」
モノは腕を組み、アルカを睨み付けた。
「いや、ぶっちゃけミーナちゃんに投げ銭する為に参加してる」
「何ィ!? 仲間の為だと……!? 甘いな!!」
「甘い?」
「ああ。確かに私も仲間には助けられた。仲間というものも悪くない。それはロボットの私にも分かる。だけどな、だからこそVtuberの事をもっと知るべきだ。このイベントを攻略したいならな!」
「うっ、確かに」
図星であった。
アルカは思った。
もっと知識を付けておけば良かったと。
「厳しいでござるな。スマイル動画の知識なら負けないのでござるが……」
「何だそれは?」
極のいる西暦2008年という世界で流行しているらしい動画サイトの事である。
「とにかく、お前達はヌルすぎる」
「だ、だったらモノはどうなんだよ!」
「ふふっ、私か? そうか、私がどれだけVtuberを愛しているか……それを私の1日と共に紹介しよう!!」
「……?」
突然嬉しそうに紹介し始める。
「では、私の1日を紹介しよう!」
☆モノの1日☆
まず、6時に充電が完了する!
そして、6時からずっと……ひたすらVtuberの配信やそのアーカイブや切り抜き動画を見る!
ロボットだからな! 食事も睡眠も必要無いんだよ!!
そして!! 充電する時は身動きが取れなくなる!!
だが、動画は見れる!!
基本見られる時はVtuberを見るのが私の1日だ!!
どうだ!! まいったか!!
☆終了☆
「大丈夫か?」
「心配いらない。ブレイドアロー社の担当の者が毎日私をメンテナンスしてくれているからな」
「そ、そうか」
アルカが心配していたのは、モノの内面であった。
(これが最先端のロボットか……。正直甘く見てたぜ……!! ……ん? 待てよ?)
アルカは質問する。
「お気に入りのVtuberってのはいるのか?」
「私は皆を平等に愛している」
「それなら、Vコインを全部ミーナちゃんに入れてくれないか? そのくらいVtuberに精通しているのなら、クイズで荒稼ぎできるだろ?」
おまけに無限ログインできるのだ。
睡眠を必要としない分、無職よりも最強かもしれない。
「それはできないな。私は全員に同じ数だけVコインを入れるつもりだ。まぁ、ミーナにも入れるけどな」
「そうか。そういう信念があるなら仕方がないな。ごめんな、変な事頼もうとして」
「別にいい。仲間は大切だ。その為にももっと頑張れよ」
「ああ。けど、クイズは今の知識じゃ無理そうだな」
「かなりマニアックな問題も出るからな。まず、知識を付ける為にもあそこに行ってはどうだ?」
モノは地図を取り出す。
「【ふれあい広場】……?」
「ああ。あそこにはコラボVtuber以外のVtuberと話ができるエリアだ。勿論【ヴァーチャル☆ちゅぅぶ】のアカウントを持っていればVtuber側としても参戦できる。ちなみにVtuber以外のプレイヤーは1会話毎に1Vコインを得られる。Vtuber側は宣伝ができ、ファンはVコインが手に入る。お互い得するって訳だ」
今回のコラボ対象以外のVtuberもVtuberとして楽しめるエリアも用意されているようだ。
「おお! それはいいな! 情報ありがとう!」
「ありがとうでござる!」
「勘違いするな。私はただお前達が仲間の為に頑張っている姿に心を打たれただけだ。精々頑張るんだな」
モノは冷たく、クールにそう言い放った。
アルカと極は、再びお礼を言うと【ふれあい広場】へと向かった。




