153.中間フォーム的な何か
誤字脱字報告、誠にありがとうございます。
「厳しい戦いだった……」
「ですわね……」
最後の最後まで油断のできない相手であった。
アルカとジルコは、地面に手をつく。
「もし、女神があのまま全力を出していたらどうなっていたんでしょうね?」
「どうなってたんだろうな。まさかあそこまでヤバイNPCが存在してるとは思わなかったぜ」
2人はゆっくりと立ち上がる。
「何か揺れてないか?」
急に揺れ始めた。
また何か出てくるのだろうか?
「エリアが崩壊を始めているのですわ。別に死にはしませんわ。マイホームへと転送されますの」
「そうか。あっ、そうだ。折角だからこの後、はじまりの街の喫茶店でラーメン食べようぜ?」
ジルコは、目を瞑ると、右手の平をアルカに向け、「ノー」とでも言いたげな動作をする。
「ワタクシと貴方は本来は敵同士ですわ。馴れ合いはごめんですわ」
(キメラちゃんとは行ったじゃん)
エリア崩壊まで、後10秒。
「ですが……今日はありがとうございましたわ。次戦う時は容赦しないですわよ?」
「どういたしまして! じゃあ、次会う時はお互いもっと強くなっていような!」
「当然ですわ」
こうして、崩壊の時が来ると、崩れ落ちるようにエリアが崩壊した。
「ん」
アルカは、一瞬のうちにマイホームへと転送されていた。
「ジルコちゃんも今頃マイホームにいるのかな?」
独り言を言いながら、アルカはメニュー画面を操作する。
女神に勝利した事により、得たスキルがあったので、その確認である。
「【女神モード】か」
女神モード……それが新たに得たスキルであった。
取得条件も記されていた。
それは、2021年9月のイベントで女神を倒す事。
要するに今回のイベントで女神を倒すと、貰えるらしい。
『チュートリアルを開始しますか?』
アルカの脳内に合成音声が鳴り響いた。
(女神モードとやらのチュートリアルか。チュートリアルがあるって事は色々と特殊何だろうな。一応やっておくか)
アルカは「チュートリアルを開始する」をタップした。
すると、真っ白な空間へと転送される。
チュートリアル専用の空間のようだ。
「よし、はじめようか」
『了解いたしました。まず、【女神モード】ですが、本来のスキルとは違い、MPを支払って発動させる事ができません』
現在、アルカの所持しているスキルは、MPを支払って発動することができる。
だが、【女神モード】の場合は、それができない。
MPを支払うのが始動条件では無いからだ。
『MPゲージの下を見てください。TGと書かれていますよね。これをTGと呼びます』
「あー、これか」
HP、MP、そしてその下に新たにTGが追加されていた。
『TGは、相手に攻撃を当てる。ジャストで攻撃を回避する。敵を倒す。他にも様々な条件で溜まっていきます』
「アバウトだなぁ」
『今回は特別にTGをMAXにしておきました。【女神モード】を発動してみましょう』
アルカは、【女神モード】を発動させる。
「力が溢れるっ!」
アルカの体が純白の光に包まれる。
漆黒のその体に、純白のプロテクターのような物が次々と装着される。
やがて、その体は黒と白の二色となる。
目の色は金色に輝き、翼は悪魔のような翼から、純白の白き翼化した。
「これが……女神モード!!」
力が溢れるのを感じていた。
『おめでとうございます。ちなみに、発動後、TGが徐々に減っていきます。女神モードでしたら、大体30秒くらいです』
「少なっ!?」
『今はチュートリアルですので、特別に時間制限を無しにしてあります。では、女神モードになった際の仕様をお伝えします』
音声は以下の通りの事をアルカに伝えた。
・MPを使用せずにスキルの使用が可能
・スキル【メガミオーラα】を女神モード中のみ、得る
・全ステータスが1.5倍にアップ
・女神モード中一度だけ、【瞬間移動α】が使用可能となる
「強いな。要するに女神の能力が一部使えるって訳だろ?」
これを利用していけば、力でゴリ押し足りなかった相手にも通用しそうだ。
『では、チュートリアルを終了します。お疲れ様でした』
その音声が流れ終わると、元の姿に戻り、元いたマイホームへと戻された。
「ジルコちゃんに感謝だな! さて、何だかんだ強化もできたし、今日の所はログアウトするか。来週はクランの皆で優勝を勝ち取れるように頑張らないとな」
来週の日曜日は、いよいよクラン対抗イベント、【お助け☆ガールズ】が開催される。
イベント内容は、NPCの依頼を解決し、ポイントを貯める事であるが、果たして平和に最後まで行くのだろうか?
そして、ジルコ達は最後のメンバーとして、誰を招き入れるのか?
様々な疑問がアルカの脳内に浮かぶが、今は心配をしていても仕方が無い。
「っと、クランとしては初めてのイベント参加だ。確かに優勝も大事だけど、精一杯楽しまないとな」
前回のイベントはパーティー対抗イベント。
クランとしての参加は今回が初めてである。
それに、前回と違い、今回はクローがいる。
それを考えると、何が起こるかワクワクしてくるアルカであった。
次回、閑話予定です。
その次に次章へ移りたいと考えています。




