表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

185/325

183.優勝はどのクラン?

「何いい話っぽくしてんのよ!」

「へ?」


 クローが思わず突っ込みを入れる。

 別に誰が悪いとか無い。

 ただ、優勝する為に手段を選ばない者同士が戦い、それに勝っただけだ。


「でも、楽しかったわ!」

「だろうな」


 あんな強力な戦法はおそらく、もうできないだろう。

 クローは満足そうに、眩しい笑顔を浮かべるのであった。


「はっはっは! 全く、素晴らしい体験だったよ。合体は浪漫ロマンだからね」


 クローは腕を組み、「うんうん」と、嬉しそうに頷いた。


「とりあえず、勝てて良かった」


 アルカは【聖なる漆黒】のポイントと順位を確認した。

 結果、セイのクランである【白く染まる闇】のポイント全てが移っており、2位と大きくポイントを突き放し、1位となっていた。


「後は……」


 アルカが後ろをチラッと見ると、【聖なる漆黒】のメンバーと、ジルコのクランのメンバーが走って来るのが見えた。


「アルカさん! 無事に勝てたようですわね!」

「ああ、おかげでな! 隙を作ってくれなかったらこの作戦は成功しなかった」

「そうですわよね! そうですわよね!! っとそんな事はどうでもいいですわ! ポイントを賭け、私のクランと戦うのですわ!!」

「あっ! そうだったな。という事だ。皆、やっとの勝利で安心している所悪いけど……頼んだ!」


 【聖なる漆黒】の面々は、武器を構える。


「ルールはどうするのかしら?」


 クローはジルコに言った。


「難しいルールを考えるのも面倒ですわ! 各メンバーが1人ずつ、1対1で戦うというのはどうでしょうか?」

「シンプルで助かるわ! アルカ! それでいいわね!!」


 アルカは頷く、他のメンバーも賛成のようだ。


「アルカさん! 今度こそ勝ちますよぉ!!」

「ミサキちゃんは、俺に勝つ為に俺を追うのはやめるとか言ってなかった……?」

「言いましたけど、アルカさんは『もし、戦いの味が恋しくなったら、いつでも相手になるぜ!』と返してくれましたよねぇ!!!!」

「言った……かもしれない」

「そういう事ですよ!!!!!」


 こうして、1対1の戦闘が行われた。

 5回勝負を行い、勝利数の多い方が勝ちだ。

 ちなみに【聖なる漆黒】の方が1名多い為、カノンだけは不参加となっている。

 結果……。


・【〇】アルカvs【×】ミサキ

・【×】クローvs【〇】エクレア

・【〇】極vs【×】タミエル

・【×】キメラvs【〇】ジルコ

・【〇】ミーナvs【×】カルマ


「ふぅ……危なかった。が! 俺達の勝ちだな!」


「くっ、悔しいですわ!! も、もう一回! 今の勝負は引き分けという事で手を打ちません事?」


 エクレアがジルコの後ろに立つ。


「いや、意味不明だから。最初に“ルール”決めたでしょ? みっともないからそういうのやめようよ。ね? 別に死ぬ訳じゃないんだし、また遊べばいいんじゃないの?」


「このイベントでの優勝のチャンスが失われてしまうのですわよ!? それでいいんですの!?」

「いや、確かに悔しいけどさぁ。約束は守ろうよ」

「ぐぬぬ! 何でそんなに大人しくしてられるのですの!? これじゃあまるで私がワガママ言ってるバカみたいじゃありません事!?」

「そこまで言うつもりは無いけど、何か近い感じだと思うよ」

「な、何ですって!! も、もう許しませんわ!! クランリーダーの私に歯向かった罰ですわ!! 勝負ですわ!!」

「別にいいけど」


 エクレアはハンドガンでジルコの足元を撃つ。

 ジルコは慌てて避ける。


「うわっ! こっこのぉ!!!!」


 こうして、無事ジルコ達のクランにも勝利し、ポイントを守り抜いた。







「色々あったけど、もう少しで終わりだな」

「そうでござるな~」


 残りの時間をクランホームで潰す【聖なる漆黒】の面々。

 皆反省会……というよりも楽しそうに雑談している。


「いよいよ運営と話せるって訳だ。実に楽しみだよ」

「会長、良かったですね!」

「ああ。今回は本当にありがとう」


 カノンは皆にお礼を言う。

 だが、皆優勝したかったのは同じだったので、「いいって事よ!」的な雰囲気を放っていた。


 そして、3日目も終わりを迎える。


「皆さんお疲れ様だリン。色々驚くこともあったリンが、無事イベントを終えられてホッとしているリン」


 参加者がはじまりの街の噴水広場へと集合し、上空にマスコットキャラクターであるドラリンが飛行している。


「では、結果発表だリン! まず1位のクランは……! ドラゴンアバターアルカさん率いる【聖なる漆黒】だリン! 皆拍手を!!」


 拍手を多くのプレイヤーが行った。

 中には拍手をしないプレイヤーもいた。

 ドラリンに攻撃系スキルを放つプレイヤーもいた。

 とは言っても、効かないのだが。


「【聖なる漆黒】の皆には運営さんとお話できる権利が与えられるリン! そして勿論それだけじゃないリン! 5位までのクラン全員に【転職チケット】。又は【ステータスポイント振り直し券】をプレゼントするリン!」


 初心者でも参加でき、優勝が狙えたイベントだ。

 誰もが喜ぶアイテムを用意したのだろう。


「そして参加した全員に……何と! 【ドラリンバッジ】を与えるリン!」


 あまり盛り上がらない。

 タメた割に、それに見合わないものだったからだ。

 ちなみにこの後どんな効果があるのかを質問したプレイヤーがいたが、何も効果がない事が発覚した。

 おまけにアクセサリー枠を消費する。


「では、続いて2位の発表だリン! 2位は……」


 このような感じで5位までのクランが発表された。

 どのクランもアルカ達が知らないクランであった。


 そして、全ての入賞クランの発表が終わった後、【聖なる漆黒】のメンバーは謎の真っ白い空間へと強制的に移動させられた。


「ここは……?」


「優勝賞品だリン。今から運営さんとお話だリン」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ