18:ちょっと強過ぎかな!? オメガトルネード炸裂!!
現在は土曜日、13時から美少女コンテストが開催される。
今の時刻は、開催の30分前だが、会場となっているイベント限定エリアには、既に多くのプレイヤーが集まっていた。
初心者っぽいプレイヤーから強そうな鎧に身を包んだ、ベテランそうなプレイヤーまで、様々である。
ここに居るプレイヤーは、今から30分後、敵同士となる。初心者だろうと関係無い。
そして、開催時間まで、残り5分となった。
だが、アルカの存在感を放つ姿は、何処にも無かった。
もしや参加しないのでは? と、彼の討伐を目当てに来たプレイヤーは、少し残念がっていた。
「残り、1分です! 1分後にはこちらのエリアには入れなくなるので、まだ来てないお友達が居る方は急ぐよう呼び掛けお願いします」
司会の女性が、アナウンスで会場に呼び掛ける。
そして、50秒が経ったその時であった。
「到着っ!!」
空から龍が降ってきた。
「うわあああああああああああああああ!!」
アルカが翼を使用せずに着地すると、足元に居たプレイヤー達は、衝撃で吹っ飛ばされた。
「ふぅ……ギリギリセーフ! 危なかった……」
昼食を食べ、横になったら寝てしまっていたのだ。
危うく参加出来ない所であった。
「動画で見るより威圧感あるな……」
周りのプレイヤーの一人がポツリと呟いた。
「それにしてもここに居る女の子達は皆ライバルか! くぅ~ワクワクして来たぁ!」
極に誘われ、始めたゲームであったが、すっかりハマっているアルカなのであった。
「はい! 時間となりました! これより! 美少女コンテストが開催されます!!」
司会がそう言うと、プレイヤー達は「おおー!」と叫んだ。
少女たちの美声が会場を包み込む。
司会がメッセージであったものを読み上げ、美少女コンテストの概要を説明した。
ルールの変更等は無いようだ。
「極……何処にいるんだ?」
アルカは極を探したが、見当たらない。
この人数なので、見つけるのも困難だったが、ライバル同士という事もあり、今日はソロプレイを徹底しようと、アルカは考えた。
「では、今から1分後に美少女コンテストのファーストステージを開催します! コンテストステージに進める美少女は果たして誰なのか!?」
上空にカウントダウンが表示された。
プレイヤー達は、武器を手に取る。
アルカは、勝負が始まったらとりあえず飛翔しようと考え、空を見る。
(早速、俺を殺そうとしてる人が何人か居るな……だが、こっちには秘策がある!)
カウントダウンが0となると、アルカは飛翔する。
「うわっ!」
飛翔したのは良いが、魔法や弓矢が飛んでくる。
これは早めに秘策を実行しなくてはならないと、アルカは思った。
「悪く思うなよ! 【オメガトルネード】!!」
【オメガトルネード】とは、何なのか?
ネーミング自体は、アルカが名付けたのだが、それはアルカの技では無い。
エクシードゴブリンが放った大技である。
エクシードゴブリン自体が、認知されていない存在なので、当然その技を知る者は居ない。
そしてこの技、無効化の手段があった&割と心の広いアルカで無ければ、運営が炎上間違い無しの糞技であった。
アルカの右手から放たれた巨大な竜巻は、ボス部屋で見せた時と比較しても、更に巨大となっていた。
おそらく、本来はこのくらい範囲の広い技なのだろう。
それがボス部屋では部屋の大きさを考え、制限されていたと考えられる。
「な、何だこのスキルは!?」
「レベル50なのになぜここまで……!!」
「み、身動きが取れない!!」
「ぐああああああああああああああああ!!」
数多くの少女たちが、まるで洗濯機に放り込まれた衣類のようになっている。
飛翔しているプレイヤーも巻き込まれているのが分かる。
倒した敵プレイヤーのカウントが各プレイヤーの視界に表示されているのだが、アルカの倒したプレイヤーの数は、どんどん上昇している。
「自分でやっておいて何だけどこんなやばい技を俺はぶち込まれそうになったのか……というかあれって実際負けイベントだったの? ってくらいだな」
【第二の瞳】でストックしたものを放出しただけなので、一度きりしか使用する事が出来ないのが残念だが、ここまで強くては仕方が無い。
ちなみに、【オメガトルネード】がどのくらいまで糞技なのかというと、以下の通りである。
・1分間発生し続ける
・1秒間につき、食らっている相手の体力の8分の1を削る
・食らった時点で、混乱状態+麻痺状態となる
1分後、【オメガトルネード】は姿を消した。
これによる被害者は、783人である。
アルカは、さっぱりした顔で、空に向けて呟く。
「ありがとう……オメガトルネード……」




