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185.Vtuber

 漆歴うるしれき2021年9月。


「後少しで9月も終わりか……。大人になると時の流れが速い……」


 そろそろ9月も終わりを迎える頃だ。


 そんな夜、究極アルティメットカケルは、スマホでアニメを視聴しながらぼんやりとしていた。


 ピロン♪


「ん? 誰からだ……? ってGWO運営からか」


 メールが来たようだ。

 とは言っても、カケル個人に送られるメールでは無い。


「何々……10月にコラボイベント開催決定……? 何とコラボするんだ? この前はモンスターガールズだったけど」


 カケルはスマホ画面をスクロールさせる。


「Vtuber……?」


 カケルは思わず首をかしげる。


「Vtuber……って何だっけ」


 カケルは思い出す。

 以前クランメンバーのキメラにVtuberについて教わった事があるのだ。


 Vtuber。

 それは、ヴァーチャル配信者専門サイト、【ヴァーチャル☆ちゅぅぶ】にて投稿をしている人達の事を指す。


 簡単に説明すると、このような感じである。


「Vtuberか……。俺の出番じゃないな。よく分からないし」


 カケルは二次元を神聖な存在として捉えている為、二次元と三次元の間を揺れ動くVtuberを見ていない。

 単純にあまり時間がないというのもあるのだが。


 それに、カケル……いや、アルカはGWO内にてVtuberによく襲われている。

 物理的にだ。


「Vtuberは闘争心が強いのか……?」


 とか考えていると、アラームがスマホから鳴り響く。


「おっ、時間だな」


 カケルは、ヘッドギアを被り、GWOにログインする。

 目的はゲームをする事では無い。


「アルカ殿、こんばんはでござる!」

「こんばんは。いつも悪いな。じゃ、始めるか」


 銀髪ポニテ少女、キワミが出迎えた。


 アルカのマイホームエリアにて、2人はうつ伏せになる。


「今日はここからでござるな!」

「本人には悪いけど、そこまで面白くないかもしれないし、そうじゃないかもしれない」


 極は本を取り出し、読み始める。

 ネット小説というものだ。


「『私は言った。ハチミツはうどんの進化前だと』」

「眠い……」


 アルカはとあるイベントの際にネット小説家と約束してしまった。

 敵を倒すのを協力する代わりに自作ネット小説を読むという約束を……。

 アルカは最初は小説を読むのが苦手で迷ったのだが、極が毎晩寝る前に読み聞かせをしてくれるというので渋々(しぶしぶ)承諾したのだ。


「『てりゃぁ! 食らえよ! 必殺!! ゴッドバースト!!!!』」

「眠い……」


 この男、いや、このゲームにいる以上は女性か。

 (見た目はどう考えても女性ではなく、漆黒のドラゴンなのだが)


 ともかく、このアルカというプレイヤーリアル年齢28歳は、リアル年齢14歳の女の子に毎晩読み聞かせをしてもらっているのだ。やばい。


 そして、30分が過ぎた。


「今日はここまででござるな」

「ありがとな。じゃあ、おやすみ!」

「あっ、ちょっといいでござるか?」

「?」

「先程告知された、コラボイベントはどうするでござるか?」

「Vtuberか……。俺は今回は不参加でいいかな」

「そうでござるか。拙者は参加してみようかと思ったでござるが、アルカ殿が不参加だったら迷う所でござるな」

「ん? クローはどうしたんだ?」

「あー、クロー殿はちょっと……」


 極は気まずそうに目をらす。


「ちょっと勉強の方が……」

「あー……」


 クローは前々から成績が悪かったが、極の表情からすると、更に上の領域へと行ってしまったらしい。


「という事でござるから」

「なるほどなぁ。あっそういえば」

「ん?」

「極がログインしている世界、えーと……西暦2008年だったか? そこにはVtuberみたいなのはいるのか?」

「いなかったでござるな。そもそも、アルカ殿の世界とは違ってVR技術が発達してないでござるからな。仮に今後そのような存在が出てきたとしても別物になりそうでござるよ。ま、拙者はスマイル動画しか見ないでござるからな! 最近はMAD動画にハマっているでござるよ! あっ、でもアルカ殿の世界はスマイル動画が無いのでござるな。ごめんでござる」

「大丈夫だ。そういった類の動画はこの世界でもある」

「それなら安心でござるな!」


 次イベントの事について軽く話すと、ログアウトボタンを押し、2人共ログアウトした。









 一方、アルカが極に読み聞かせをして貰っている頃。


『えっ!? ガールズワールドオンラインとコラボ!?』


・ミーナちゃんめっちゃ驚いてるw

・かわいい

・かわいい


 Vtuberであるミーナは生配信をしていた。

 正確にはコラボ生配信である。


 そう、GWO運営とのコラボだ。

 ただ、毬藻と真ん中分けの男ではない。


『そうなんです! ミーナさんには、是非ともこのイベントのコラボVtuberになっていただきたいのです! どうかよろしくお願いします』

『こ、こちらこそ宜しくお願い致します! や、やった!! 私も遂にここまで来た! 【聖なる漆黒】の皆さん見てますか!? 私やりましたよ!!』

『ミーナさんはGWOをかなりやり込んでいると聞いています。きっとお仲間も見ている事でしょう! で、簡単なルールですが、こちらとなります!』


・【特殊エリアにて、Vコインを集める】

・【コラボしているVtuberに対し、Vコインを使用しての投げ銭を行う】

・【最終的に投げ銭が多いVtuberから順位を付ける】


『どうでしょうか?』

『ライバルが多そうですね……不安です』


・大丈夫。ミーナちゃんには俺達が付いてる

・俺GWO今から始めるわ

・俺もいるぞ!!


『皆……! ありがとう!!』


 ミーナは眉に力を込め、優勝を目指そうと思ったのであった。

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