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155.お助け☆ガールズ

 2021年9月19日、日曜日。

 クラン対抗イベント、【お助け☆ガールズ】が開催される日だ。

 ルールはとっても簡単。

 GWO内にいるNPCの依頼をクリアし、ポイントを稼ぐだけだ。

 開催時間は、9:00から12:00。

 この3時間をゲーム内で3日に加速させ、開催される。

 現実世界では短時間だが、ゲーム内では3日という、長い時間をかけて行われるイベントである。


「【せいなる漆黒しっこく】ですね。はい、登録が完了しました。開催時刻までお待ちください」


 アルカは受付へ行くと、自クラン【聖なる漆黒】で参加の手続きを行った。


「クラン名が決まって、これで正式にクランって感じがするな」


 今まではクラン名を設定していなかったので、【アルカのクラン】という仮のクラン名で活動していた。

 だが、イベントに参加するのであれば、正式に決めた方が良いという事で、1時間前にクランの皆で集まって決めたのである。

 皆が様々なクラン名を案で出したが、バラバラ過ぎて結局決まらず、シンプルで厨二感があり、クランリーダーやメンバーを連想させる名前。という事をコンセプトで名付けた結果、こうなった。


「それにしても凄い人数だね」


 カノンが辺りを見渡す。

 このイベントは誰にでも優勝のチャンスがあるので、エンジョイ勢も多く参加している。


「アルカ君。是非優勝しよう!」

「ああ! 勝とうぜ! 皆!」


 クランメンバーが「おー!」と手を挙げる。


「クロー殿もノリノリでござるな」

「まぁ、たまにはこういうのも悪くないわ」


 そして、色々話している間に10:00となる。

 受付の噴水広場に、GWOのマスコットキャラクター、ドラリンが出現する。


「あーっ! 真ん中分け先輩1人で団子食ってるっす(。◕ˇдˇ◕。)/

これから先、ゲーム内で3日間はイベントを監視しないといけないからな。今の内に糖分を脳に与えておく。

とか言って食いたいだけじゃないっすか?w(。◕ˇдˇ◕。)/

それを言ったらお前もホールケーキを1人で食ってるだろ。

わりっす! 週に3回は1人でホールケーキを食わないと禁断症状が出るっす(。◕ˇдˇ◕。)/

もうそろそろ本番だ。いいか? お前はドラリンの操作に専念しろ。今回も声は俺がやる

ボイチェンっすから結局誰がやってもいいって事で先輩になったんすよね! お疲れっす!(。◕ˇдˇ◕。)/

じゃ、本番だ。3・2・1……スタート!!」


「!?」


 前回と同様、謎の一人芝居を始めたドラリン。

 前回と違うのは声の主がミスに気が付いていない点だ。


「皆! おはようリン! 今日はクラン対抗イベント【お助け☆ガールズ】の日だリン! 頑張って、困っている人達を助けてあげて欲しいリン! では、簡単なルール説明を改めて行うリン!」


 ドラリンは空中を飛び回りながら、半透明空中ディスプレイにルール概要を表示し、説明していく。

 説明が終了すると、再び皆に挨拶をし、粒子となり消滅した。

 そして、カウントダウンが半透明空中ディスプレイに表示され、それが0になると同時に時間が加速される。


「よし! じゃあ、打ち合わせ通り、3組に分かれるか」


 アルカ&ミーナ。

 極&クロー。

 キメラ&カノン。

 の上記3組に分かれ、依頼をこなしていくという作戦となっている。

 極&クロー以外の2組は戦闘要員と生産職の組み合わせとなっており、バランスの良い編成となっている。


「じゃ、皆、何かあったら遠慮せずに連絡を頼む」


 アルカは皆に言うと、3手に別れ、それぞれ別な方向へと進んだ。



「寒いですね~! リアルだったら風邪ひいちゃいますよ」

「俺はこんな体だからか、そこまで寒くは感じないな」


 アルカとミーナは第6層の冬のダンジョンへと向かった。

 冬のダンジョンという名の通り、肌寒い。

 アルカは、龍の体と言う事もあり、あまり寒さを感じなかった。


「とにかくNPCを探さないとな」

「そうですね! そうだ! アルさんの背中に乗せてくださいっ! 空から探しましょう!」

「そうだな。この辺NPC少ないからな」


 ミーナはアルカの背中に乗ると、アルカは翼を広げ、飛翔する。


「絶景! 絶景ですよ!!」


 ミーナは立って、背中でピョンピョンと飛び跳ねる。


「ちょっ、落ちないように気を付けろよ! この高さから落ちたらHPが0になるぜ?」

「大丈夫ですって! それに今なら【聖なる漆黒】の獲得ポイントは0ポイントです。HPが0になってもポイントは減りません☆」

「リスポーンしたら面倒だろ」

「落ちないから大丈夫ですって!」


 このイベントでHPが0になった場合、所属クランの獲得ポイントから100ポイントがマイナスされる。

 リスポーン地点は、マイホームエリアなので、戻ってくるまで、結構面倒である。


「あっ! あそこにNPCらしき人が!」


 ミーナが指差した先には、1人でポツンと、女の子が居た。

 この遠さでは、プレイヤーかNPCか分からないが、動かない所を見ると、NPCの可能性は高そうだ。

 アルカは、そこへ向かって着陸する。


「やっぱりNPCみたいっすね!」

「よし、じゃあ早速依頼を受けるか」


 アルカはNPCに話しかける。


「さ、寒いです」


 ブルブルと震えるNPC。


「どうすればいいんだ?」

「さ、寒いです」


 NPCの頭上に依頼内容が表示される。


 依頼内容:寒がっている女の子を温めてあげよう!


「燃えて来たぜ!」

「ですねっ!」


 2人は両腕に力を込めた。

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