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162.裏競馬

 クローはドヤ顔をし、人差し指を立てながら、それをグルグルと回転させる。


「乗ってやろうじゃないの! 極、あんたは?」


 極は表情を引き締め言う。


「やってやるでござる!」

「よし、じゃあ決まりだ」


 ギルは、行き止まりの場所でメニュー画面を開いた。

 メニュー画面には、「裏カジノへ行きますか?」と表示されていた。


「この場所でメニュー画面を開くと、裏カジノへの案内が表示される。気付いてる奴は少ないみたいだけどね」

「へぇ、いかにも裏って感じね。行くわよ!」


 ギルは、「はい」をタップすると、その場から姿を消した。


「私達も行くわよ!」


 クローと極もメニュー画面を操作し、問いに対し、「はい」の項目をタップするのであった。


「あんまり雰囲気変わらないわね」


 到着後、極達は辺りを見回す。

 裏カジノの会場は、先程のカジノ場とほとんど変わりが無かった。


「ははっ、そう思うかい? だったらあれを見てみるんだね」

「競馬場じゃない?」


 極が目を見開く。


「クロー殿! よく見るでござる!」


 極がビシッと競馬場で走っている者を指差す。


「なっ!?」


 驚くべき光景がそこには広がっていた。


「あれは……プレイヤー?」

「そう。裏カジノではただ賭けるだけじゃない。ああやって、自らの力で稼ぐ事も可能なのさ」

「へぇ、中々面白そうじゃない」


 中々に強気なクローであった。


「下手に運任せにするよりは私向けだわ! あんたもでしょ?」

「そうでござるな。拙者ギャンブルは詳しくないでござるからな」

「でもあんたの職業って【カードゲーマー】でしょ? ギャンブラーっぽいじゃない」

「リアルではTCGとかトランプ以外、ロクに触った事ないでござるよ……」


 極はリアルでもカードゲーマーであったが、だからと言って、ギャンブルに精通している訳ではない。

 ちなみに、クローも同じTCGをやっており、互いに好敵手でもある。


「へぇ、あんた珍しい職業してるね」

「あら? 今気づいたの? 極の事知らないの? 結構有名みたいよ?」

「私は普段あんまりログインしないからねぇ。正直、今回のイベントに参加したのも息抜きだよ」

「それなのに、1位って凄いわね……」

「ありがと。じゃ、お膳立てはしてやったんだ。精々頑張りなよ」

「当たり前よ! で、極! あんたは何に挑むの?」


 クローが極に尋ねた。


「拙者は……」


 辺りをキョロキョロし、何に挑むのかを選ぼうとしていると……。


「あら? 極さんじゃありませんの」

「え?」


 そこには黒髪ツーサイドアップのプレイヤー、ジルコが居た。


「ジルコ殿!? どうしてここに!?」


 人数が足らないという事であったが、無事に後1人をクランメンバーに誘い、イベントに参加できたようだ。

 今ここに居るのはジルコ1人だけではあるが。


「どうしてもこうしても、ポイントを稼ぐ為ですわ!」

「そ、そうでござるか」

「それより、さっきの話を盗み聞きしていたのだけれど……【裏競馬】に興味がありそうですわね?」

「裏競馬? ああ、あれの事でござるな。まぁ、拙者も運に賭けるよりはいいかなと思ったでござるが、それだけでござる」

「んまぁ! 勿体無い事! 私にリベンジできるチャンスだというのですのに」


 極はパーティ対抗トーナメントで、ジルコに負けている。

 なので、その事を思い出して言っているのだろう。


「えーと、つまりは……」

「ワタクシも参戦しますわ!」

「そう来たでござるか!」


 ジルコは少し意地悪そうな笑みを浮かべている。

 それを見たクローは。


「なーんか、怪しいわね。罠何じゃないの?」

「まっ、別にワタクシはどっちでもいいのですけど」

「極、どうするの?」


 極は腕を組み、表情をキリッとさせ、言う。


「受けようでは無いか! その挑戦!!」

「流石ですわ♪」


 極の宣言に対し、ジルコは可愛くウインクを向けた。


「いいねぇ、ライバルが居るってのは」


 ギルは楽しそうに、拍手を送った。

 楽しい勝負を見られそうで、とても嬉しそうな表情をしている。


「ふん! 極のライバルを名乗っていいのは私だけだわ!」

「拙者はライバルは何人いてもいいと思っているでござるよ! っと時間が無いでござるな」


 【裏競馬】の次のレースまで、後10分といった所だ。

 それまでにルールをしっかりと頭に叩き込まなくてはならない。

 極は受付に行き、手続きと、ルールの確認を行った。


 【裏競馬】のルールはこうだ!

 ・アイテムの使用禁止

 ・使用するスキルは試合前に2つ選択する

 ・スキルは、1レースに各1回ずつしか使用できない

 ・HPが0になった場合、所属クランのお助けポイントが0になってしまう


 そして最後に勝利条件であるが、あくまでこれは競馬(馬ではないが)。

 当然の如く、速いが勝ち。

 1位になったプレイヤーは、賭けたポイントが3倍となる。

 2位以下のプレイヤーは4分の1となってしまう。


「厳しいでござるっ!! 流石、裏競馬でござるな……!!」


 いくら裏カジノを見つけているプレイヤーが少ないとはいえ、出場枠が余っていた事から、裏カジノの中でも人気が低いという事が分かる。

 下手すればポイントが0になってしまうのだから、仕方が無いのかもしれない。


「まずは、スキルの選定からでござるな!」

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