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149.女神を討伐するの!?

 女神の居る場所はノーヒントだ。

 という事で、アルカは第1層の冒険者ギルドへとやって来た。

 盗み聴きと言う名の情報収集を行う為である。


 だが、肝心の情報は得られずに1時間が経過する。


「情報を収集するより、実際に動いた方が良さそうだな」


 女神は全部で30体。

 多いように思えるが、このゲームのプレイ人口を考えた場合、決して多くない数字である。


 アルカは冒険者ギルドを出ようとした所、とある人物と出会う。


「アルカさんですの!?」

「うわ」


 この前襲い掛かって来たプレイヤー、ジルコであった。


「悪いな。今日は忙しいんだ」

「それはこっちのセリフですわ」

「もしや、女神探しか?」

「うっ! これはまだあまり広まっていない情報ですというのに! どこでその情報を……!?」


 どこでも何も、イベントが告知された時にアルカはそこに居たのだが、それを言う前に次の話に移行する。


「ニヤリ」


 ニヤリ……と口に出してジルコが笑った。


「今だけ、手を組みませんか?」

「手を……?」


 罠だろうか?


「安心してくださいまし。協力すると見せかけて、襲ったり何て事は絶対にしませんわ!」

「……別にいいけど、協力って何をするんだ?」

「一緒に女神の元へ行って、女神と戦ってくださるだけでいいですわ」

「戦う? 女神とか? そもそも戦えるイベントなのか?」


 話を聞いた限りだと、見つけたプレイヤーに、スキルやら何やらを授けてくれるイベントだと考えていた。


「それがそうでも無いようですわ。情報屋の情報によりますと、女神に攻撃を仕掛ける事がキーとなり、戦闘イベントに移行するようですわ」

「情報屋って何だ?」

「その名の通り、情報を売るプレイヤーですわ。最も、そういった職業があるわけでも、システムがあるわけでもないので、ロールプレイの側面が強いですわ。ですが、ガチな情報屋はガチな情報を持っているもの……高かったですが、買い取ってやりましたわ。勿論、女神の居場所も」


 先程からあまり時間が経っていないのに女神の場所まで把握している。

 ガチな情報屋は、本当にガチのようだ。

 最も、金額の方もガチなのだろう。


「そんな大事な情報を貰っていいのか?」

「そう、本当はワタクシも貴方に頼りたくありませんの。ですが、女神のレベルは100。現在のプレイヤーの上限レベルより、30も高いですわ。これまでも似たようなイベントがあったみたいですが、倒せたのは通算6パーティーのみだと聞いていますわ」

「あ、結構いるな」

「“たった”6パーティーですわ!!」


 ジルコは興奮気味に言った。


「そもそも女神を倒して何か良い事あるのか?」


 別にレベル上げだったらよそでやればいい。

 そもそも、ジルコもレベルがカンストしている。


「ありますわよ。まず、基本的に女神イベントが発生しますと、プレイヤー1人に何かを授けた後に消えてしまいますの。つまり、1人しか恩恵を受けられないのですわ。ですが、倒せば、その時のパーティーメンバー全員が恩恵を受ける事ができるのですわ!」

「確かにそれは魅力的だけど、俺を誘う意味はあるのか? 1人で会いに行って1人でスキルか何かを受け取った方が良いと思うんだが」

「ふっふっふ。それはですね……!」


 魔剣【ダークカリバー】。

 このユニーク武器の強化には、特殊な条件が課せられていた。


「『女神の血を剣に捧げよ』……?」

「そうですわ。おそらく、この魔剣で女神を倒せという意味ですわ。そう! これは貴方を倒すのに必要な一歩ですわ!」


 ジルコはアルカをビシッと指差した。

 対するアルカは、頷く。


「それならやるしかないな! 行くか、女神を倒しに」


 ライバルの強化は大歓迎なので、協力する事にした。

 それに討伐に成功すれば、アルカも恩恵を受ける事ができる。


「そう言うと思いましたの! っと、ちょっとお待ちを」

「どうした?」

「いくら貴方とワタクシが強くとも、とても舐められる相手ではありませんの」


 そう言うと、1人のプレイヤーが来た。


「女神を倒そうだなんて、野蛮だね」

「エクレアさん! 遅いですの! おカップラーメンが伸びちゃうくらいの時間ですわ!」

「何その微妙に分かりにくい表現」

「庶民の脳味噌では、そう感じてしまうのも無理の無い事ですわ。ちなみにワタクシは、おカップラーメンは伸びきったものも大好物ですの!」


 やって来たのは、エクレア。

 この前襲い掛かって来たパーティーの一味だ。

 アルカ懐かしのライバルでもある。


「エクレア!」

「今度は覚えてたんだね。ボクも君とパーティーを組めて嬉しいよ」


 友好的であった。


「俺も嬉しいぜ。あの時は、このゲームをまだ始めたばかりだったなぁ……」

「そうだね。ボクは君の真のライバルになろうと思ってたのに。いつの間にか忘れられるんだからね。それなりに傷付いたよ」

「いや、ごめん。本当に」


 忘れられていたことを根に持っているようだ。


「ジルコちゃん、エクレア……って事はあの双子も来るのか?」

「来ませんわ! 今日は寄生プレイの予定が入っているとか何とかで……。残念ですわ」

「そうか。なら仕方がないな(寄生プレイって何だ?)」


 ジルコは寂しそうに少しションボリした。


「ボクはそういうプレイ好きじゃ無いんだけど。ま、いいや。ボク達はボク達だ。早い所行こう」

「3人でか?」


 ジルコはいじわるそうに、流し目でアルカを見る。


「あらあら? 自信がないんですの?」

「いや、人数はもっと多い方がいいんじゃないかと思って」

「情報によりますと、4人以下のパーティーで無いと、イベントを発生させるための攻撃が通らないらしいですわ。後1人欲しい所ですが……先を越されないように急ぎたいのが1つの理由。後は信用できる人とじゃないと、組みたくないですわ」


 割と信用はされているアルカであった。


「早く行こう。先客が来てたらまずその人達を始末する必要が出て来る。それじゃ野蛮だ」

「そうだな。よしっ! 行くか」

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