16:第二の瞳
【第二の瞳】:
相手の攻撃系スキルに対し、発動出来る。
自らのHPを半分削り、そのスキルを無効にする。
無効にしたスキルは特殊ストレージへと移動し、1つまでストックする事が出来る。
ストックしたスキルは、1度のみ、【第二の瞳】を発動させたプレイヤーが使用出来る。
「HPを半分削るのは痛いが……その強力な攻撃を得られるならば十分だ」
アルカは、地面へと降りる。
そして、翼の2番目の瞳が開くと、先程の炎の【ハイトルネード】がアルカの元へと吸い寄せられる。
「貰ったぜ」
炎の【ハイトルネード】は消えた。アルカに吸収されたのだ。
「自らの攻撃を食らえ!!」
吸収したスキルを放つアルカ。
炎の竜巻が、エクシードゴブリンを襲う。
「ヌホ!?」
エクシードゴブリンは、かわそうとしたが間に合わなかった。
結果、自ら放った強力な攻撃をモロに食らう事となった。
「ヌッホオオオオオオオオオ!!」
「更に!!」
アルカはドシンドシンと音を立て、エクシードゴブリンの元へと走る。
そして、スキル、【咆哮】を使用する。
「まだだ……!」
アルカは右拳を強く握りしめ、エクシードゴブリンの顔面をぶん殴った。
「ヌッホオオオオ!!」
今度はイベントの演出では無く、アルカのぶん殴り攻撃により、エクシードゴブリンは吹き飛ばされた。
だが、それでもHPは微量だが、残っていた。
「タフな奴だな」
アルカは正直な感想を呟いた。
「ヌホホ……ヌホ!!……ヌホホッホホホホーホホホホホホ!!!!」
エクシードゴブリンは立ち上がるとギロリとアルカを睨み付ける。
その瞳には怒りの感情が含まれているように見えた。
3つの頭は口を開き、そこから風が噴出された。
「何だこれは!?」
やがて、それらは合わさり、先程の【ハイトルネード】とは比べ物にならないような巨大な竜巻が完成された。あまりの大きさにボス部屋の天井を突き抜けている。破壊可能であったならば、おそらく破壊されているのであろう。
「これは即死技って奴なのか!?」
竜巻の中がバチバチと言っている。電気属性の攻撃では無いのだが、非常に強力な攻撃だというのが分かる演出だ。
おそらく、これを食らえば負ける。
だが、この攻撃を防げる術を持つのならば、勝利出来る。
「即死技だろうとそうじゃなかろうと、今の俺が食らえば終わりって訳だ。……だが、俺のHPは少ないが、まだ残っている」
アルカは再び、【第二の瞳】を発動させる。
リスクが大きいので、多用は禁物だが、このタイミングでは使う以外、道は残されていなかった。
アルカは右手を前に出す。
「いける!!」
巨大な竜巻が徐々に小さくなっていき、やがて無くなる。
無効化する事に成功したのだ。
「ヌッホ……」
大技を使用した反動か、エクシードゴブリンはグッタリとしている。
「終わりだ!!!!」
アルカは、エクシードゴブリンの腹を思いきりぶん殴った。残り僅かのHPゲージは削られ、0となる。
「よし! 勝ったぞ!!」
アルカは嬉しさのあまり、叫んだ。
そして、エクシードゴブリンの身体が砕け散り、中から宝箱が出てきた。
「ドロップアイテムって奴か? 開けてみるか」
宝箱を開けると、中にはアイテムが入っていた。
まず、1つ目は、変身ベルト。
おそらく特撮のヒーローを模して作られたのだろうが、黒く、どこが禍々しい。
「昔見てたなぁ、懐かしい。というかこれ人間用じゃねぇか」
実はユニークアイテムなのだが、アルカの身体では、使用する事が出来なかった。
おまけにユニークアイテムは、誰かとトレードする事も出来ないので、他の良いアイテムと交換する事も出来ない。
「売れもしないのか……どうするこれ?」
顔をひねらせ、考えるアルカだったが、とりあえず収納しておいた。
2つ目はアイテム……では無く、スキル、【トルネード】であった。
「おお! これは良い!」
別にユニークスキルでは無いのだが、攻撃系スキルが【咆哮】しかないアルカにとっては、非常に有難い代物であった。
そして最後は……。
「こっ! これは!!」
出てきたのは、【クリスタルブレード】といったアイテムであった。
「遂に俺にも武器が……!! って小さいな。とりあえずメニューから装備してみるか」
メニューから装備をすると、アルカの左手が剣になった。
どうやら、使用者に合わせて大きさなどが変わる武器のようだ。
最も、他のプレイヤーは、人間なのだが……。
「透き通っていて綺麗だな」




