表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/325

163.レースに参加する

 極はメニュー画面を開き、スキルの選定を行う。

 このレース中は各スキルを1回ずつ、つまりは最高2度までしか使用ができない。

 慎重に決めたい所である。


「よし、これとこれっと……決めたでござる!」


 極はメニュー画面を閉じる。

 クローは極の肩をポンと叩き、顔を覗き込む。


「絶対に勝ちなさいよ! 負けたら承知しないんだから!」

「あれ? そういえば、クロー殿は出ないのでござるか?」

「私は別なのをやるわ! 例えばあれとかね!」


 クローはスロットマシンを指差す。


「スロットでござるか……?」


 だが、普通のスロットではない。

 目が揃わなければ、HPが次々と削られていってしまう闇のスロットマシーンである。

 その名の通り、【闇スロット】と呼ばれている。


「ま、勝ってくるわよ! 今私達が持っているのは、510ポイント。お互い、255ポイント全て賭けましょう!」

「最悪全てのポイントを失う事になるでござるな。これは負けられないでござる!」

「そうね。絶対に負けられないわね! いい? 絶対に勝って帰って来なさい!」


 2人はハイタッチをすると、互いの戦場へ向けて足を進めた。


「競馬何て今日が初めてだというのに、まさか自分が参加する事になるとは思わなかったでござる」


 極はまだ14歳。

 競馬何てした事が無い。

 そんな彼女が今日は走る事となったのだ。


 時間が迫って来ているので、極はゲートへ向かい、スタンバイする。

 合計18人のレースが今始まる。


『では、位置について……ヨーイ……ドン!』


 ゲートが開かれ、レースがスタートした。


 1人のプレイヤーが大勢のプレイヤーを抜き、一番前を走る。

 他のプレイヤーは力を温存しているのか、あまりスピードを出していない。


(負けないでござる!)


 極がスピードを上げようとしたその時であった。


「【スラッシュウェーブ】!」


 ジルコ……ではなく、他の剣士プレイヤーがスキルを使用した。

 放った衝撃波は、先頭のプレイヤーにヒットする。


「ぐあっ!」


『おおっと! 大ダメージだぁ!』


 実況の声が響く。

 そして……。


「【ブレイクショット】!」


 職業ガンナーの弓使いプレイヤーが、先頭のプレイヤーに対し、トドメの一撃を仕掛ける。

 HPが0となったそのプレイヤーは、粒子となり消滅した。

 これでそのプレイヤーのお助けポイントは0となってしまった。


(そういう事でござるか……!!)


 皆して先頭に出ようとしないのには理由があった。

 先頭に出ると目立ってしまい、集中攻撃を食らい、倒されてしまう危険があったからだ。

 1人が倒された事により、皆の緊張が高まる。


「ウェイ!」

「何だこいつ!?」


 プレイヤーネーム【リアジュー】というプレイヤーが叫びながら、1人のプレイヤーを執拗に殴り付ける。

 そして、リアジューは腰の銃剣を抜き、笑い叫びながら、それをふるった。

 攻撃力がかなり高く、襲われたプレイヤーはやがて粒子となり、消滅した。


「ウェーイ!」

「今度は私!?」


 リアジューは次なるターゲットを見つけると、銃剣と拳で次々と攻撃を繰り出す。

 ペストマスクをしているので顔も分からず、黒いシルクハットに黒いローブをその身にまとっているリアジューが攻撃を繰り出す様子は、観客席から見ると中々に恐怖の絵面であった。


「何でこんなに攻撃力が高いんだ!? 通常攻撃だろ!?」

「ウェイ!!!!」


 リアジューの武器は、【ブラザーガンソード】。

 フレンドの数に応じて強くなるという、強力な武器だ。

 おまけに、リアジューのフレンドの数は、上限の100人だ。


「ウェーイ!!」


 リアジューの止まらない攻撃に、プレイヤーは次々と消されていった。

 そして、生き残ったプレイヤーは走るのをやめていた。

 背中を見せるのは命取りだからだ。


「極さん? ちょっといい?」

「何でござるか?」


 ジルコが極の隣に来ると、言う。


「このままでは危険ですわ! 一旦走るのはやめて、この状況をどうにかしませんこと?」

「組めと言う事でござるか?」


 ジルコはニコやかな表情でウインクをする。


「そういう事ですわ♪ ワタクシ1人でもリアジューさんは倒せますけど、その間に貴方に倒されてはかないませんからね」

「別に拙者そういう事しないでござるよ?」

「本当ですか? どっちにしろ、邪魔者を片付けるのが先決かと思いますわ」


 このままでは誰も走ろうとしない。

 それ所か。


「ああああああああああああああああ!! こうなりゃやけだー!! 皆! 戦えー!!」


 違う1人のプレイヤーも暴れ出した。

 他のプレイヤーもそれに影響されるように、戦い出す。

 自分以外のプレイヤーを全員倒せれば、1位は確実なものになるからである。


「どうやら、ジルコ殿の言う通りのようでござるな。拙者もジルコ殿には今回のレースで是非リベンジしたいでござるからな! その為に! ジルコ殿の提案を受けるでござる!!」


「交渉成立ですわね♪」


 極とジルコに襲い掛かるプレイヤーが2人。


 極は流星刀を、ジルコはダークカリバーを抜く。


 2人は武器で敵の攻撃を弾くと、背中合わせになり、武器を構える。


「ふふっ、ワタクシに背中を預けてくれるだ何て、嬉しい限りですわ」

「その台詞、そっくりそのまま返すでござるよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ