165.儲けたわね
数話続いた、ギャンブル編の締めです。
「はぁはぁ……」
少しの差だった。
少しの差で負けていたかもしれない。
「勝ったでござる!」
極はレースに勝利した。
正直、負けていてもおかしくなかったレースだ。
「くぅっ!? な、なんという事ですの!?」
ジルコは目を丸くした。
これで、ジルコのクランのポイントは大きく下がってしまう。
「正直、危なかったでござる」
極はジルコの方を向き、彼女の元へ歩いていく。
「いい勝負だったでござるよ」
極は手を差し出す。
握手を求めているようだ。
ジルコはちょっと不機嫌そうに、ジト目で極の方を向く。
「全く、まさかあんなスキルを入手していただ何て、ワタクシのリサーチ不足でしたわ」
「えへへ……ユニークスキルでござる」
「純粋なPvPでしたら、負けませんことよ?」
「ふっ、またいつか、やりたいでござるな」
極の手を取り、握手に応じる。
すると、ジルコは困り眉をしながら微笑む。
「またいつか……ですわね♪」
こうして、無事(?)に極の裏競馬は終わりを告げたのであった。
「あっ! クロー殿!」
裏競馬場から出てきた極は、クローに声をかける。
「あら? 何やら随分と長いレースだったじゃない?」
「色々あったのでござるよ」
「ふ~ん」
クローは【聖なる漆黒】のお助けポイントを確認する。
「うわっ! 凄いじゃない!」
現在のポイントは『1980』と表示されていた。
「それはこっちのセリフでござるよ!」
お互い255ポイントずつ使用することにしていた。
極の場合は255ポイントが3倍になり、765ポイントになった。
だが、クローの場合は、255ポイントを1215ポイントに変えた。
これを見ると、クローの方が稼いでいるということになる。
「何をしたでござるか!?」
「運が良かったのよ。それと……これよ!」
クローは自身の武器、クロノスピアを見せる。
「これに内蔵されているスキルを使って、7を3つ揃えたのよ」
「なんと……」
アルカから貰った槍、クロノスピア。
この武器にはスキルが内臓されており、時間停止スキル【タイムサプレッション】が使用できる。
1日に1度しか使用できないのが弱点の1つなので、1回しか使えない戦法ではあったが、それでも十分に強力であった。
「ギャンブルにハマるのはあまりおススメしないでござるよ」
極は、クローの運の良さに驚きつつも、再びランキング1位となれたので感謝するのであった。
「ミッションコンプリートよ! どうよ!!」
クローは極に対し、ドヤ顔でウインクを飛ばすのであった。




