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186.親のクレカ

「ええっ!? アルさん昨日の生配信見て無かったんですか!?」


 次の日、アルカはいつものように極と一緒にマイホームエリアで読書をしていると、ミーナがやって来た。

 アルカのマイホームエリアは、アルカのフレンドであれば誰でも自由に入る事ができるようになっているので、ミーナも入って来る事ができた。


 ミーナはアルカに対し、昨日の生配信の事を話したのだが、アルカは見ていなかったのでそれに対し驚いていた。


「見てくれてると思ったんですけど……」

「ごめん。俺Vtuberに対しては全く無知だから……」

「まぁ、別にいいですけど! これからVtuberを好きになって貰えるように努力しますので!」


 ミーナはVtuberに興味のないアルカに対し、少しがっかりしたが、同時に興味を持ってもらえるように努力をしようと思うのであった。


「で、相談何ですけど、いいですか?」

「別にいいぞ。暇だし」

「やったー! あっ、極さんにも同じお願いがあるんです! いいですか?」


 極は元気に頷く。


「ありがとうございます! 実はですね……お二人にはVtuberのコラボイベントに参加して貰おうかなと思いまして!」

「そういえば、コラボイベントの案内が来てたな。特に参加するつもりは無かったんだけど」

「あー、ですよねー……。いや、いいんです! それはさっきの会話で予想してましたから! で、お願いっていうのがですね。そのコラボイベントに参加して欲しいんです!」

「ああ、いいぜ」

「そこを何とか!! って、え? いいんですか?」

「別に暇だし。それに、キメラちゃんのゲーム部が廃部になりそうな時も協力したしな。ミーナの頼みだけ断る訳にもいかないだろ」

「おお! 流石です!!」

「大体のルールは把握している。Vコインを大量に集めればいいんだろ? それでそれをミーナに投げ銭すると」

「そうです! そうなんです! コラボVtuberの中には私より人気なVtuberもいます! そうなるとやはり、仲間の力を借りなくては駄目なんです!」


 ミーナのファンは多い。

 だが、コラボ対象となった他のVtuberもかなり多くのファンを獲得している。


「分かった。で、他のコラボVtuberは誰なんだ?」

「おっ! ちょっと興味出てきましたね!」

「ああ。敵をよく知っておかねぇとな!」

「分かりました! ですが、今の所まだ全員は公表されていないんです」

「ん? 後数日なのに大丈夫なのか?」


 コラボイベントの目的の1つとしてよく挙げられるのが、集客である。

 今回の場合であれば、GWOに興味のないプレイヤーをこの機会に呼び込もうという策略である。

 だが、ギリギリまでコラボメンバーが発表されなければ、今回のイベントの為に始めるプレイヤーが出遅れてしまうのではないか? とアルカは考えていた。


「サプライズですよ!」

「サプライズ?」

「Vtuberとか配信を見ている人って言うのは、そういうのが好きな方が多いんです!」

「まぁ、確かにワクワクするよな。俺もアニメ見ている時にそういうのがあるとテンションが上がるな。モブキャラだと思ってたキャラが後々メインキャラになったりだとか、序盤のギャグ描写やキャラクターの何気ない一言が実は後のシリアス展開の伏線になってたりだとか、いい意味で予想を裏切られるのは大好きだ」

「そんな感じです! 


 ミーナは頷いた。


「で、これは運営からのメールでは説明されていない事なんですが、別に極秘事項ではないので教えますね」

「何の事だ?」

「昨日、運営からのメールには大体のルールが書かれていました。ですが、それ以外にそこには載っていない情報があるんです!」

「どんなだ? 是非聞きたい」

「了解です! まず世界観の設定とかです!」



 いつも通り配信していると、突然女の子の世界、ガールズワールドオンラインに転送されちゃった!

 転送されたVtuberは13人!

 元の世界に戻る為にはファンの投げ銭が必要不可欠!

 皆! Vtuber達を助けてあげて!



「こんな感じです!」

「13人か……もっと多いかと思ってたな」

「そうなんです! それで、今の所発表されているのは7名です! これがリストです!」


 ミーナはリストをアルカに見せる。


「ミサキちゃん……?」

「はい……ミサキさんです」


 アルカのライバルの一人、ミサキ。

 元は事務所に所属していたが、契約を破棄し、個人で活動している。


「ミサキちゃんがいるって事は……ジルコちゃんも来るのか?」

「その可能性は高いでしょうね……。だとしたら強敵です」

「ジルコちゃんは手段を選ばない派だからな。ん? いや、待てよ」

「どうしました?」

「正直ジルコちゃんってお願いされて、「はいそうです」って協力するような子か?」

「失礼ですが……あまりそのような感じの方ではないような気がします」

「う~ん。だけど、どっちにしろ警戒しておくに越した事は無いな」

「そうですね……。でも大丈夫だと思いますよ! アルさん強いですから!」


 2人の話に極が割って入る。


「拙者も忘れて貰っては困るでござるよ」


 極はドヤ顔でそう言い放った。


「勿論忘れてませんよ! 期待してますよ!!」


 こうして、Vtuberコラボイベントに参加する事となったアルカと極であった。

















 一方その頃。


「っくしょんっ!!」

「どうしたの?」

「何やらワタクシの噂をしている方がいるみたいですわ」

「そうかなぁ?」

「きっとそうですわ!」


 黒髪ツーサイドアップのお嬢様(?)プレイヤー、ジルコ。

 そして、黒髪ショートのモブキャラのような見た目のセイ。


 2人はジルコのマイホームエリアで作戦を練っていた。


「ミサキさんを!!」

「絶対に1位にしますわ!!」


 ジルコは、悪そうな小悪魔笑みを浮かべる。

 セイも同じような表情を浮かべる。


「目的は分かってますわよね?」

「は~い、先生~、勿論分かってるよ!」

「流石セイさんですわ!」


 計画はこうだ。


 ミサキをコラボイベントで1位にする。

 それにより、同じクラン所属の自分達をVtuber事務所に売名し、そこからスカウトされ、一気に有名になり大金を稼ぐというプランだ。


「私はどっちかというと、主人公力を高める為かな? 超有名になれば主人公力も天元突破だよ」

「相変わらずですわね! ワタクシは絶対に大金持ちになりますわ! これでもう、親に頭を下げて課金の為にクレカを借りる生活とはおさらばですわ!! オーッフォンフォンフォン!」


 ジルコは高笑いする。


 例えミサキが優勝しようとも、そう上手くいくわけはないのだが、2人の脳内にはそれぞれ目的を達成した時のビジョンが鮮明に映し出されていた。

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