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189.Vクイズ

「という事で作戦会議だ」

「2人だけでござるがな」

「で、この前も言ったけど俺平日は夜じゃないとプレイできないんだ」


 アルカは社会人なので、平日イベント攻略を行う事ができない。


「それを言ったら拙者も学校で忙しいでござるよ」

「そうだな。ほとんどの人がそうだろう」


 有休を取っているプレイヤーもいるだろう。

 そういったプレイヤーは実に強敵だろう。

 ちなみにアルカは勇気が出ず、有休の申し出を行えずにいた。

 ミーナに話したら、「リアルが一番大事ですよ!」と笑って励まされた。


「くっそ! せめて極が当初の俺の想像通り無職のおっさんだったら!!」


 アルカは当初、極の正体は無職のおっさんだと思い込んでいた。

 実際は女子中学生だったのだが。


「無職のおっさんじゃなくて悪かったでござるな! 正直、拙者もアルカ殿が本当に働いているか疑っていた事もあったでござる」

「そうなのか!?」

「いやだって、何か周りの意見に流されてるように感じる時があるでござるから……」

「うっ……随分と痛い所を……」


 アルカは下を向いて落ち込んだ。


「ちょっ! 冗談でござるよ冗談! 今までの事もアルカ殿がいたから乗り越えられたのでござる! もうちょっと自信持つでござる! 自信を!!」


 極は冗談半分で言ったのだが、ガチで落ち込んでそうで慌てた。


「いやだってさぁ、俺自身持てる程有能じゃないし……。いつもカノンちゃんとかに頼ってるし……」


 極の表情に緊張が見て取れた。

 極の頬に汗が流れる。


(まずい! アルカ殿のめんどくさいモードが発動しようとしてるでござる!! そうなっては会議所ではないでござる!!)


 極はアルカの頭上に右手を乗せる。


「そうでござるか? 拙者はアルカ殿がいるおかげでいつも安心してこのゲームをプレイできているでござる。ほら、オンラインゲームって色々なプレイヤーがいるでござるから、そんな中、友達に頼りになる大人がいて心強いでござる」


 ゴクリと極が唾を飲み込んだ。


「そ、そうか? ははっ! そう言われると嬉しいぜ!」


 アルカは頭をかきながら照れた。


(セーフ!)


 極は椅子に座り直すと、ココアを一口飲んだ。


「でだ、どうする? 今回のイベント」

「どうというのは?」

「時間合わせて一緒にプレイするかどうかだ」


 今回のイベントは、複数人でも楽しめるイベントが用意されている。

 Vtuberのファン同士は団結力が強いので、その辺りも考慮したようだ。


「一緒にでござるかぁ。正直、拙者もVtuber詳しくない、アルカ殿も同じく。そうなると、あまり一緒にプレイしても助けになるかどうか……」

「そうか?」

「例えばVクイズでござる」


 Vクイズとは、今回のイベント内でVコインを貯める手段の1つだ。

 その名の通り、クイズに正解するとVコインが貰える。

 このクイズは複数人で挑む事もできる。

 例えば、Vtuberを全く知らないプレイヤーでも知っているプレイヤーに教わる事で攻略が可能といった所だ。

 同時にVtuberの知識を身につける事ができる。


「お互いほぼ知識0だと足の引っ張り合いのような気もするでござる」

「確かに……せめてどっちかがVtuberに詳しければなぁ」

「ま、それは今現在の意見でござる。Vコインの入手方法はまだ全部公開された訳じゃないでござるからな! 今からエリアを探索してから決めようでござる!」


 現在はVコインの入手方法がほとんど伏せられている。

 “君自身の目で確かめよう!” といった所であろうか。


「そうだな。幸い今日は土曜日だ。仕事も入ってないし、今から早速行くか!」


 会計を済ませ、喫茶店を出る。

 アルカはジルコとセイの分のGも支払った。

 2人は第1層から、Vクライシスのイベントエリアへと向かった。


「可愛らしい空間だな」


 空はピンク色で白い水玉が浮いている。


「そうでござるな。とりあえず、Vクイズをやるでござる!」

「よしっ! 俺のにわか仕込みの知識を思い知れ!」

「勉強したのでござるか!?」

「当然勉強したぜ! 少しだけな……」

「おお! 頼りにしてるでござる! さっきは2人共知識0って言ったでござるがこれだったら何とかなるかもでござる!」


 アルカは受付へと行く。


「Vクイズをやりたいんだけど、どうすればいいですか?」

「Vクイズですか。では、こちらのワープパネルに乗ってください。クイズ会場に移動します」


 2人は案内されるがままに、ワープパネルに乗った。


「随分と雰囲気が違うな」

「何かクイズ番組が行われそうなフィールドでござるな」


 椅子が2つ用意されていた。


『どうぞおかけください』


 極はアナウンスに従い、椅子へと座った。


「ちょっとこれ人間用じゃないんですか? 座れないんですけど」

『失礼しました。こちらのスキルをどうぞ。今回のイベントエリアでの発動限定となります』


・スキル【小型化】を獲得しました。


「おっ! 何かスキルを獲得したようだぜ!」

「アルカ殿いいな~」


 アルカは【小型化】を使用した。

 すると……。


「うおっ!?」

「おお!」


 アルカは困惑した。

 いきなり極がデカくなったかのように感じたからだ。


「ネズミみたいでかわいいでござる!」

「ネ、ネズミ!?」


 アルカは小型化したドラゴンというよりは、人間の顔の大きさくらいのネズミのようなハムスターのような何かをデフォルメされた容姿へと変更されていた。


「何か思ったのと違うな……。ま、いいか」


 アルカは椅子へと座った。

 すると、椅子が上昇する。


『では、第1問』


 アルカと極はゴクリと唾を飲み込む。

 一体どんな問題が出題されるのだろうか……?

 果たして……!?


『まず、このモンスター達と戦ってください』

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